TRIANGLE -33ページ目
優しい嘘を吐くには
あまりにも遠くて
柔らかな絶望も
移ったままの温度も
きっと忘れたまま
その手が触れるには
穏やかな表情が
悲しげに揺れるのを
僕は知ってしまったから
手を取り合うだけの
そんな時間に浮かぶ
それだけを選んだ
この温度の中で
残酷な話はナシにしよう
教えてくれた沢山の事とか
気付いた色々の事とか
優しいだけじゃダメな事とか
きっともっともっと
思う事や言いたい事
在る筈なのに
夢や理想みたいな
温かな幻想の中で
きっと忘れてしまうよ
知っていたんだろう
気付いていたんだろう
もう何も言わなくて良いよ
手を取り合うだけの
簡単な世界の中で
小さく嘘を吐く
君は気付くかい?
理想を吐きだしたって
何も変わりはしないけど
その瞳に映る僕は
確かに僕の筈なのに
違和感ばかりが
胸に犇めいている
「覚えているか?」
最初の言葉も
続いた言葉も
何一つ変わりはしない
それなのに僕は
何一つ覚えていないんだ
笑えない僕を横目に
言葉の意味なんて
ないかのように
静かに笑い飛ばすんだ
心の中で僕が死んでいく
呼吸を続ける身体を
苛んでいく罪悪に
零れ落ちた拙い命は
長い夢の中で溺れてしまった
影が付き纏う
僕は、確かに
此処に居た筈なのに、
「思い出せるか?」
何一つ変わらない
生きたままの鼓動が
笑みを浮かべる様に
一つ音を鳴らして
僕が僕を認めて
僕が僕を選んで
僕が僕を愛せれば
きっと僕は僕と
笑い合う事が出来るんだ
誰よりも優しく在る様
誰も拒まぬ盾になる様
痛みと引き換えに理想を
苦しみと引き換えに絆を
誰も彼もがその意図に
顔を歪める事の無い様
貴方にはその手を
優しく労わる様に
踏み躙られた花束を
憐れむ権利が私には無い
その手が拒んだ理由に
私が気付く事が無い様に
貴方の言葉が私に届く事は
二度と在りはしない
それでいいのでしょう?
貴方が望んだ世界で
私が死んでいく様は
きっと一つの喜劇
夢も理想も希望もない
生の空気を殺してまで
選んだ死のマントを被る
吐き出した呼吸が熱を孕む
その理由など知らなくて
知りたくもないのだから
そんな目で私を見ないで
都合の良い盾で居させて
そんな震えた手で触れないで
泣きそうな瞳で僕の手を取らないで
悩む事も途惑う事もない
単純な駒のままで居させて