少年は立ち上がる

打ち付ける雨の中

白い部屋はぼんやりと光る

配線を千切って

切れ切れになった隙間を

何も言わず潜り抜けた


何度か声に出した

伝わらない感情

言葉じゃ言い表せない

心の奥底の×××

嗚呼、もう

どうしていつも

こうして、

どうして。


少年は叩きつけた

拳だって掠れて

コードが狂う


『僕の存在価値を

存在意義を教えてよ、

そうすれば、

僕は、


僕は、』




「少年は続かない言葉を見失った」




君を知る度に

泣きたくなるほど

愛おしさが募った


僕は、此処だ


何度も繰り返して

書き直したプロローグ

この物語に

僕は居ないんだね


小さく笑う君の背に

僕の指が擦り抜ける度

大事な物を無くして

きっと僕は笑えないまま

終わりの舞台を眺めた


僕は、観客だ


スタッフロールの中に

名前を連ねる君と

それを見て泣きそうになる僕と

一緒にはなれなくて

後悔だけが静かに満ちていく


僕は、此処に。


痛いんだよ

ずっと奥のほうで

燻っている感情が

濡らした頬を笑って

僕も泣きながら笑って


僕は、居ない。


もう、いいよ。


全部は還さないで


全部を許さないで


一つでいい


分かりあう事もない


辿る足跡に


沈む心の音を


僕の持つギターが


声をあげて軋む


果てしない罪悪と


一瞬で溶けた


贖罪の断罪


もう、止めてよ


許さないでいい


還す事も諦めて


永遠なんていらない


永久なんて


夢でしかない


墜落する感情


手離したギターが


緩く弦を跳ねさせた


どうして?


その言葉の先は


何も繋がらない


伝わらない事が


瞬く間に足元に散らばって


声をあげる


気付けよ、と


一つが殺された


塞いだ耳の奥で


誰かが責めている


許さない。


貴方が笑うその全てを


僕が望むその一つを


振り上げた

鋏を突き立てて

抉じ開けた

その胸ん中

ドロドロの感情論

嘲笑で誤魔化して


泣いて請うて

それでも意味なんて

無い物ねだり

何度繰り返せば

分かるんだろうね僕らは

丁寧に書き起こして

それでも破り捨てた

本当の言葉の行方


愛を語るなら

夢を見る事も厭わず

それでも痛みの中で

喉を引き裂いて

叫び出したい

感情を丁寧に並べて

愚かしいまでの心


もしかして、なんて

そんな安いだけ

君が知らない

僕が全部言ってあげるよ

グチャグチャな言葉を

適当に繋ぎ合せて

都合の良い様に

自分勝手な論理

なんて醜いのか


振り翳した

影の奥で君が見開いた

硝子玉は繰り返す

あの日の夢は

いつだって悪夢さ


隠さないで

殺めないで

どんな嘘も

吐き出す様に零して

両手で救いきれない

たくさんの言葉が

宙に消えていく


それでいいんだ

足蹴にした大好きな物

少しずつ汚れて

嫌いになって

小さく痛んだ

心を無視して

塗り潰したのは

何時かの青空


忘れていたのはどっちか

夢の様な僕らの世界

渡したもの全部

返ってくる筈もなくて

その代わりに

言えない事が増えた


どうしてだろうね

遠ざかるばかりの思い出

振り払った手の温度は

何処に消えたのか

霞んだ視界の中で

笑えない君と

泣いてる僕が残された


許さないでよ

汚れてしまった

それを拾って

笑えないって

言ってしまってよ。


両手を後ろに

何時かの様に隠して

泣き出した君の背中を

掻き抱く様に

指先に力を込めた

救えない言葉が

悲しげに臥せっていく


誤魔化した言葉でさえ

牙を剥いて心を傷付けて