TRIANGLE -20ページ目
貴方は何を求めて
私の解答を口に含む
湿らせる様に
乾いた唇を寄せて
乾涸びた喉に手を添える
罅割れた世界を
貴方は知らないだろう
見失う様に暗がりを抱いて
手探りで生きるには
悲しみを零し過ぎて
貴方が望む答えを
私は何一つ持っていない
例えその唇を添えても
干上げていく水の様に
失っていくばかりの
貴方の言葉は何時だってそう
真実を語る事はない
涙を零したのだって
もう遠ざかりくすんだ過去と
鮮やかに通り過ぎた
私のいない未来の事で
檻の中で語る理想は
私の手には届かないだろうね
罅割れた事に気付かないで
貴方は檻の中で愛を囁く
淀んで見えたその言葉を
私は手離しには喜べないから
見世物の檻を壊す様に
私は貴方を突き放す
どうやったって
同じ道には立てないのだから
俯き垂れ下がる
言葉の奥底を
選んでは吐き出す
夢の続きは
何時だって白濁だ
目蓋に貼りつく
粘ついた残像が
最初を殺して立ち尽くす
都合がいいのだ誰で
焼き付いた背中が
両目から零れていく
何処へ行くんだって
何処も無いだろうが
其れだって其れを
選んできたのは
何時だって君だろう
其れは嘘であるが
本当の事である筈の
真実ですらも
何時だって殺して
それでも声をあげて
其れを両手に差し出したのは
君以外の誰でもない様に
其処にしかないもので
黒く塗りつぶしていくんだろう
差し出した両手の上に乗せた
混濁していく本音と
そうやって掌から落とした
何時だって願った筈の建前で
傷付けていくのは
君じゃなくて僕だろう
君が望んだ世界が
終わりを告げるならば
僕が望んだ世界で
終わりを告げようか
嘘の言葉が焼き付く
脳裏に差し出す花束は
誰の手にも届かないだろうけど
選んだ其れが最善なら
貴方が笑う事を
僕が全部抱えてさ
恐ろしい事なんて
何一つもないんだろうって
悲しさを並べて
僕が知っている事も
貴方は何も見ないでおいて
声もあげずに泣いている
嫌いな世界を零しておいでよ
夢を選べないだなんて
そう言って綺麗に咲いた
胸元の花束だって
全部全部貴方の為に
手折られて殺された
全てに捧ぐ願いであるように
そうやって目を瞑ってないで
目を開いて見えた先を
夢だと笑う日がきたなら
きっとその頬を伝うものを
僕は心から愛せるだろうって
何も怖いものなんてないと
笑う貴方の腕の中で
それこそ笑っていてくれよ
例え夢でしかなくとも
咲き誇る虹彩の彩りを
貴方が知る世界で息衝く様に
泣いている僕の手を
静かに引いて歩く
君の心を覗く
その隙間を選んだ
絶望なんて何処へだって
囁いた愛を免罪符に
差し出した言葉を呑んだ
もういいんだろう、
そうは言い続けて
痛みを堪える様に
君は笑い続けるだろうか
別にいいんだよなんて
愛を指一つ辿って
倒れていく境界線
否定されていく世界と
僕の望んだ世界と
どちらにだって愛を
注いで生きるんだって
一つ粘つく様な夢を
誰かの掌に落として
昇る煙の先なぞって
その傷口を哀して
その心を愛した
触れていた僕の指を
君は隙間から笑って
絶望に膝を濡らしたって
もういいんだろうって
その愛を抱えてよ
もういいんだからさ
その背中を追いかけて
白く尾を引きながら
息を切らして走り切る
縺れそうな足を
必死に動かして
伸ばした手は
何時まで経っても
返されることなく
笑えないだろう、
そう言って笑って
何時の頃だったか
それを繰り返してた頃も
きっと愛おしいと感じて
正しく思い出として残した
君は知っていただろうか
正しく思い出になった
この記憶を前に
僕が泣いている事を
さようならすらもなかった
残酷なまでに美しいと
願った言葉は呑み込まれたまま
此処に残していったのは
君だけの秘密になるように
笑った君の背中に問いかけた
答えは何処にもないと
薄れた記憶と
すり減った思い出が
何時までも笑っている
呼吸を整える
並んだ背中を叩いて
また走っていく
きっと、愛おしいと。
そう思って

