12月31日。

今日は今年度の集大成である大晦日である。

時に長く、時にあっという間に思う事が交錯する1年だった。

今年度は何かと、私自身を見直す年だったと言っていいかもしれない。

昨年は私の生き方を見つけた年。

そして今年度は、その生き方を出来るように、今までの私を見直して変える年だったとあらためて思う。

今年度も、昨年の事が色々現れたり、新たなスタートが周囲で目立つ年だった。

身近な例で言うならば、早速きつねさんの影響がわかりやすい書籍が出版される形で現れたり、きつねさんの誼で妖怪ウォッチを再び始めたりと、コン年度もきつねさんの影響が幅広く現れた出来事が多かった。



そしてコン年度は、妖怪ウォッチ同様、ポケモンも新たなスタートを切った年でもあった。

スピンオフかと思いきやまさかのジェネレーションチェンジという形で、サンムーン世代が今年度の後半に現れたのは予想外の事だった。

『サトシくんの水タイプ御三家は進化しない』という法則がここまでの規模で破られたりと、ポケモンの法則が破られる事が本編にまで及ぶとは予想だにしなかった。

そんなわけで、サンムーン世代は特に気を向けられるポケモンがいなかった事もあり、これを機に再びポケモンを引退しようとジェネレーションチェンジがわかった時に私は決めていた。

しかし、そのあれほど宣言していた事は、ある日を境に覆される事となった。



ニャビーちゃんの最終進化形態が残念な姿だったと気づいて、引退を確定してからしばらくしたある日、他の御三家の進化系を調べた時、ふと気になるポケモンを見かけた。

それが、当初は全く関心がなかった水タイプ御三家の『アシマリ』ちゃんだった。

その最終進化形態の『アシレーヌ』さんの存在を初めて知った瞬間、引退宣言をしていた私の内心は一気に覆される事となった。

アシレーヌさんへの関心は、アシレーヌさん本人に限らず、アシマリちゃん一族全員に及ぶほどの規模に発展して、さらにはポケモンサンムーン世代にも関心を寄せる決め手になったのである。

ここからわかった事は、私がポケモンを引退しようと思っていたのは、関心がなくなったのではない別の方向にあったのだという事だった。

これも私が今の在り方を見直し、変える事へと通じていったのである。



今年度は、私自身の在り方を見直し、それを変えるのに気づかされた1年だったという事は、私自身に起きた事全てに現れていた。

本当の理由を見向きもせず、ただすぐやれる方法ばかりを選んでいただけだったという事が今年度になって私は初めて気づいた。

それは、ポケモンに限らず、私の身近な事が全て伝えていた。

『今の私の在り方を直せ』と…

今までの私は、生き方に気づいたなら、今度は直すべき事があるからそれを直せという環境にいたにもかかわらず、今のままでいいかと適当に済ませ、結局本当にやるべき事をやらないまま過ごしていた、それだけだったのだ。

そして私は、今年度それに『ようやく』気づき、それを実行出来た。

まだ全て変われたとまでは言い切れないかもしれないが、少なくとも今までより変われてるのは確かだった。

私の在り方を変える事は、サンムーン世代同様まだ始まったばかり。

すぐ形にはならなくても、アシマリちゃんのひたむきさを見習って今からも進めていこう。

来年度は、今年度が築き上げた存在のもと、私自身も本当の新たなスタートが切れる。

今の私は、そう実感出来るのだ。





今年度は、恒例のお台場もスカイツリーも結局訪問しないままで終わった。

これも、来年度からは普通に行けるようになるための最後の願掛けとして一度はそうしておいておくべき事としている。

本当にふさわしい時に行ってこそ、恒例の事も本当の意味があるのだから。

来年度からまた行けるようになるのが今から楽しみである。

来年は出来る限り訪問するから待っててね、お台場、そしてスカイツリー。

こういう形ではあるが、機会そのものはあるので行ける場所へは行っておこうと思い、今年度は皇居前を訪問した。

ビルの森が立ち並ぶ一等地にある広い皇居。

そこは、ただ訪れるだけで不思議と解放感を抱かせてくれる場所だった。

窮屈な中から解放された事と、天皇様の存在が私達に不思議な力を与えてくださっているからなのかもしれない。

こういう解放感のある場所を訪れてみるものいいかもしれない。

年末を前に、新たないい場所を見つけた事を実感した瞬間だった。

天皇皇后両陛下様も、より良いお年を。






こうして私の2016年は締めくくりを迎える事となった。

今年度は、昨年と比べると少し控えめに過ごした年だった。

今の私自身の在り方を考えれば、その前にまずすべき事があると私自身もひそかに実感していた。

無理にそれをやろうとすれば、途中でつまずくという事が何となくわかっていたのだ。

そしてそれは、紛れもない事実だった。

もし今年度本編を始めていたら、どこかでつまずいていた事だろう。

私は今年度は、それを始めず、そして本当に今やるべき事に気づき、実行出来てよかったとあらためて思う。

そしてそれが出来た今、来年度はあらためて私が本当にやりたかった事をおもいっきりやれるような1年にしてみせよう。

どうにか踏みとどまれた中で過ごした事もあった中での1年は、これから今まで以上の発展を築く糧になってくれる。

今の私はそう実感出来る。

それがどうなるのかは、これからわかるであろう。

今は、最高の新年を迎える前夜祭として、大晦日を有意義に過ごそうと思う。

紅白が放送された時には、アシレーヌさんやコンたんちゃんもどこかで歌ってるのかな。



それではみなさん、BETTER YEAR!

