TRIANGLE -201ページ目
閉ざした瞳の奥で
笑いかける仮面
千切ってしまえ、と
力を込めて切れる掌
誤魔化せない痛みと
苦しみはずっと心に残る
許してほしいだけの
自分本意の考えが憎い
意識を殺して笑うたびに
歪めた表情が辛い
いっそ貴方だけを思えたら
どれだけ幸せだろうか
降り頻る花弁に溺れて
色彩の海に沈めば
貴方を素直に愛せただろうか
黄昏に俯く夕暮れに
貴方の立つ瀬を想う
もう終わらせて
貴方だけを想っていられる
今の時間が愛おしいのに
殺めて揺れる糸の音は
貴方の首を絞めていく
笑いかけた貴方が
見えないよ、見れない
抑え込んだ喉の奥に詰まる
言葉の羅列すら
伝わらないよ嘆いて
ゆるして、なんて
謂えないよ
それが罪なんだから
貴方一人に押し付ける
罰の重さは枷になって
僕の足をとる
「―――」
言葉なんて出ない
言葉なんて要らない
言葉なんて殺して
伝わらないなら
何一つ要らないよ
ただ貴方がいれば
それだけで良かったのに
花弁に溶けていく
嘘が責苦となって
僕を静かに殺していくんだ
灰色の呼吸音
途切れた目蓋の裏
交わしたのは小さな契り
小指は夢見る幼子
聴こえない言葉は
風に攫われて泣いていた
明るく眩い畔は
腕を捨てる様に四肢を広げ
誤魔化した指先を
捕えては泣きだしそうに歪めた
表情の奥で叫ぶ鼓動
止めて、聴きたくない
この呼吸が千切れては
夕暮れを閉ざした
滲んだ悲しみも見ないで
向こうへ見えた青空も
仰いだ霹靂も染まって
もう隠せないまま
見付かってしまって
もう良いよなんて
弱音に俯いた横顔も
彷徨った掌に収まる
あの時の吐息も
嘯いた私を殺す
崩れた感情の城壁に
立ち竦む貴方を見つけて
幼い温度は捕まえた
導かれる様に嘘を吐く
交わしたのが運命だと
言い聞かせたのは心の傷口
痛いということも覆って
あの日から変わらない
苦しみも辛さも
何一つ知らないで
伝わらないなら最初から
無かった事にして殺める
夕暮れの茜は優しく
泣き出した幼子を抱き竦める
諌める言葉も慰める声も
優しさで染まる林檎の様な頬
遥かな時間は永遠を望んで
灰色の呼吸も閉じた物語
栞も何時しか失くしてしまって
もう触れられない箱庭へ
縺れたこの足で踏む
どうして伝わらない
踏みつけているのは
貴方の鼓動と契り
幼い夢物語も約束も
小指が溺れた貴方の行方
愛せない、なんて
貴方が呟く嘘に締め付けられる
叫ばないで私の心
何処までも優しい貴方の嘘に
もう二度と溺れる事はないのだから
浮かばない泡沫に
開いた瞳孔は嘯いた
もう愛せないのは私だと
謂えない言葉だけが
箱庭に転がって
愛してるの一言も
もう口には出せないまま
嘯く。
嘘吐く。
君を突き飛ばした
下敷き代わりの感情は
何度も振り払う
化膿して、破裂する
戻れないよ
触れない。
優しいのは
此処までなんだよ
気が付いてよ
優しいだけの嘘は
もう辛いだけだって
何度も云えない
伝えられない
届かないんだよ
聴こえない音だけが
そこに残って
残響だけが悲しい
置いてけぼりの感情は
何時までも笑ってる
涙を堪えた嘘で
隠しているんだよ。
探してる。
求めてるのは
居場所だけだから
答えは要らないよ
声だけが必要で、
二度とは騙らない嘘を
嘯くことを恐れて泣いた
潰れてしまったよ
埋もれてしまった
感情は見付からない
溺れては浮かばない
だって苦しいから
その視線に晒される事が
焼け付く様に痛いから
嘘吐いて。
吐き出した。
感情は遠いよ
でも辛いだけのそれより
いくらかは耐えられるよ。
だって君が笑ってる
弾けた感情も
飛び出た膿も
見る事はない過去に変わって
もう傷付かない様に
もう泣かない様に
凍てつく様に隠して
求めている居場所だけ
君の嘘で差し出して
殺さない様に
柔らかな温度を持つ
ソレが『愛』だと
思い込めば楽園
朱肉に溶け込む嘘を
見破る術を持たぬまま
貴方が握りしめた
爪が食い込む柔肌
それから繰り返す
嘘も真も隠して
貴方が笑うなら
私もその隣で笑いましょう
でも其処には何も無い
作り話の様な私を
殺めて流して
幾重にも重なる幸せで
苦しくなってしまう
それなら優しい温度を下さい
哀惜を詰まらせて
言葉が死んでしまうから
貴方の身体を掻き抱いて
流す物が血へと変わる前に
全てを捧げるから
私へくれた物が
貴方へ還せるなら
まだ柔らかな温度を保って
貴方を抱きしめて
ソレが愛だって
もう一度囁いて
天空の青が
私を呑んだ
まだ、夢を見てる
貴方が優しく
頬を撫ぜる夢
私はまだ幼く
貴方はまだ若く
二人を傷付けるモノは
何一つないんだと
疑わなかった時代の、
儚い夢の話。
あの時の強がりを
貴方は知っていた
隠れて泣いていたことを
私は知っていた
私達は、知っていた
柔らかな日差しが
優しく殺す前に
手を繋いだ温度が
締め付ける様に焼いた
泣きたくなるほどの
優しさに、俯いた
私は幼かった
私は知らなかった
護る為に
全てを失って
護る事を言い訳に
貴方を傷付けた
私を待つ、その背中に
法螺吹きな私は
染まっていく嘘に
溺れてはもがく、幼い子
深く傷付いては
逃げて貴方を捨てた
ごめんなさい。
ごめんなさい。
もう、愛す事は出来ないけれど
親愛なる貴方に、
二度と失わない幸せを。
滅ぶこの身体を。
もう一度抱きしめて
呼んでほしい
この名を、
私の名を。
優しい声で、
あの天空の青にも勝る、
優しい声で。
叱って、
笑って。
私を、呼んで。
そして貴方に祝福を、

