TRIANGLE -177ページ目
抑え込んだ呼吸の音
喉に力を込めて
零した言葉を拾う
全てが、還る様に
歪めた笑顔が泣きそうで
枯れた様に両手を伸ばす
届かないな
呟く声も眩んで
絶え絶えになった息と
千切れた感情が寂しく
淡いだけの恋心
置いてきた時間の間で
膝を抱えているんだよ
一人で立ち竦んで
森の中で彷徨う
足が縺れて
両手が地面について
泣きたいのに、
涙が溢れるのに
君がいない
疲れた様に凭れる
背中の温度が悲しく
追いつけないんだな
気付いてしまったから
君の手を離して
僕は独りで生きていくよ
白く儚いだけの時間は
僕を包んで
答えをくれたんだ
深く、深く繰り返す
間の抜けた連鎖
君が一人で行く背中を
きっと僕は恐れていた
嘘を吐いて
二人閉じこもって
優しさに付け込んで
さよならの声も
聞きたくないと耳を塞いだ
楽園は、壊れたんだ
履き慣れたスニーカーと
力を込めた両足が
踏みこんだペダル
明るい色に塗り直した自転車
跨ったサドルで弾ける
感触は雲の上を行く飛行機
走り出したタイヤは
チョコレートみたいに溶けていく
街の中に吸いこんでいく
誰も気付かない様な
小さな花弁に笑いながら
過ごしてきた住宅街に
同じ様な顔の中
左右揺れ動きながら
背中を追い越していく
太陽が傾いてきて
眩しかったはずの直線
影が伸びて君に届く
汗が流れていく
スニーカーの踵潰して
駆け寄った君に笑いかける
「今日も楽しかったね」
そう言って笑えば
眠りゆく街が微笑んだ気がした
帰ろうか。
大人になるなんてさ
もう少し後でも遅くはない
緩めた口の端
言いたい事はたくさんあるけど
今はこれだけでいいよ
十分幸せだからさ
見下 ろした街角の隅で
君が笑った気がした
揺らして掻き鳴らした
ギターの音を踏み付ける
飽和して歪んだ響き
不協和音の海の中
泳ぐ事も出来ない重力
便利な世の中と
生き辛い世の中の狭間
私の姿が溶け出す
思考回路は軸がブレて
揺れ出す音楽の幅振り
歯切れの悪い発音と
不安定な音程の嘘
効かないトランキライザー
いっそ喉奥に詰まらせて
不愉快背筋が震える
呼吸を止めた君の声を
脳みそが望んでるの
どうしようもなくなって
愛したがりの愛されたがり
握った小指に絡ませた
夢の中じゃ誘えない
誰かの愛無し迷いの森じゃ
足取りは覚束ないの
だからこの手を取ってよ
シェイクされた脳内と
呼吸機同然の愛情を
飲み下した 錠剤と一緒に
ベットに沈んだ声と
聞き取れない感情を
此処に在るだけ詰め込んで
見ててよ私の姿を
私だけを愛する様に
混ざり合って溺れてしまって
それだけで生きていけるって
安い愛を囁いて
落としたギターの上で
滲む音を取り逃がして
紙切れ一枚に
簡単に転がされる僕の人生
少しだけむっとしたように
足元の小石を蹴飛ばして
人生も蹴飛ばせればな、なんて
ちっとも楽しくないふりして
それなりの事を楽しんで
完璧じゃない僕の人生を
紙飛行機で飛ばすんだ!
聞こえなくていいよ
泣かなくたっていいよ
好きな様にすればいいさ
僕だって楽したいんだよね
疲れるのは嫌だし
大変なのも嫌い
楽しくないならしたく ないし
やっぱり笑ってたい
言葉を抜かして
言葉遊びを繰り返す
不完全な立ち位置で
君との距離を測れば
曖昧な感情ともバイバイ、
いつだって自由に生きて
多少苦労しながらもさ
楽しく生きられたら幸せかもね
それなりの人生なんて
人に言えたもんじゃないけどさ!
引っ張る様に
頬を抓ってみたり
忘れたふりして
とぼける様に笑う
分かっているふりより
簡単に出来るんだよ
苦しいのは嫌だから
新しい窓枠に
腰かけて君に手を伸ばす
「これが寂しいのかい?」
夢を見るには知りすぎた
覗く空の隙間から
馬鹿にしたよに太陽が哂う
憎々しげに細めた
照りつける紫外線に
閉ざした目蓋の裏で赤く
空の色を隠して投げ出した
「もういいかい?」
そういう言葉も無視して
コバルトブルーの空に
片手伸ばして歪む
どうでもいい事だと
割り切れば早いけど
淡白な言葉の裏で
心の音を聞いた
軋む様にきりきり鳴る
手を引いた紫蘭の裏切り
胸の中で落ちていく
秒針の悲しみを
背中に背負いこんだ
「忘れたのかい?」
この先、君以外立ち入り禁止
穏やかな午後を迎える前に