より良いお年を!
いつの間にか今年度終了まであと2日。

時に『ようやく』と思い、時に『早かったな…』とも言える、そんな一年だった。





今年度は、ポケモンのジェネレーションチェンジの年でもあった。

今年度は、スピンオフの『Z』が発売されるのを前提にしていたが、そうじゃなく、その『Z』の誼を世代交代そのままのネタにする事となった。

発表当初、フォッコちゃんみたいな印象を持つポケモンがいなかったというのもあり、この世代交代を機に、再びポケモンを引退する事を決めた。

…いや、今となっては、決め『ていた』というべきか…





ジェネレーションチェンジになってしばらくしてから、私は最低限持つ事としてポケモンの動向を観察していた。

その時、ふと気になる存在を見つけた。

その時は、ちょうど御三家の進化系が発表されている時期でもあった。

私がフォッコちゃんの後継ぎとしてあげていたニャビーちゃんだったが、予想外に残念な結果になったので、これも引退決定の決め手になっていた。

しかし、その時はまだ他の御三家を見ていなかった。

そのふと気になるポケモンの存在に気づいたのは、それから少しした時の事だった。

御三家の最終進化形態で、モクローくんとアシマリちゃんの事が取り上げられていたので、せっかくなので調べる事にした。

モクローくんは、フクロウの面影を見事に残している形態だった。

そして、私が真っ先に気になったのが、残されたアシマリちゃんの進化系だった。

当初は関心がなかったアシマリちゃんだったのだが、その最終進化形態を真っ先に知った瞬間、私の中の環境は一気に覆る事となった。

その全てのきっかけとなったのが、アシマリちゃんの最終進化系『アシレーヌ』さんである。

あの姿から、もはやメス以外あり得ないような美しさと、私に合う『歌姫』という設定が私のポケモン引退を一気に消し飛ばす事となった。

アシレーヌさんを境に、アシマリちゃん一族の事も一気に好きになり、私は散々述べていたポケモン引退を撤回するに至ったのだった。



世の中とは常に変わるもの。

ついさっきまでこのあとも続くような状態だった事が、ある事を境にガラリと覆る、なんて事は世の中じゃよくある事さ。






というわけで、ポケモンへの電撃復帰を飾る事としてまずしたのが、『ポケモンガオーレ』だった。

いわゆる『ポケモントレッタ』の後取りとして導入されたアーケードである。

ワールドホビーフェアで導入前から知っていたが、特に関心はなかった。

だが、今回アシレーヌさん関連のモノをゲットしておきたいという目的のもと、バスターズに続き、デビューする事にした。



基本プレイ課金と、それとは別に新たなディスクを作る課金がそれぞれ必要のようだ。

相対的に言えば、トレッタよりもコストが上がったと言っていいかもしれない。

バトリオの方がコストが上のような気がするが、あれは既に作られたものなので、リアルタイムで印刷するためのインクが必要ないので、その分コストが低い方なのかもしれない。

オレカバトルから始まったリアルタイムでの印刷で手に入るものは、それだけコストが必要となるものだったというわけだ。



というわけで、早速プレイ。

数日プレイして、目的の一つを達成した。



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初めてゲットしたのは、『アローラロコン』だった。

これもきつねさんの誼なのだろうか。

デビューを飾るのにはいい初ゲットだった。

その後にゲットしたのは、アシマリちゃんだった。

後日ゲットという形だったが、早いうちに会えて何よりである。

その後、アシマリちゃんを参戦して何回かプレイをした。

アシマリちゃんはすぐにオシャマリちゃんに進化した。

そして今日、ニャビーちゃんをゲットした後のプレイで…

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オシャマリちゃんは、見事アシレーヌさんに進化したのだった。

ここにたどり着くまでにアシレーヌさんに2回ほど会ったのだが、今の私では到底敵わない事は見え見えだったので、この結果を信じて戦いを返上していた。

そして私は、早速アシレーヌさんをゲット出来たのだった。





アシレーヌさんは、かつての例で言うならポケダンのリオルと同じ存在と言えよう。

引退が確定していた私に、リアルタイムでそれを踏みとどまらせたアシレーヌさんの存在は大きい。

アシレーヌさんの存在に限らず、アシマリちゃん一族の特徴を知った事を機にアシマリちゃん一族全てが気に入り、これも引退撤回に至るきっかけとなった。

ポケモンもまだまだいいところがたくさんあるというわけなのだろう。

今回の事を機に、アシレーヌさんを基本にアシマリちゃん一族関連のグッズを集めるのもいいかもしれない。

ジェネレーションチェンジは、アシレーヌさん一人の存在を機に、意外な形で私にポケモンへの新たなスタートを切る事となったのだった。
ナオキはうつ伏せの状態で倒れていた。

意識ははっきりしていたが、今どうなっているのかはわからない状態だった。

さっきの一撃で力を使い果たしたからなのか、フォルムは元のフォルムに戻っていた。

「ぐ…」

ナオキは、持ち上げるように顔を上げた。

その時…

「大丈夫か?」

「?」

上の方から聞こえた声に、ナオキはふと顔を大きく上にあげた。

そこには、頭を下げるような形でナオキを見下ろしているディアルガの姿があった。

「ディ…ディアルガ!」

ナオキは、咄嗟にトライス・ソードを構えようとした。

「ま、待て、落ち着け!オレはもう正気だ!」

ディアルガは、慌てたような仕草でナオキに言った。

「え?」

ディアルガのさっきまでと違った様子にナオキはきょとんとした。

あらためて見直してみると、ディアルガはさっきまでにの禍々しい様子は一切なくなり、時折ギャップのある仕草を見せるほど、その様子に危険なところは見受けられなかった。

ナオキは、そっと立ち上がり、ディアルガを見上げた。

「ディアルガ、元に戻ったの?」

ナオキがそう聞くと、ディアルガはこくりと頷いた。

「ああ。あの男に心を縛られた時、オレは自由が利かなくなっていた。だが、そんな中で、オマエがオレと向き合った時に、オレはわずかながら心を取り戻す事ができた。そして、三匹のポケモン達の力と、オマエの心を込めた力、そして何よりオマエのオレを思う心が、オレを縛っていた鎖を壊してくれたのだ。」

