忘れてしまった様に

きっと思い出せない

心の欠片は

小さく砕いて飲み込んだ


忘れないで


声は遠くになって

好きになれないまま

嫌いに摩り替えた

それで良かった

滲んだ雲の行方も

言えなくなって

壊れた世界の事も

忘れた君の事も

もう落ちてしまって、


何処にも行けないよ


眩暈ばかりの夢と

白日の嘘を抱えて

本当の言葉なんてないと

詰め込んだ事

溢れだした事

黒電話の向こうは

きっと忘れてしまった

揺れたコードの

中身を覗いて

君を忘れた


掛け間違えた

ボタンをどうする?


淀んだ幽かも

きっと夢なんだと

好きになれなくて

嫌いだと勘違いした

一つ重ねた君の事

忘れるたびに見つけた


君の事。


苦しくなる

白銀の夢は

どうしようもなく

心を突き刺していく


何が見える?

其処からは

何が見えて

何を想う?

夢を見る事は

とうの昔に諦めた

自分自身が描いた

正義という名の仮面も

重く鈍くなる

心が、死に絶えていく


痛みを携えて

その掌で掴んだ

大切だったものが

冷たくなる

擦り抜けていく

守りきれない事も

分かっていたはずなのに


綺麗に並べた

言葉の一つ一つが

溶け出していく

腐り果てていく

掴めない、

逃げれない、

その癖強く思うのは

抉られる様な

胸の痛み一つ


何も見えない

其処からじゃ

何も感じはしない

心一つ

携える事を忘れて


ただ強く願う

叶わないならせめて

届いてくれと

手向けた願い一つ

宙に投げ捨てて


白銀の夢が

心を携えた


目蓋が、重く。


鉛の様に

重く鈍く落ちる空

何も見えないよ

街行く人の顔も

誰かの感情も


嫌いなものばかり

転がっているから

小さく逸らした視線も

言えない癖にさ

どうしようもなく

言葉が零れていく


「何処にも行けないよ」


追いかけるには

あまりに遠すぎた

雑音だらけの街も

溺れるには

不自由な世界で


空っぽなまま

拾い上げるには

重い感情と

君の背中は見えないから

背中を預けて

揺られながら見送る

雲を追いかけてみようか


「もう、何も、見えないけど」


痛み始めた心

愛なんて語るには

幼すぎた二人だから

嫌いになるなんて

あまりに簡単で

あまりに困難で

あまりに複雑で

あまりに悲しすぎた


手も繋げなくて

追い付けもしなくて

遠ざかるだけの世界で

何も言いたくなくて

何も見たくなくて


丁寧に其処に置いた

君の言葉をどうしようか、

眩暈が殺した

白い顔を掻き消した

許されたいなんて

思う事も諦めた


だから僕は

君の手を離した

君の手を殺めた

君の声を

君の顔を

君の心を、


切り裂いた鈍色の雲

隙間風が頬を撫ぜる

勝負だ、呟く声も遠く


反響した鉄の塊が

夜の合間に溺れていく

街灯の向こう側

誰かの足跡を並べて

その度に忘れてそうになる

茹だる様な熱でさえ

掠めた温度差の渦中


その腕を取って

コードレスの世界が

少年の視界を埋めていく


希望論がなんだ、

終末論がなんだ、


手の甲で拭った傷口が

忘れそうになる言葉を

何度だって此処に置いていった


前だけを向けよ。

笑い飛ばせるまではさ。


精一杯の力で握り締めた銃と

目深に被ったフードの奥で

見据えた世界の中じゃ

酷く小さな幸福論、

それでも別にいいんだと


イチは叫んだ。

ゼロは望んじゃいない。と、

足並み揃わない雑音で

蹴飛ばした風景の間

その白いだけの世界を殺して

散々な人生に華を添えようか、


手向けるのはそれだけで十分だ。


裾が解れた指先で

指差す銃声の引き金を引いて

それが最後だって笑ってくれよ、




「イチとゼロの争奪戦」


薄く笑う君の

本当の気持ちは

何処にあるんだろうね


泣きたくなるほど

君の声は届かない

どれだけ悲しげに

辛そうに顔を歪めても

何一つ言葉を漏らさない


吐き出せない毒と

滲みだした本音は

何時までも君を苦しめて

見ないふり、知らないふりの僕は

強く掌を握るしか出来なくて

嫌なものだけを

取り除けたなら

きっと君は幸せになれるのかな、


いや、なれないだろうね。


その笑顔の裏の

本当の顔はきっと

何時だって泣き出しそうに

歪んでは軋む

心の隙間

噛み合わない歯車と

均衡を保てない天秤

擦り切れて血が滲んだ心は

涙を流す事も忘れて


きっと君は知らない。

僕らの事も

自分の事も

忘れてしまって

もう思い出せないのかな

それでもいいと思ってるのかな

小さな蟠りとしこりは

緩やかに君を苦しめる


その真綿の様な

純粋な毒に溺れて

君の掌を掴んだ僕の

本当の心が伝わればいいのに、


いいのに。な。