TRIANGLE -42ページ目
貴方に残した
足跡は陰りを帯びて
その瞳に影を一雫、
口々に語られた
貴方の嘘を拾って
生きる為に必要で
貴方を知る為に
何故私がその手を払う?
ささやか犠牲の先で
誰も知らないでいたのに
夏が引き摺られる
ぶわり、と頬を撫ぜた
体温を貴方はきっと知らない
それが選ばれた事だとしても
見えている現実は
見えない事を許さなくて
聞こえないふりを続けた
それが罪だと押し付けられて
誰かの「責任」に足を取られた
それは「罪」ですか?
無知が心を巣食う前に
誰かが投げた賽は
頭上高く空に溶けてしまって
夏の温度が土を乾かす
枯れた涙はもう戻らない
掠れて消えた声だって、
誰も気付かないから
ゴーグルを引き下げる
硝子越し奥に覗いた
翠の瞳は緩やかに伏せられた
「其れがそう在る為に、」
開かれた言葉の次は
誰が望んで枯れていく?
まるで罪なんてない様に
まるで罰なんてない様に
それは誰の為の言葉で
それは誰の為の行為で
傷付けたのは何時だって自分だろう?
綺麗なだけの言葉で片付けられる
そんな世界の中心で
罵倒されたのは理想論で
無理矢理に目を合わせる
標準は何時だって右ならえ左で
その頭を打ち抜いたのは
誰かの理想を掲げたスコープで
正義なんて何処にも在りやしない
犠牲の上で成り立つ正義の
痛みは誰にも分かりやしない
蒼の空想はきっと
その手を血に染めるには惜しく、
赤の現実は誰よりも厳しく
何よりも当たり前の真実を、
黄色の幻想は
きっと何よりも美しい
綺麗事だけを並べた世界で
正義を撃ち殺したこの掌で
翠の瞳を伏せる
理想を語るには
この世界は汚すぎた
そう在る為の力は
何よりも騙る事が上手になりすぎた
まるで滑稽な道化師の様に
諦める事に慣れた頭じゃ
何一つ変える事なんで出来やしない
手を引かれ歩き続けた
引き摺られてばかりの思考じゃ
誰も救う事なんで出来やしない
嗚呼、まるで、「そう」在る為に。
吐き出した吐息
夢見がちな理想論
青の隙間を覗いて
ずっと底の方に手をついた
膝を抱えるには
幼く拙い感情
瞬きした嘘吐きに
誰も言葉を返さず
落ちていく鉄の翼
淀んだ瞳に選ぶ
霞んだ空想都市
意味も理由も無い
其れだけの指先に
まるで誇りを掲げて
見開いた鳥の渦
曇天に垣間見た
空は何時だって
そう在る様に
丁寧に辿った
その中で生き続ける
呼吸を途切れ途切れに
飲み込む様に生きる僕は
まるで植物の様に
これは理想と空想の噺だ。
何時までも目を閉じている
僕の中の独り言。
望んだ世界は
鮮やかに死んでいった
褪せた夢ばかり
視界に広がって
まるで終わる事が
初めから決まっていた様、
忘れられる事が
幸せだと気付けたら
望める事が
幸せだと気付けたら
貴方を傷付けるだけの
私の言葉が
貴方を殺してしまう前に
私を許す貴方の事を
私が許せなくなる前に
さようならを選んだ世界を
鮮明に心に残せたら
きっとそれこそ幸せだと
笑える事が出来る未来を
私が両の腕で抱えて
笑ってみせるから
その先で貴方が
泣く事もなくなって
口を開く事がなくなったら、
瞳を閉じて、耳も塞いで
何も、何も無くなったら
その時がきっと、
貴方と二人で居られる時でしょう
その時がきっと、
二人の幸せでしょう。
痛みを弔う
吐き出した呼吸
狂い出す思考
嗚呼、罪悪の片隅で
私は膝を抱えた
踏み付けた
土の上で貴方は笑う
白く握りしめた腕の中で
誰かの声が響く
罅割れた世界は
祈りを蹂躙して
踏み躙る様に
優しさを辿った
諦める様に
その瞳を伏せた
突き刺さる様な痛みは
存在を主張して
惑わす様に誘う
折り畳んだ思考を
皺を伸ばす様に広げ
時折破れた箇所に
指を這わせて
滑り落ちる様に
言葉を残した貴方は
きっと誰も求めていない
意味を伴う事に
貴方は独り笑って
私の腕は
静かに離された
罪悪に満ちた世界は
何時だって優しさを殺す