ディアルガは、ナオキを見て言った。

「ひとまず、礼を言わせてもらいたい。よくぞ、暴走するオレを恐れず、オレを悪の手から救ってくれた!本当に、ありがとう!」

ディアルガは、ナオキに深々と頭を下げた。
「ディ…ディアルガ!?」

神と呼ばれるポケモンから頭を下げられた事にナオキは戸惑いを見せた。
「ナオキー!」

そう言ってナオキのもとに駆け寄ってきたのは、マグマラシだった。

それに続いて、他のポケモン達も駆け寄ってきた。

「ナオキ、大丈夫だったか?相変わらず…オレ達を差し置いて無茶しやがって…」

マグマラシは、ポロポロ涙をこぼしながらナオキにすがりついた。

「ごめんね、マグマラシ。でも、もう大丈夫だよ。」

ナオキは、マグマラシの頭に優しく手を乗せた。

「本当よかったよ…ナオキが無事で…」

レントラーも、涙をにじませながらナオキに言った。

「本当によかったですわ。ナオキさんだけじゃなく、シンオウ地方も救われましたもの…」

ロズレイドは、事態の収束に胸をなでおろしていた。

「すごかったぜ、ナオキ。オレ達でも太刀打ちできなかったディアルガにそれでも最後まであきらめずに立ち向かって、しかも見事に打ち破ったんだからな。」

ムクホークは、ナオキの勇敢さを称賛していた。

「あのディアルガとここまで戦えるなんて、キミはやっぱりすごいよ。ボクがキミと戦う前から感じていた実力は間違いなかったようだね。」

エルレイドは、ナオキの実力をあらためて本物以上だと実感していた。

ナオキは、マグマラシ達に言った。

「みんな、あらためてこのポケモンがシンオウ地方のもう一人のレジェンド、ディアルガだよ。」

「あらためて見るとすげえな…。普通の状態でもすげえ威厳を感じるぜ…」

マグマラシは、ディアルガを見上げながら言った。

「これが神と呼ばれたもう一人のポケモンなのか…本当、もう一人に負けないくらいのすごい迫力だよね…」

レントラーもディアルガを見上げながら言った。

「聞いた事しかない存在だっただけに、本物を見れるなんて感激ですわ。」

「まさか、伝説のポケモンをまた見れるとはな。ナオキの仲間になってよかった事がまた一つ出来たってわけだ。」

ロズレイドとムクホークも、初めて見るもうひとりのレジェンドに感動していた。

「すごいな…ボクでさえも、直に見れる事自体奇跡なのに、それが今こうして実現してるなんて…ナオキが無事だった事に限らず、伝説のポケモンに直に会えるのは、本当に神との出会いそのものの表れと言えるね。」

エルレイドも、ディアルガに会えた事と、ナオキが無事だった事という二つの奇跡を心から実感しながらディアルガを見ていた。

すると、ナオキのもとに、三大レジェンド達が飛んできた。

「本当にありがとう。キミがあの鎖を壊すために命を懸けてくれなかったら、ボク達の力を持ってしてでも壊せなかったよ。全ては、キミのおかげだよ。」

そう言ったのは、アグノムだった。

すると、ナオキは言った。

「いいや。ディアルガを助ける事が出来たのは、私のおかげじゃないよ。」

「?」

アグノムは、首を傾げた。

「もしも君達が来なかったら、私はもう終わっていた。君達も私が壊すのに協力してくれなかったら壊せなかったと確かに言っていた。そういう意味からすれば、ディアルガを助ける事は、『私だけ』でも、『君達だけ』でもできなかった事だよ。そして、何よりディアルガを救えたのは、私と君達だけで出来た事じゃないんだ。」

「?」

アグノムが再び首を傾げると、ナオキは言った。

「これは、私と三大レジェンドの力だけに限らない、『ここにいるディアルガを思うみんなの心の力』があってこそできた事だよ!」

ナオキは、ディアルガを縛っていた鎖を壊せたのは、ただ壊した本人達だけじゃないという事だとわかっていた。

ナオキに限らず、マグマラシ、レントラー、ムクホーク、ロズレイド、エルレイド…ここ、やりのはしらにいる全てのポケモンがみな、今がどんな中であれ『ディアルガを救いたい』という思いは共通して持っていた。

その思いは、一つとなって三大レジェンドとナオキのひそかなさらなる力となり、鎖を壊す力となったのである。

「うん、そうだね。」

アグノムは、にっこり笑ってこくりと頷いた。

「ナオキさん、本当にありがとうございます。あなたの心のこもった技、本当にすごかったですよ。」

そう言ってきたのは、ユクシーだった。

「ディアルガによる時間の歪みの影響を受けず、正確に鎖のある場所に直に当てて、見事に打ち砕いたあの技、私の知る事全てを逸脱していました。知識だけではわからない事はまだまだたくさんあるんですね。」

