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内容説明

量的緩和解除を急ぐな! デフレとの闘いは終わっていない…。日銀審議委員として戦後最大の経済危機に立ち向かった著者が、「時間軸政策」など経済の下支えを狙ったデフレ対策の効果を検証。日銀の出口政策を読み解く必読書。

http://www.bk1.jp/product/02621850

ミツゴ的評価 ☆☆☆☆

【書評】どーする、俺、どーする!

先ずは1読み
詳しくは2回目読んでから、で
今回は感想中心

06年まで日銀審議委員勤めた人の本
06年といえば日銀が資産を一気に30兆円圧縮し、後の人々から「早過ぎる緩和解除」と叩かれた、年でもある。

さて本題
なんとなく (昔あった)ライフカード、ってクレジットカード会社のCMを連想した。

タイトルにある"ゼロ金利"とは"ゼロ金利にあって投資が増えない"という"流動性の罠"を指している
つまり"流動性の罠下の金融政策"といった方がしっくりくるかも

流動性の罠下では日銀のメインである"金利引き下げ"という手段が取れない
じゃどーする?と手元には3枚のカード
・時間軸政策
→物価上昇までゼロ金利政策を続けると表明 リスク小

・資産の残存期間の引き延ばし
→長期に渡る 物価安定をアピール

・資産の買入拡大
→より明確に物価安定をアピール リスク大

ここでは 時間軸政策をやたら連発 といった内容
ただし 著者いわく 時間軸政策の手段として資産購入を続けたとも(つまりコインの裏表)

海外からは"ケチャップ買え"だの"ターゲット明示しろ"だのと叩かれる
正直 この人 クルーグマンに恨みでもあるんか?と少しだけオモタ
少しだけ だけど

では 何故そうしないか?
1つは著者が委員をしていた 00年代前半は世界的に激動の年でもあった事
ITバブル崩壊から 911 イラク戦争
あるいはアメリカのサブプラバブル 中国等BRICSの台頭

コレらは資源価格に跳ね返る、つまりコストプッシュやね

そんな中でインタゲは正しいのか?
という疑問が背景にある
"長期の物価安定目標をアナウンス"とは"経済環境に合わせた柔軟な政策"としばしばバッティングしやすいからだ

そして 著者はデフレの理由を不良債権による信用創造機能低下 と捉えている

06年、資源高によるコストプッシュと不良債権問題の一応の解決、米中を中心とした輸出拡大により デフレは一応の収束を見た
と著者は語る

"海外からの強いショックがない限り"構造改革を済ました日本経済は再び流動性の罠に陥る事はないだろう、とも

。。。。はい ありましたね(サブプラローン崩壊、リーマンショック) 最近だと欧州ソブリン危機、次は中国辺りが怪しい(地方債務問題)

なるほど アマゾンにあるように"続きが読みたい"と言うのも何となくわかる

デフレは(変な表現だが)別の段階に入った訳だ
かつての不良債権問題は一応の解決を見た、90年代から言われた3つの過剰も、過酷なリストラクチャリングを通して マシになったと言えるかもしれない

が 現在は米中への輸出拡大(外需)というカードは切れない、資源価格も怪しさを増すばかり

どーする 俺、どーする!!

続く!!(続きはwebへ)

<余談>私が何言っているかわかんない人は、ユーチューブで「ライフカード」で検索してもらえれば CMがでるハズ

<余談、その2> 「パソコンや自動車を日銀が買って、廃棄すれば需要不足によるデフレは収まる」「が、そのコストを考えればマイナス1、2%程度のデフレの方が安く着く」
明らかに"ケチャップ"を当てこすった発言(日本じゃハインツ買っても需要は増えない罠)
だけど 「(10%くらいのデフレならともかく)たかが1、2%のデフレの為に財政ファイナンス出来ん罠」とも捉えられる発言、なるほど 選挙向きとは言えない
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ただ今 積読中

・日露戦争、資金調達の戦い■板谷敏彦
・デフレとの闘い■岩田一政

・金融動乱、金融庁長官の独白■五味廣文

・ゼロ金利との闘い■植田和男


なんか「戦い」が 多いような、、、(意識はしていない)

方針としては なるべく経験者重視

新書部門
・海の帝国■白石隆

なんか枠があまるので なんか書く。

「ミツゴ式評論家論」

よく エコノミストやアナリストを捕まえて「日銀/財務省/の犬」なんて言い方が見受けられる。
特に量的緩和に否定的な人間に対して、だ

だけど 金融実務に詳しいエコノミストやアナリストで、日銀/財務省/銀行(国債ホルダー)/短資会社 関係「以外の人間」は何人いるのか?という話だ。

具体的には誰よ?と思う

閑話休題、評論家と作家、この仕事は「頭が良さそうに見えて」実は 特別な資格や経歴のいらない商売でもある

かといって普通は床屋談議 酒飲み話程度の評論にカネはでない
そこで ヒョーロン家先生は色々 売り付ける

勘違いしてはいけないのは ヒョーロン家とは「評論を売る」商売だ、パン屋がパンを売るのと大差がない。

では 私的にヒョーロン家の格付け方を、、、、、
・いい評論家
知識や情報、経験を売る評論家
→パン屋で言えばおいしいパンを売るのがいいパン屋

・悪い評論家
主義主張を売る評論家
→主義主張なんて 誰もが持ち売るモノが売り物になる訳がないし、はっきりいえば ソレはシンパシーを得る手段にしかすぎない(だから受け手に発展性がない)

