伝える

君は

まだ

僕を。


触れる

離れる

距離

心の

間隔

広げて

押し広げて

背中を。

その背中を。


罪を

罰を

全てを

背負う

君は

馬鹿だ。

大馬鹿だ、


どうして

逃げない

護らない

自分を

どうして、

どうして

愛さない。

君は

僕より

大人なのに

気付かない

見ない

知らない


孤独も

寂しさも

悲しみも

君が思うより

ずっと、

ずっと分かってる


ねぇ、

もういいよ、

もういいよ。


君が必要だって

僕に必要だって

伝えるよ

君に僕が必要な様に

僕にも君が必要で

そんな馬鹿な君が

大馬鹿な君が好きだって


伝えるよ

言うよ

隠さない


君が好きだよ。


隠した孤独に落ちる

堕落したこの手に

差し伸べる君は

酔狂の類かなにかで


信じるのは簡単さ

でも信じないよ

そこに信頼もなにもない

所詮は繋がりなんてない

契りもない他人なのさ

本音も建前に重ねて

一瞬の火花になればいい


理解はしてる

でも納得はしてない

イコールで結ばれない感情と

こじ付けで塞いだ

欠落した言葉の端は剥落して

君の微笑みの意味を履き違える


違えた幻想は

辿りつけない理想郷

化物じみた仮面の裏は

本当の事しか置いてない


「君が愛したのは孤独ですか」


二つに割れた意思と感情は

塞げない溝になった

何処にいけば戻るのか

頷かない僕の身体は泣いている


君は知らないだろうね

僕が望むのはただ生きることだ

孤独も理想も飲み込んで

僕らが生きるならそれでいいのさ

隠してはいないさ

ただ伝えそこねた

君の笑いが遠くに反響する


「君が愛したのは、」


静寂に生きる化物は僕だよ

共に手を取る君は、道化だ

そうして皆は観客だ


道楽に首を取られるサーカスで

僕に貼られたレッテルは

ただの死にぞこないの化物なのさ。


カラカラ鳴り始める

空白の風鈴

底に沈んだ夢の跡も

掌に滲んだ汗に溶ける

無理矢理な笑顔なら

食いつくした嘘だよ


足元に転がってる

もう動かないよ

もう笑わないよ

だって君はいないし

強制片手の圧力と

君の眼差しは何処か弱く

捻じ込んだ強みも

蹴飛ばせば何もないよ


ふわり浮かぶ雲と

熱を運ぶ風の間で

君は歌ってるよ

錆付いた歯車も

動かない感情に油を差す

跳ねた弦の先で

君は立ち止って

俯いては立ち竦む


選んだのは君だよ

頬を撫でる掌と

伝う汗を拭ってしまえば

繋いだ意味に気付くよ


カラカラ鳴りを潜める

金属は転がり落ちた

渇いた喉の奥で

苦いものは下っていく

階段の上で笑っているのは

あの時の僕と君だよ


ぼかした記憶に指差せば

きっとそれが答え

そんなものだよ

夢の跡なんて


翻した身体の色彩

君が言いだした嘘なんだよ

電池切れなら嬉しいと

手に取った二人の時間


まだ続いているよ


しかめた表情で

揺れた花弁に触れる

いいんだよって

言えたなら良かったのに

気付かないふりして

君が繋ぐ音を塞いだ


何も聞こえない様に

ヘッドフォンを深く付ける

垂れ下がるコードが

不規則に触れるたび

不特定多数の嘘が

隠された声に覗いた

もしもばかりが見えて

確かなものなんてなくて

曖昧な境界を越えた


飽和して反響する

君が言いたかった言葉も

一緒にしてしまえば

きっと伝えられなかった

今も昔も同じだけど

塞いだ耳だけじゃなくて

閉ざした目蓋にも

深く突き刺さる


しかめ面の君は

僕の手を取ってはくれない

もう触れないって

知ってるんだよ


いつかの言葉なら

要らないんだよ

今だけが此処にあるなら

それだけが現実なんだよ

あの時の音が塞いだ声は

君を望んでいる

僕が言えなかった言葉も

一緒にしてしまって


咲いた花弁は

一緒には咲けないよ

知るには遠い

雑踏に僕と生きるなら

君が言いたい言葉も

僕の掌に隠して


歩き出した

掠れた足音は

風に仰いだ

空の色さえ知らないで

首を引っ込める様に

君の後ろを付いて回る


「言わないよ」

続かない言葉

引っ込めたのは

音なのか指なのか

触れない記憶も

君に続いた道に歪む


今はもう気付かない

言わなければ

何も知らずにいられるから

此処に在る言葉だけ

君の足音に沈むけど


「言えないよ」

それだけの事なのに

きっと誰のせいでもない

ただこれが伝える

終わりの季節は

君に殺された


擦る様に重ねた

温度は君の知らない季節だった