ユクシーは、知識を極めしポケモン。

そのため、この世界の全てを知り尽くしていると言っても過言ではない。

しかし、そんなユクシーでも想像さえできないほどの事だったという事がナオキの力の未知を強調していた。

「私も初めてだたとはいえ、ここまでの、いやそれ以上の事だとは想像もつかなかったよ。見えない存在は、本当に奥が深いというわけなんだね。」

ナオキがそう言うと、エムリットがナオキの前に降り立った。

「実はボク、ひそかにキミの事を知ってるんだ。」

「え?そうなの?トバリで君を解放した時から?」

「ううん、違うよ。キミがボクと直に会ったのは、そこだと思うけど、実はボクそれよりも前にキミの事を知ったんだ。」

「それっていつの事?」

「キミが子供の男の子と話をしていた時だよ。あの時、キミは『泣きたい時は泣いていいんだよ…』って心で言ってたよね。キミが感情の大切さをわかってる事にボクも感銘を受けてね。それで、キミの事を覚えてたんだよ。」

エムリットは、ナオキが『谷間の発電所』での戦いの後、コウキが自身の未熟さを嘆いていた時に、コウキに色んな事を教えてコウキを立ち直らせた事があった。

の時の様子を、魂の状態で飛んでいたエムリットは後ろでひそかに見ていたのである。

その時、ナオキは心の中で、『泣きたい時は泣いていい。感情を素直に表に出す事は悪い事じゃない。泣く感情もかけがえのない大切な感情のひとつなんだ』と言っていた。

エムリットは、ナオキの心の声を通して、ナオキが心を大事にしている存在だという事、そのうえ自身が司る感情の大切さをわかっているという事を知り、そこからナオキの事が気になり始めたのである。

トバリで解放された時に、飛び去る前にナオキの前に降り立ったのも、その表れだったようである。

「そうだったんだ。私はいつの間にか君と出会っていたんだね。」

「キミの心の強さは本物だよ。協力してくれて本当にありがとう。」

「私の方も、助けてくれてありがとう。それと、私の事を覚えててくれてありがとう。」

ナオキとエムリットはお互い、喜びの感情のもと、互いに微笑みあった。

その後、三大レジェンドはどこかへ飛び去っていった。

おそらく、それぞれの祠へ戻るのだろう。

「気をつけて帰るんだよ。もう捕まらないようにね。」

ナオキはポケモン達と共に手を振って三大レジェンド達を見送った。

その時、ナオキはふとある方向を見た。

「…!」

ナオキは、さっきまでの表情を一変させるように、ピクリと反応した。

少し黙り込んだ後、ナオキは言った。

「…みんな。」

「?」

ナオキの一言に、ディアルガを含むポケモン達は一斉に反応した。

「…今は、神様との初対面を喜んでばかりいる場合じゃないみたいだよ。」

その一言に、ナオキが向いている方向に真っ先に向いたのは、マグマラシだった。

その方向を見たマグマラシは言った。

「…どうやらそうみてえだな…」

ナオキとマグマラシの見る先には、まだ忘れてはならない存在が残されていた。

アカギは、うつ伏せに倒れた状態で、目の前に転がったものを見て呆然としていた。

「…『あかいくさり』が…崩れてなくなってしまった…!?」

アカギの前で転がっていたのは、三大レジェンドとナオキ達によって砕かれた『あかいくさり』のかけらだった。

そのかけらは、そこにダメ押しをするかのようにアカギの目の前で粉々に崩れて消滅した。

アカギは、わなわなと手を震わせた。

「なぜだ…!なぜ鎖が壊れた…それになぜ…」
アカギは、ナオキの方を向いた。

「シンジ湖のポケモン、エムリットがおまえの側に現れた!?」

ナオキは、見下ろすような様子でしばらく沈黙した後、アカギに言った。

「…さあね。貴様に言ってもわかりゃしないさ。」

その理由は単純明快だったが、ナオキはそれを話してもわかりはしないとすぐに悟り、それ以上は言わなかった。

ましてや今のアカギには…

アカギは、慌てふためくように辺りを見回した。

「いや、それよりもだ!ギンガが!私の望む新しい世界が消えただと!!」

周囲を見回しているアカギに、ナオキは言った。

「ふん、どうやら私も予想外の大どんでん返しだったようだね。直前までどうなるかと思ったけど、これで貴様のくだらないふざけた野望は潰えたというわけだ。」

ナオキの話し方は、さっきまでのアカギの時と完全に逆転していた。

その反面、感情を殺したと言っていたアカギの顔は憎悪に満ちていた。

「…許さん。」

アカギは、今までにない殺気に満ちた憎悪でナオキを見た。

「あの3匹をもう一度とらえ、『あかいくさり』を作り出してやるッ!その前に!おまえをたたきのめそう!!」

この上ないほどの怒りをあらわにしたアカギを前に、ナオキは言った。

「ふん!あの時といい、『感情を殺した』と言ってた癖に、随分とご立腹のようだな。私を許すつもりはないようだが、私も貴様を許すつもりはない。」

ナオキは、トライス・ソードを構えた。

「己の身勝手な目的で、みんなが持つべき全ての物を自分一人だけの物にしようとし、この世界に生きる全ての存在を滅ぼそうとした貴様を私が…いや、この世界に生きる全ての者達が黙っちゃいないぜ!!」

