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ミツゴ的評価 ☆☆☆☆

【書評】日本で数少ない 国際政治学者の本

高坂正堯である、念のため書くと「こうさか・まさたか」である
その筋では超有名人である、故にファンも多い
前原誠司の京大時代の指導教官としても有名である

そんな著者が1966年、まだ32歳の時に出した本である
1966年といえば キューバ危機(62年) 中国の核武装(64年) ベトナム戦争(65年) といった時代である、早い話が冷戦(に伴う軍拡競争)が(デタントを挟みつつ)激しく行われ、一方 米ソに縛られない(コントロールに外れた)国際政治の時代でもある

そんな時代に書かれた本
はっきりいって難しい(と私には思った)
文章や内容自体ではなく 書評を書くにあたりポイントを絞るのが難しい
つまり 内容が多岐に渡る という意味でもある。
でも何か書いてみる

高坂正堯、といえば現実主義的政治学者として有名である
その為か 本書全般には、ある種の悲観主義(ペシミズム)が流れているように感じた。
核兵器により 人類は互いを滅ぼせる程度の知性は獲得した
だが 人類はソレを平和的に御せる程度の知性はあるのか?
核時代の国際関係を構築できるだけの知性はあるのか?と

本書ではたびたび、ルソー『エミール』を引用している
つまりは 「人間、国家も子供と同じ」という使い方だ。

我々は信じる事に余りに不慣れな癖に、不信を抱く点にはこの上なく巧みである
我々はそんな世界で生きている、という事を前提にしている

例えば 核を規制するため、核インフラを国際管理してはどうだろう?という意見がある(バルーク案)
これにノーを言ったのはソ連
ソ連からすれば、国際社会の主導権はアメリカが握っている以上、国際的管理団体もアメリカ寄りにならざる得ない という疑惑がある

皮肉な話だが 冷戦を終わらせたのは 莫大な軍備であった
米ソは80年代、だいたい GDPの5~7%、13%を軍備に投入していた
コレは日本で引き直すと30兆円程度、消費税なら17%にしないと捻出出来ない額である
実際にソレだけ増税すれば経済が疲弊するのは目に見えている

アメリカですら、だ ソ連の場合なら60兆円、消費税30%の世界である

つまり、「経済疲弊」という「圧倒的現実」が冷戦を終わらせた といえよう