・最悪な評論家
正義を売る評論家
→パン屋なら「よそのパンを買うヤツは売国奴」とか言うヤツは正直どーよ?
私はガイキチと見做すが、、、、、、

さて「評論家はパン屋と同じ」と書いた
例えば学生街のパン屋がカレーパンを沢山売っていたら ソレはパン屋のオーナーがカレー好き、、、、だからではなく、学生がカレー好きだからと言える

評論家も同じ
「評論」をメシの種にしている以上、顧客(極端な話、信者)の望む商品を提供するは至極当然の話
極論 信者がアホなら アホが喜びそうな本を出し、アホが喜びそうな言論をする
その評論家は内心何を考えているかは 全くの別問題だ

コレは新聞社なんかも一緒
マスコミに「右派」「左派」とかあるが、マスコミ自体が「右派」「左派」なんではなく 「右派向けの記事(コンテンツ)を作る」「左派向けの記事を作る」に過ぎない。
右翼左翼に会社員生活が成立するわけはないし
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まぁエッセイ
だから 気楽に、、、、

まず 一般論
インフレは労働者に貨幣錯覚を引き起こさせる。
つまり 労働者は物価にあまり関心がないんで 自分の賃金が目減りしても気付かない訳だ

コレは経営者からすれば 労働者を安く雇える事を意味する
経済学的に言えば実質賃金の低下により均衡賃金と一致させる訳だ
つまり、経営者は安くなった労働力を多く購入し、失業が減る、訳

ならば無限にインフレになれば無限に失業率が下がるかというとそうでもない
例えば 貴方が病院を経営し 医師を雇いたくても、医療の知識がない人間を雇えるだろうか?
仮にソイツの給料がタダでも、だ!

残酷な言い方かもしれないが、インフレになろうがデフレになろうが 失業者の学歴やスキルが上がるわけでも 社会構造が激変する訳でもない
つまりインフレで"摩擦的失業"は無くならない、コレを長期フィリップス曲線という
つまり 自然失業率以下にはならない訳だ

ちなみに 完全雇用=失業者がいない、訳ではなく、 非自発的失業が存在しない(≒摩擦的失業は存在する)って意味やね。
よくあるFRBの"雇用の最大化"とは"自然失業率の実現"という意味(池尾和人「現代の金融入門」より)

つまりだ、"インフレによる雇用増大"とは短期的 対処療法的と言っていい
コレは調整インフレ論自体の否定ではなく、"長期的には摩擦的失業解決が必要"という意味

ぶっちゃけた話をすれば 日本の失業率が4.5%程
内 摩擦的失業が3.7%、つまり需要不足による失業は0.8%だ

勿論 0.8%を侮らないし ないに越した事はない(オークン係数をみれば、おそらく中国並の経済成長が必要になる)

が、私はある種の危機感を覚えている
90年当時の摩擦的失業は2.0%程
つまり 日本人の条件と社会の条件の乖離がここ20年で激しさを増している事になる
例えばベバレッジ曲線をみると 明らかに左上に移動している

つまり、だ
(あまり考えたくないが)変化する経済に日本人のスキルや社会システムの対応が遅れているのではないのか?
さらに言えば、世界の動きに日本が対応していないのではないのか と。

そして 多くの人がこの事に気付いていない(かもしれない)事が だ
"インフレになればみんなハッピー"という ある種の楽観があるのではないのか、楽観が経済認識の甘えに繋がるのではないのか、と

つまり、だ
・摩擦的失業は深刻さを増している
・摩擦的失業は調整インフレではどうにもならない
・多くの人(経済クラスタ)は摩擦的失業を軽視している(ように感じられる)

と いう話
エッセイなので気楽に、、、、

BOP(Botasky Of Punipuni)とは 簡単に言ってしまえば 今まで見向きもされなかった途上国貧困層相手のビジネス
例えば商品を小分けにするなど 貧しい人にも手が届くようなスタイル
貧困層は数が多い、故に"チリも積もれば"という感じになる

昨日の日経にホンダが貧困層相手に500ドルのバイクを販売する とかあったのでエッセイを
(途上国の500ドル≒4万円、といえばかなりの額だ、ベトナム辺りだと半年分の賃金)

まず「モノを売る」とは何か?
ソレは「効用を売る」という意味だ
車なら機動力を、アルコールなら快楽を(アルコールにより快楽の種類は変わるだろうが)、テレビならコンテンツへのアクセスを売っている。