舞っていた砂けむりは、ナオキの姿をいまだに覆い隠していた。

その中から、ナオキの声が聞こえてきた。

「貴様の悪行…もはや見逃す事なんて論外なほどできない事…貴様のふざけた野望を、跡形もなく打ち砕き、シンオウ地方の…いや、この世界の平和を護って見せる!」

ナオキのこの一言と共に、砂けむりが晴れ渡っていった。

砂けむりが晴れ渡った時、隠されていたナオキの姿が明らかになった。

「このトライス・ライト、『グロリアス・フォルム』がね!!」

明らかとなったナオキの姿は、今までのナオキの変身していた姿とはかけ離れた、それどころか今までを完全に超越しているものだった。

羽織っていた服は、さらに強化された鎧のようなものになり、その背中にはエアトスの翼がさらに強化された形で生えている。

そして何より、持っているトライス・ソードは普段強化モードにした時とは大きくかけ離れた大きくそして強大な力を感じさせるオーラを放った剣になっていた。

その刃渡りからは、先ほどの『時の咆哮』を薙ぎ払ったのが証明されるように、煙が出ていた。

「ナオキ、その姿は?」

マグマラシは、ナオキに言った。

「このフォルムは、『グロリアス・フォルム』って言うんだ。トライスさんの形態の中で、一番強大な形態で、その力はトライスさんも知らないほどの規模らしいんだ。」

ナオキは、腕を上げた。

ふと見ると、その手首にいつもついていたはずの金色の腕輪のようなものがなかった。

「私は、普段ここに腕輪のようなものをつけてるんだけど、これは飾りじゃなかったんだ。あれは、『守護者の腕輪(ガーディアン・リング)』と言って、この形態を封印するためにつけられていたんだ。」

ふと見ると、ナオキの近くに外れた腕輪のようなものが落ちていた。

さっきの何かが外れる音は、ナオキがこれを外した音だったのだ。

アカギは予想を遥かに上回る光景を目の当たりにして、初めて慌てた様子を見せた。

「ま…まさか…あの技を剣で受けとめるどころか、薙ぎ払ってしまうとは…何て奴だ…」

その時、アカギはふとナオキの様子を見た。

「…!」

その瞬間、アカギは再び冷静な表情に戻った。

「ふ、その様子から見るとその形態はかなりの負担になるようだな。」

アカギは、すぐにナオキの実状を見抜いた。

ナオキが激しい息継ぎをしているのは、一目でわかるほど鮮明な事だった。

「あの技を剣で薙ぎ払われた時は、一瞬どうなるかと思ったが、それでは満足に戦い続ける事はできまい。」

アカギの言っている事は全てにおいてもっともだった。

ナオキの状態は、先ほどの技を薙ぎ払った時でもかなり響いたらしく、どうにか立ち止まれているという事がわかるほどガタが出ていた。

この状態では、もはやごまかしは効かないのは見えていた。

すると、ナオキは言った。

「戦い『続ける』必要なんかないさ。」

「?」

アカギが、ナオキの一言に反応した時、ナオキは言った。

「次の一撃で、貴様のふざけた野望を粉々に粉砕してやるよ!剣だけでこの威力なら、次の一撃で全てが決まるとわかったからね。」

ナオキは、先ほどの事でこのフォルムはそれ以上の力がある事がわかり、それはさらなる本気を出せば、この相手でも勝てるという確信を持ったからだという様子で言った。

しかし、その余裕ぶってるような中でナオキはひそかに焦っていた。

(このフォルムといい、エアトスさんの力といい…予想以上に負担になってるのはわかる…しかも、エアトスさんが言っていた事…やっぱり慣れない事はするものじゃないという事か…)

強大な力には必ずそれに見合う負担や代償があるもの。

それは、ガーディアンの力も例外じゃないようだ。

そして、ナオキが言う『エアトスが言っていた事』は、それとは何か別の事があるような雰囲気だった。

ナオキは、アカギの方を向いた。

(く…奴を挑発できたから狙い通りになれたと思ったけど、もう冷静さを取り戻すなんて…)

ナオキが、アカギを挑発したのは、覚悟じゃなく、『狙い』だった。

ナオキがアカギを挑発したの目的は、それに対する報復をこの『グロリアス・フォルム』の力で回避できる可能性があるもと、それによってアカギの判断力を奪うためだったのだ。

しかし、狙い通りアカギに癇癪を起こさせたのはうまくいったのだが、計算外な事にナオキがそう長く戦えない事がわかった瞬間、アカギはあっさり冷静さを取り戻してしまった。

