TRIANGLE -170ページ目
耳を塞いだその隙間に
溜め息を吐いた
その意味も求めて
視線を合わせた
壁なんて必要ない
気付けばいいのは
単純にたった一つだけ
優しくはないけど
砕いた言葉は喉を通っていく
角が当たって下る感覚に
笑えないよ、
辛いだけで
何を手に入れて
何を捨てたのか
自分でも分からなくて
勝手な思い込みで
勘違いを繰り返した
白紙のテスト用紙にすら
シャーペンを持つ手が震える
何も聞こえないよ
いや、
聞きたくないよ
覗かないで
知らないままでいて
上手く付き合えない
別に気にしないって
そうは言っても
やっぱ気になってしまって
塞いだ耳から両手を外す
聴覚から入れる情報は
脳みその中で巡る
もう戻れないと
涙腺を静かに刺激されて
笑えない冗談だけが
蓄積されていく
君だけの、
僕だけの世界が
構成されて
壊された。
震えて零した
音の葉を抱えて
スカートを翻す
ぶ厚い本の表紙に映る
美しい乙女の瞳
硝子玉の様な双眸で
真直ぐに見つめる未来を
僕らはあといくつ越えるのだろう
もう立ち止れないのに
眩い世界の色彩に
手を伸ばした君は
プラチナブロンドを纏った
変わらない世界と
手を離した物語の序章
指先でなぞったそれは
枯れた紙に良く馴染んだ
気付かないふりは
もう慣れてしまったから
木の下で君は笑っていた
靴の先で蹴飛ばして
飛び散った小石と
大切に仕舞い込んだ
思い出という記憶
眩しいと細めた世界に
それは映り込んで
綺麗に煌めいて
答えの出ない世界で
君が深く呑み込んだ
乙女は迷わないよ
そこの居場所を
覚えているかのように
幼い熱を覚えて
太陽に消える影の中
君は両の手を伸ばした
高く、高く、それを掴んで
笑って見送った
輝いたのは君がいたから
木の下で穏やかに笑う
土の薫りは近く
何も残せない僕は
君に微笑んだ
言葉数が少なくなる
茜色の空と
薄紅色の頬の隙間に
君が落ちていく
押し殺した感情と
冷たい空気が喉を通る
歩き出す足を止めて
立ち竦んだ意味は
きっと伝わらない
聞こえないふりした
蝉の声はもう遠い
あの時の後悔なんて
今となっては全て無駄で
少しずつ蓄積された
苦しさも紛れて
隠す様に笑った
愛想笑いですらも
いつしか上手になって
要らないはずの誤魔化しも
強がりに溶けていった
もう戻れないと
言葉にするほどに
曖昧になっていく
影だけが
静かに伸びる
僕は、誤魔化した
言葉を濁して
暗くなった視界に手を振った
覚束ない呼吸と
足取りに不安を抱えて
立ち止ったままの背中を
優しく押したのは懺悔
すっと喉を通っていく
冷たい空気が愛しく
瘡蓋はもう、剥がれていた
含まれた言葉を
諌めた意味を
有限の時間を
埋められた理由を
僕は理解できない
僕は許容できない
嘘なら省いて
嘘なら歪めて
嘘なら疎んで
消えるなら笑って
消えるなら泣いて
消えるなら悲しんで
歌ってよもう一度
覚えていられる様に
忘れない様に
迷い込まない様に
見据えていられる様に
此処は寒いよ
此処は冷たい
此処は寂しい
此処は辛い
語らない言葉は
余りに多く
語らない言葉は
意味を失った
多くは謂わない
多くは云えない
言えない
癒えない
言葉は
哀しい。
振り払って
繰り返して
並べて
崩した
積木の上で
笑えない
冗談だよ?
嘘だよ?
それは
本当。
辛いよ
苦しいよ
気付いてよ
此処だよ
言葉を
拒んで。
言葉を、
閉め切った唇は
噛み切れて少し鈍く
鉄の味が咥内に広がって
不快感を胸に満ちる
満足なんて何処にもない
生きていく事すら辛くて
苦しいと声に出す事は
弱い事だと勘違いした
一人相撲を繰り返す
目蓋を閉じて揺れている
朝の陽射しも痛く
突き刺さって拒む
呼吸が辛くなって
生きる事を投げ出したくて
ずっと前から思ってた
何が変わるなんて、
分かるはずないけど
もういいじゃん
触れた鉄の塊に
感情移入なんか出来ないよ、
文字の羅列なんて
涙も溢れてこない
どうしようもない心の行き先を
渇いて罅割れた
私にちょうだい
不必要な物は
流してしまうから
詰まる様に足を止めて
引いたカーテンの先には
もう私の未来はないから
傷付ける言葉から
耳を塞いで逃げて
狭くなっていく居場所から
飛び出る様に身体を放り出して
無意識のふりで言い訳、
消えてしまおうって
赤く引いた腕の跡に
笑いかけた私の明日に
朝はないの。
ないの。

