静かに吐き出した

呼吸も心許無い

朧気に浮かぶ

思い出も涙に溺れる

木漏れ日は笑みと

優しい嘘を

散らかして泣いた


出来ない

思い出せない

美しいだけの言葉は

僕を穏やかに責める


今日が終われば

また同じ毎日の繰り返し

輪の様に巡る

そうであればいい

思い出せない記憶は

色褪せた世界

吹き上げた風が追う

あの時間はもう無いよ

誰も知らない

欠片だけがそこに残って

綺麗に眩む

眩暈の渦は

僕らに覆い被さる


積み上げた物は

誰かの為と嘘を重ねて

閑静な街並みも

温度を失った掌

立ち竦んで動けない

僕の背中は

あまりに重くて

綺麗事しか口に出来ない


「知らないから」

免罪符を片手に

涙を零す


水面に浮かぶのは

誰かの魂を映した灯




これが、僕らの罪だ。


僕が知らない事は

この世には沢山ある

それは当たり前で

自分が思う以上に

僕は無知で無力だ


どれだけ喚いても

どうしようも無い事だって

溢れるほどある

だから単純な諦めと

少しの希望を織り交ぜて

言いたい事は隠した

本音なんて僕が言ったって

何も変わりはしないし

例え変わったって

本質までは変えられない


今僕が立っている場所が

いつまでも安全だなんて

そんな確証はどこにもなくて

でも「此処」が安全だって

安心できる場所だって

そう思い込んで自分を許した


知らない事が僕の罪なら

知ってる事が罰になるのかな

無知は盾にはならない

もちろん鉾にもなりえないし

そもそもの武器にならない

僕らが抱え込んだ矛盾は

そんな偽証の中で息衝いてる


どうでもいいだなんて

思ってても言えない事だって

建前に隠してしまえば

それで解決してしまうんだよ

そんな口車に乗っかって

戻れない場所に逃げるんだ

弱虫な僕らにお似合いな

籠の中で溺れてしまえばいい


気付かない事に気付かないで

外から馬鹿にされてる君と

それすらも隠して籠る僕と

どっちがいけないんだろうね


誰も知らない僕らの答えは

失楽園の御園生に埋めて


苦しい

呼吸が出来ない

毒を飲み干して

いっそ終わりを望めば

それで救われる

一時の終焉


終わってよ

悲しむ前に

全てが変わる前に

希望を見失って

僕はどうすればいい

苦しいよ

寂しい

此処は寒い

寒くて見失うんだ

正しいことも

最初から分かってない癖に

知ってるふりして

吹聴するのは

僕の強がり


ねぇ聞いてよ

救われないけど

呼吸が出来ない僕は

溺れるのが運命だ

人が多過ぎて

前も見えないで

歩く事なんて

出来やしないんだ

溺れた手も

冷たく見送る

此処なんてそんなものだ

何もかもが冷たい

そして、寒い


詰まる息を吐き出して

歩き出す君を

僕は伏せた目蓋の奥で

祈っているよ

僕には出来ないから

呼吸の仕方も知らないけど

君が救われるなら

歩いてみようか


僕は救われないけど


穏やかな街並み

軒並み笑う人影

色彩溢れる街角に

街灯は下方俯きがちに

踊る君は明るい灯持って

白いレースを翻す


息を吐いて、歩くの

知らん顔で嘘吐いて

無理をするのは簡単で

でも力抜いて歩く事も

意外と出来るもんでさ

単純な作業と

小さな言葉を繰り返す


跳ねて飛んで笑って

さあ君の手を取って

二人で踊ろうか

楽しいことばっかじゃないけど

俯きがち街灯に並んで

君は飛びださないのかい

笑う人影と君は違うだろう

同じ様な顔の中で

君の手を引いて

流した意味を捕まえる


違うって言えない事を

恥だと思っていた

だけど言葉の羅列に

溶け出した氷に浸かった足は

水を蹴飛ばして走る

動けない事はないんだ

ただ動かなかっただけ

言えない事は正当化しても

僕にとっては正しいかもね

言えたら一番だろうけど


同じ様な街並みの奥で

君は膝を抱えて俯く

上を見ない様に

隠れて泣いてる君

仰いでみようか

二人でさ。

手を繋いで踊って

簡単ことさ

間違い探しも君と二人で


街灯の向こうに見えた

答え探しも一緒に並べて

嘘みたいだけど

きっと違うんだよね

あの時の花の色と

街角咲き誇る花の色も。


ねぇ二人でいようか。

きっと気付かない

街の中、君と手を繋いで。


恐れたのは

失うことか

触れることか

分からなかった


目が覚めることが

良いことなのか

悪いことなのか

善と悪の区別すら

意味を持たないのに

右と左に分かれる

意識の果てでも

夢は駆逐された

目蓋はもう開かないよ

こじつけた嘘を

溝に流せば戻れない


涙は滲んで

倒れた背中に落ちる

変わらないのは

それだけだよ

壊れた、恐れた。

君に触れるだけの

最後の夢に置いていく

溢れた花の色は

溶けては部屋の隅に溜まる

裏で咲き誇る

落とした目蓋にキスして

二度と起きない様に

目覚めない様に


君の夢に触れて。