せっかくの作戦も元の木阿弥になり、初めてとはいえ、このフォルムも長く戦えないという状況がナオキをさらに焦らせた。

「…!」

その時、ナオキはふとディアルガを見た。

その瞬間、ナオキはディアルガから何かを感じ取った。

少し黙りこんだ後、ナオキは言った。

「…ディアルガ。君も本当はそう思ってるんだね…」

「?」

ナオキの突拍子もない一言にアカギは、ピクリと反応した。

ナオキは言った。

「ディアルガ、君だって本当はこんな事はしたくないんでしょ!?私には、わかる!君の『心』が私にそう言ってるんだって!」

ナオキは、ディアルガの心に訴えるように言った。

ナオキは、気づいていた。

ディアルガから伝わるディアルガの苦しみ、そして…

ディアルガからこぼれている涙の存在に…

それに対して、アカギは言った。

「くだらん!何が心だ!そんなものはまやかしだと言っただろう。」

「それは貴様の考えだけだろ!貴様には、見えないのか!貴様の言う、目に見える存在としてディアルガの心が現れたとしても!」

ナオキの言う『見える存在として現れた心』とは、ディアルガが流した涙だった。

ナオキは、見える存在、見えない存在共にディアルガの心を感じ取っていたのだ。

しかし、見える存在であっても、心そのものを否定しているアカギにはそれは通用しなかった。

「ふん。ならばもういい加減こんな茶番は終わりにしよう。」

アカギは、ディアルガの方を向いた。

「今こそ、この世界を破壊し、新たな世界を築く!私とディアルガ以外の存在を全て無に帰すのだ!」

アカギが言うと、ディアルガが咆哮して、そこから大きなオーラが発生した。

その影響が及んだ場所は、存在そのものに及んでいるように、姿形が歪み、崩壊していった。

「やりのはしらの周囲のものが崩壊していってる…」

「ディアルガの影響で、存在そのものが時の流れによって消されていってるのか…?」

レントラーとエルレイドが言った。

もはや、ここにいるポケモン達はそれを見ている事しかできなかった。

その中で、マグマラシだけどうにか動こうとした。

「くっ…ナオキ、オレも…」

マグマラシは、残された力を振り絞るように、ナオキの方に向かおうとした。

しかし、ナオキがそれを察知したように後ろを向いたままマグマラシに言った。

「今回はいいよ、マグマラシ。」

「…!?」

ナオキの一言に、マグマラシは一瞬動きを止めた。

「…私は、いつも君達に色々戦ってもらったり、君達ポケモンに色んな事をさせてばかりいた…。ポケモンと同じ力を持ち、それと同格の立場になってるのに、結局ポケモンばかりに任せてるのもどうかと思ってさ…」

マグマラシは、ナオキが言いだした事に懐疑を抱いた。

実際、確かにナオキは戦わず、ポケモンだけが戦う事はある…

でもそれは、大抵たいした相手じゃなく、それなりの強敵であれば、ナオキは普通に参戦している…

今だってそうだ。

頼りだと言っているポケモン達が戦意をなくしている中、ナオキはそれでもみんなに代わるように戦いに臨んでいる…

それなのに、ナオキがわざわざ本人もそうじゃないとわかっているにも関わらず、こんな事をわざわざ言うなんて…

マグマラシの中に、今までにない大きな不安がよぎった。

「ナオキ…まさか…」

マグマラシがそう言うと、ナオキはその後をかき消すように言った。

「…まあそういう事もあるのと…こういう局面は、なかなかないのもあるからさ…たまには、私にも、いいところ取らせてよ。」

「!」

マグマラシはすぐに察知した。

この陽気そうな雰囲気に潜む、ナオキの本音を…

ナオキは剣を構えた。

「この一撃で、全てを決する!!」

「ナオキ!」

ナオキは、全身から今までにないオーラを発した。

そのオーラは、二つの剣に集約され、剣全体が輝きだした。

その瞬間、ナオキは技を放った。

「『テラ・グロリアス』!!!」

ナオキの大きな掛け声と共に、これまでにない最大規模の大きな光の塊が放たれた。

放たれた光の塊は、まっすぐ飛んでいき、ディアルガに命中した。

しかし、多少の効果はあったが、ディアルガはびくともしなかった。

(く…やはり、さっきの技の影響と、エアトスさんが自身の力を怖れて力を全力で出せない事が響いてるのか…完全に押されている…!)

ディアルガの影響がナオキに迫っていく。

ディアルガの影響が及べば、ナオキは跡形もなく消される。

それでも、ナオキは全てが続く限り、技を撃ち続けていた。

「逃げろナオキーーーーーー!」

マグマラシはナオキに叫んだ。

しかし、その瞬間、ついにナオキにディアルガの影響が襲い掛かった。

「ナオキーーーーーーーーーー!!」

やりのはしらに、ポケモン達の叫びが響き渡った。







その時…





パァァァ…





ディアルガの影響がナオキを呑み込もうとした瞬間、ナオキは大きな光に包まれた。

ディアルガの影響の中にいながら、ナオキは消えていなかった。

そこへ…

「…!」

ナオキの目の前に、見覚えのあるポケモン達が現れた。

それは、あの湖の三大レジェンド達だった。

「君達は…」

「間に合ったようだね。」

そう言ったのは、意志の神、アグノムだった。

「ごめんなさい、祠で体力を回復していたので遅くなってしまいましたが、間に合ってよかったです。」

そう言ったのは、知識の神、ユクシーだった。

「キミが伝えていた心の声、感情を通してボク達にしっかり届いていたよ。」

そう言ったのは、感情の神、エムリットだった。

「どうして君達がここに?」

アグノムが言った。

「今こそボク達がキミ達の力になる時だと思ったからだよ!どんな境遇になっても、キミは諦めてなかった。その意志がボク達を呼び寄せたんだ!」

続いてユクシーが言った。

「ナオキさん、私達が今から力を貸します。あなたは、ディアルガを縛っているあの『あかいくさり』を狙ってください。」

エムリットが続けて言った。

「ボク達は、あいつによって限界を超える力を搾り取られた。だから、ボク達だけの力じゃあれは壊せないんだ。でも、キミがいれば出来る。だから、協力してほしい!」

ナオキの答えは決まっていた。

「わかった!それじゃあ、お願いするよ!」

そう言って、ナオキは剣を構えた。

三大レジェンド達は、ディアルガの方へ飛んでいった。

三匹はそれぞれ、三角の位置になるように着いた。

そして、三匹は額の石のようなものを光らせた。

すると、ディアルガを縛っている『あかいくさり』がきしむ音を立てた。

「今だよ!」

エムリットがナオキに言った。

「OK!『テラ・グロリアス』!!!」

ナオキは全身全霊を込めた勢いで技を放った。

その技は、ディアルガに当たり、同時に『あかいくさり』全体にも着弾した。

『あかいくさり』のきしむ音は大きくなっていった。

そして…






パキィン!!







ディアルガを縛っていた『あかいくさり』が音を立てて砕けた。

その瞬間…







ゴオオオオオオオオ!!