では 貧困層に何を売り付けるのか?
ソレは"概念"である
収入のケタが違う人間とは 何処かで考えが噛み合わない、という経験はないだろうか?
途上国貧困層は我々先進国在住者とはやはり考え方が違う面はやはりある

例えば、BOPの先進企業であるダノン社(フランス系飲料メーカー)
この会社はヨーグルトが有名だ
さて我々は何故ヨーグルトを食べるか?
ソレは(好みもあるだろうが)"ヨーグルトは胃腸にいい"という常識があるからだ
コレは人間の胃腸に細菌がいて 細菌にも善玉悪玉がいる、という知識をバックヤードにしている。

では 途上国貧困層に、この"常識"があるか?
おそらくない、何故なら常識を支える知識のバックヤードがおそらく ないからだ。

けして途上国貧困層をバカにしてはいない、しかし彼等はおそらく"石鹸で清潔にする"といった概念がないだろう
彼等の廻りに石鹸がない、石鹸が買えない だろうから、だ

つまりBOPとは"胃腸を善玉菌で健康にする"、"石鹸で衛生的にする(病気にかかりにくくする)"といった"概念"を普及させる 手段といえる

先のホンダの事例なら、(おそらく満足な交通機関がなく)移動手段といえば自分の足 という人達に、"モーターの力でより速く、遠くに移動する"という概念(潜在需要)を惹起させる と言える

こうした話は、例えば 時計の普及が"時間に従って活動する"という概念を普及させ、やがて工業化(近代化)に繋がった という事例があろうか。

では、なぜ概念を普及させるのか?
ソレは未来にむけた戦略である

例えば経済成長率が7%の国がある
この国は10年でGDPが2倍になる
例えば(1人頭GDPが)1500ドルの国(インドやベトナム)が同3000ドル(中国が4000ドル弱)になる事を意味している

GDP3000ドルとは"コンビニが普及する" "自動車が普及する"目安でもある

つまり1500ドルの国で自社製品を愛用させる事は 10年後の大普及時代に自社製品販売を加速させる手段でもある
また、例えば貧困層が自社製品の安いブランド(エントリーモデル)を愛用してくれれば その国が豊かになった暁にはより高価なブランド(≒より利幅の大きなブランド)を買ってくれる事が期待できる

つまり 卑近な言い方だが"唾をつける"という意味である

この事から 2点の事が指摘できる
・貧困層ビジネスはあくまで先行投資である
短期的な利益は見込めない
・BOPで利益をあげるには、"有効需要の所得ライン"を定め、ターゲットが何年でラインにタッチ出来るか見定める必要アリ

つまりだ 辛抱強いビジネスが必要だという事で
http://www.bk1.jp/product/02216058

ミツゴ的評価 ☆☆☆☆

【書評】日本で数少ない 国際政治学者の本

高坂正堯である、念のため書くと「こうさか・まさたか」である
その筋では超有名人である、故にファンも多い
前原誠司の京大時代の指導教官としても有名である

そんな著者が1966年、まだ32歳の時に出した本である
1966年といえば キューバ危機(62年) 中国の核武装(64年) ベトナム戦争(65年) といった時代である、早い話が冷戦(に伴う軍拡競争)が(デタントを挟みつつ)激しく行われ、一方 米ソに縛られない(コントロールに外れた)国際政治の時代でもある

そんな時代に書かれた本
はっきりいって難しい(と私には思った)
文章や内容自体ではなく 書評を書くにあたりポイントを絞るのが難しい
つまり 内容が多岐に渡る という意味でもある。
でも何か書いてみる

高坂正堯、といえば現実主義的政治学者として有名である
その為か 本書全般には、ある種の悲観主義(ペシミズム)が流れているように感じた。
核兵器により 人類は互いを滅ぼせる程度の知性は獲得した
だが 人類はソレを平和的に御せる程度の知性はあるのか?
核時代の国際関係を構築できるだけの知性はあるのか?と

本書ではたびたび、ルソー『エミール』を引用している
つまりは 「人間、国家も子供と同じ」という使い方だ。

我々は信じる事に余りに不慣れな癖に、不信を抱く点にはこの上なく巧みである
我々はそんな世界で生きている、という事を前提にしている

例えば 核を規制するため、核インフラを国際管理してはどうだろう?という意見がある(バルーク案)
これにノーを言ったのはソ連
ソ連からすれば、国際社会の主導権はアメリカが握っている以上、国際的管理団体もアメリカ寄りにならざる得ない という疑惑がある

皮肉な話だが 冷戦を終わらせたのは 莫大な軍備であった
米ソは80年代、だいたい GDPの5~7%、13%を軍備に投入していた
コレは日本で引き直すと30兆円程度、消費税なら17%にしないと捻出出来ない額である
実際にソレだけ増税すれば経済が疲弊するのは目に見えている

アメリカですら、だ ソ連の場合なら60兆円、消費税30%の世界である

つまり、「経済疲弊」という「圧倒的現実」が冷戦を終わらせた といえよう