塞いだ目蓋に

柔らかな口付け

甘く仄かな赤色は

夢色乙女を包んだ


僕は行くよ

君もだろう?


許されないのは

そのままで

小指は離れて

二人の距離を測る

淡い気持ちも

語ることは難しく

まるでお伽噺のような

不思議な浮遊感が

心で漂う


遠いお話も

君との会話も

どれも同じなのに

優しいのは

何も知らないから


どうして悲しい?

どうして寂しい?


君はその手を

呑み込んだ

優しさはもう失った、

単調な旋律

掠れた声も

枯れた音も

孤独を見て

白昼に消えていった


高くそびえるのは

二人の心音

鼓動に揺られて


落ちていく、



優しいお話。


何処でしょうか


何でしょうか


狂おしい


海に溺れて


足掻く、もがく。


掻き乱して


それが夢だと


足を取られて


「此処は何も無いよ」


嘘みたいに白い


キャンパスの上では


貴方は何にでもなれるの


偉い人にだって


綺麗な人にだって


何にでもなれるの


隠して、


重ねて


見えた部分は


誰もが笑えればいいのに


辛いことも


悲しいことも


笑いながら


幸せに流されればいい



そして私は


何にもない、


ただの幸せに落ちる。


落っこちた


まん丸庭の中


穏やかな笑顔で


君が笑ってる


雨降りお月さま


僕の行方を知ってますか


何処へ行ったのでしょう


知りません


響いてる音も


雨粒ころころと


足元を転がって


二人で笑った


お月さまはさようなら


朝が来れば終わるよ


緩やかに弧を描く


水溜まりは君を待ってる


水面に映る


白日の太陽



君は、独り


僕も、独り


二人ぼっちの夢



めざめ、て。


見据えた先の雑踏

立ち向かう為の

術は持ち得てなくて

蹈鞴を踏んでは

届かないモノばかり

掌を擦り抜けた


呼んでよ

僕の名前を

後悔無い様にしたいのに

悔いては馬鹿みたく

何度も繰り返してしまう

不特定多数の視線は

嘲る様に歪んで見えるのに


誰もが同じ轍を通り

僕が答えた問いは

正解を知らぬまま

僕を嘲笑っているんだ


僕の名前を教えてよ

分からなくなってしまうから

君だけが救いだせる

後悔の海から引き上げて

その手を取ってよ


伸ばせない両の手は

躊躇して踏み止まる

救えないのは知ってる

誰の上に立たないと生きていけない

創られた優越感の中は

息がしやすくて

それでも一足外に出た

劣等感の渦の中は

呼吸が止まりそうに苦しい


綺麗なのに

空だけは同じなのに

どうしても笑えないよ

救ってよ、淀んだ心を

同じ様な間違いばかり繰り返す

僕の嘘を刳り出して

笑えない言葉を閉じ込めて


喘ぐ様に溺れて

その指が触れた君は

雑踏の中で笑ってる

何処までも溶け込む様に

其処に立つ君は

何度も呼びかける

僕の名前を繰り返しては

雑踏の嘘で塗れていた


それが答えだと思った

そう思い込めば

楽になれたから

迷わない為に吐き出した

後悔を悟られない様に

静かに閉じた箱は

遠くから僕を嘲笑っていた


引き攣る皮膚

柔肌に食い込む

優しい人の声は

爛れる様に鳴らす

日常を描く吐き溜め

その為の絵具すら

捨て去ってしまって

モノクロの私の絵も

映せない癇癪の上辺


綺麗なものばかり

浮かべては振り払う

全部全部同じに見える

私の瞳を抉る痛みを

誰一人分かろうとはせず

比べてみなよ

どうせ違いなんて分からない

誤魔化してばかりで

本当の色彩を失って


焼き付けた鮮明な色も

淡く解けて消えていく

空っぽの感情も

口には出さないで塗り潰す

隠して重ねた色も

黒に消えてしまう


優しいだけの嘘なら

聴こえないふりして

見なければ知らないまま

それでも踏み付けた足跡は

同じ様な形で


幸せも同じなの

結局は全部同じで

誤魔化せない

痛みで歪む顔も

泣きそうに俯いて零す

モノクロの視界はまだ

揺られて笑うピエロの人形

広げた絵具も

私を見て笑っているの


それなら閉じ込めて

私だけの色で描いて

誰の目にも触れない様に

私だけの世界に閉じ込めればいい


そうすれば幸せなの

比較も批評もない

私だけの未来が出来上がるの


あの色彩の海に埋めた表情が

泣いていることに気付かないまま