ディアルガの周りに物凄い勢いが発生して全体に広がっていった。

「ぐおおおおお!!」

近くにいたアカギは、勢いよく遠くへ吹っ飛ばされた。

やりのはしらに全てを包みこむ大きな轟音が響き渡り、やがてそこは静寂に包まれていった。
ナオキ達は、『やりのはしら』に向かった。

階段を駆け上がり、アカギとディアルガがいる場所に着くと、ナオキは足を止めた。

「…このポケモンは…」

ナオキは、目の前のポケモンを前にした時、一瞬言葉を失った。

ナオキには、一目でわかった。

ハクタイシティで見かけたポケモン像と、聖地エレメンタルでひそかに存在を確認していた、あのレジェンドの正体が今目の前にいるポケモンそのものであるという事に…

ナオキ達の前に立ちはだかるポケモン…それは、パルキアと並ぶもう一人のレジェンド、時を司る時間の神…ディアルガそのものだった。

アカギは、ナオキに言った。

「驚いたかね?これが、シンオウ地方を生み出した神話に残っているポケモン、時間の化身『ディアルガ』!」

「グオオオオオオオオオオオオ!!」

ディアルガは、空を見上げるように巨大な咆哮を放った。

その咆哮は、周囲にビリビリと響くほど強大なものだった。

その咆哮は、ただ大きく吠えただけとは思えないような響きも醸し出しているようだった。

「これがディアルガ…」

「シンオウ地方の神話に伝わる伝説のポケモンなのか…」

ナオキとマグマラシはその強大なスケールの存在に圧倒されていた。

シンオウ地方出身の仲間達も、伝聞だけで聞いた事が精一杯だったので、その初めて見るレジェンドの姿に圧倒されていた。

そのナオキ達を、ディアルガは禍々しい雰囲気で見下ろしていた。

アカギは、言った。

「さて、ここからが本番だ。」

「!」

アカギの一言に、ナオキはピクリと反応した。

「これより、私の計画を実行に移す。今の世界を、私が望む究極の世界にするより!新しい世界を創り出す!そして、私はその世界の神となる!」

アカギの発した一言に、その場にいる仲間達は騒然とした。

「…『新しい世界を創り出す』…?どういう事だ…?」

マグマラシは、アカギの発した言葉に今までにない感じを抱いていた。

その中で、マグマラシはあの時、ナオキが言っていた事を思い出した。

今アカギが言った事は、ナオキがあの時話していた推測と全てが一致していた…

「こいつ…まさか本当に…ナオキが言ってた事を…?」

「やはり…そういう事だったのか…」

そう言ってナオキは、前に出た。

「思った通り…全ては『貴様だけのための目的』のための事だったのか…」

ナオキは、トバリでの戦いの後からずっと今までにないような予感を抱き続けていた。

そして、聖地エレメンタルで分析した事が、ナオキのただの推測ではない、まぎれもない真実そのものであった事が明らかとなった。

「やはり…貴様の真の狙いは、『既存の世界を破壊して、貴様が望む世界に創り変える』という事だったのか…」

ナオキが分析で得た結論は全てが合致していた。

アカギは、冷静な様子で口を小さく上げた。

「ふふふ、その通りだ。今の世界のままでは、争いが存在する以上、今の世界は一度壊さなければならない。そして、また新たな世界を創り出し、ディアルガと共に、私が神として世界に君臨するのだ!」

アカギは、今まで話していた事に、自らの本音をさりげなく加えるように言った。

アカギの真の目的は、今の世界を一旦リセットして全てをなくし、そこにアカギが望む新たな世界を創る事だった。

そして、自らがその新たな世界の頂点に君臨する神となり、全てを支配する。

まさに、ナオキが推測していた事そのものだった。

結局、目的の全てが『最初から』アカギ本人だけのためだったのだ…

シンオウ地方の空は、シンオウ地方の危機を強調してるように、さっきまでの状態を逸脱するほどの異様な空気が漂い続けていた。

「く…そうはさせねえ!」

マグマラシが飛びかかった。

「くらえ、『ブラストバーン』!」

マグマラシは、全身を燃え上がらせ、強大な火の塊をディアルガに向けて放った。

「私も続く!」

ナオキは、全身を光らせると、強化版の形態『シャイン・フォルム』に変身した。

「『ライトニング・グランドクロス』!」

ナオキは、トライス・ソードを交差するように振りかざし、Xを描いた電流の衝撃波を放った。

「ナオキ達に続け!」

それに続くようにレントラー、ロズレイド、ムクホーク、エルレイドもディアルガに向かって攻撃を仕掛けた。

「無駄な事を。」

アカギは、軽い口調で言うと、ディアルガの方を向いた。

「やれ、ディアルガ。」

アカギがそう言った瞬間…

「グオオオオオオオオオオオオ!」

ディアルガは、大きく咆哮した。

「うわあ!」

「ぐあっ!」

「きゃあ!」

その咆哮だけで、ナオキを含む全ての仲間達は遠くに吹き飛ばされていった。

それに限らず、ナオキ達が放った最大規模に相当する技をいとも容易くかき消してしまった。

全ては一瞬だった。

アカギとディアルガが見下ろす先にあったのは、誰一人立っている存在がいない、ナオキ達の姿だった。

「神である私にさからうとは愚かな。キミ達がいくら束になってかかってこようと、神の力を得た私に敵うものか。」

そう言うと、アカギは再び後ろを振り返った。

「ほんの少しだけでもこの威力とは、さすがは神と呼ばれしポケモン…。これほどの力を持ってすれば、私は間違いなくこの世界の神、いや創造主となれるだろう。これで、神の力に限らず、全てが私のものだ!」

アカギがそう豪語すると、ディアルガから再び大きなオーラが発生した。

そのオーラは、さっきよりも強大で、先ほど起きていた異常を超えるような事を周囲に起こしていた。

それはまるで、この世界そのものが歪み始めているかのように…

その様子をうつ伏せで倒れていたポケモンは、ただ見ている事しかできなかった。

「そんな…オレ達の最大の技でも歯が立たない…」

マグマラシは、今まで経験した事のない事に無力感を抱いていた。

「たった一撃で…しかも…まだ本気の一部も出してない威力でみんな全滅するなんて…」

「こ…こいつは今まで戦ったポケモンなんて関係ない…次元が違いすぎる…」

レントラーとムクホークは、目の前の相手に一目でなす術ない事を痛感していた。

「ぼ…ボクでさえも、技を当てるどころか…近づく事も出来ないなんて…何て力なんだ…」

エルレイドは、一目で気づいていた。

このポケモンは、今まで戦った相手とは全てが違う、今の自分では勝ち目がないという事に…

「こ…これほどのポケモン…私ではどうにもならないですわ…シンオウ地方は…もう全てが終わるしかないのですか…?」

ロズレイドは、震えながら大きな絶望感と自身の無力さを痛感し、涙をにじませていた。

やりのはしらにいるポケモンは、体力は残っていたが、それとは別に、もう戦う気力は残されていなかった。

やりのはしらに一瞬の静寂が漂った。

その時…

「何を…気取ってるんだ…」

「!」

アカギが声のした方を向くと、そこに立ち上がろうとするナオキの姿があった。

「ほお、あれだけの攻撃をくらいながらまだ立てるとは…」

アカギはナオキを見下ろしながら言った。

ナオキは、満身創痍になりながらも、どうにか体を持ち上げるような形で立ち上がり、体制を立て直した。

アカギの方を向くと、ナオキは言った。

「はっきりと言おう…やはり、貴様は、神の力なんか得ちゃいない!」

「…!」

ナオキからのこの期に及んだ中での意外な一言にアカギはピクリと反応した。

「トバリで貴様は『ポケモンを私自身の力とする』と言っていたけど、所詮はその程度か。結局はモンスターボールで捕まえたのと変わらないよ。」

ナオキは、アカギに言った。

「私みたく『私自身の力そのものとして身についてない』どころか、その力の使った本人が貴様自身のした事でない以上、貴様は結局神そのものになってない!いや、それどころか貴様はディアルガの力を手に入れてすらいない!」

「何だと!?」

ナオキからの一言に、アカギは一瞬表情を歪ませた。

それに、続くようにナオキは言った。

「今ここにいる真の神と言える存在は、他でもないそのディアルガ本人だけだ!貴様はただディアルガという本当の神の後ろにこそこそ隠れて、自分を神だと勝手に気取り、そして名乗ってるだけの存在に過ぎない!そんな奴が、神を名乗ろうなど、そんな奴はただのゴミ以下だ!」

「!」

ナオキが言った一言に、アカギはさらに表情を歪ませた。

アカギはしばらく黙り込んだ後、下を向いたまま言った。

「…今なんと言った…」

その声は、先ほどとは違う、殺気を漂わせるようなトーンになりかけていた。

それでも、ナオキは怯む事なく、言葉を続けた。

「ふん。トバリの時は、私にどんな正論を言われても動じなかったのに、こんな子供のような言いがかりに反応するという事は、貴様もひそかに自覚してるという事なんだね。やはり、貴様は神なんかじゃない!貴様は、ただディアルガの陰にこそこそ隠れて威張っているだけの、ただの他力本願の悪党アカギに過ぎない!」

この一言に、アカギはついにカッとなった。

「誰に言っている!私は神だぞ!」

それにすぐ返すように、ナオキは豪語した。

「いいや!貴様は、ただの他力本願の悪党!貴様は神もへったくれもないただディアルガという本当の神の後ろにこそこそ隠れているだけの、悪党アカギ以外の何者でもない!」

ナオキは、心から発するような勢いでアカギに豪語した。

「やめろ!ナオキ!これ以上奴を挑発するな!」

マグマラシは、ナオキの身の危険をいち早く察知して、慌ててナオキに言った。

しかし、その頃にはもう遅かった。

今まで余裕綽綽のように冷静に振舞っていたアカギは、とうとう癇癪を起こした。

「お…のれ…そこまで神を愚弄するとは…!」

「何度も言わせるな!貴様は、神なんかじゃない!」

ナオキのこの一言に、アカギはついに業を煮やした。

「この後に及んで何度も…身の程知らずめ…もう許さん…!」

アカギは、憎悪を爆発させるように叫んだ。

「砕け散れええええええええええええええ!」

アカギの大声と共に、ディアルガはナオキに向かって強大な咆哮を放った。

ディアルガから放たれた咆哮は、ナオキに向かって飛んでいった。






ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!






ディアルガの咆哮は、たたずむナオキを容赦なく呑み込んでいった。

「ナオキーーーーーーーーーーーー!


マグマラシの叫びが『やりのはしら』に響き渡った。





その時…







パキィン…








咆哮の向こうから、何かが外れたような音が聞こえた。

その瞬間…









シュパッ…!

咆哮の中から一筋の閃光が線を描くように発生した。

そして…






ズバア!






「!」

目の前の光景に、その場にいる者はみな目を疑った。

ディアルガの放った咆哮は、ナオキがいると思われる場所で真っ二つに切り裂かれ、後に続く部分も、そこに刃があるように途切れる事なく切り裂かれていった。





ドドドドドドドドドドドド…!






切り裂かれた咆哮はそのまま向こうへ飛んでいき、その先にあった遺跡の部分に着弾していった。

着弾した場所は、粉々に砕け、左右の前方の方に砂となって崩れていった。

砂けむりが舞う中、辺りはしばらくさっきまでとは真逆の、静寂に包まれていた。

その中で、『やりのはしら』にいるナオキ以外の存在は、みなこう思っていた。

『一体何が起きたのだ…?』と…