待つ

立ち上がる

俯く

影が

幼く、

僕が

其処に

在る事を

存在を

緩やかに

許可する

それが、

夢。


まるで、

お伽噺の様。

手探り

二人きり

淡く綺麗な

それだけの話

それ以上は

悲しいから


寂しい

辛い

苦しい

紛らわす為

言葉を

続けない

途切れる、

閉ざす

消したのは

許されないから

一人で歩くには

疲れてしまった

だから

君と二人で

此処に居たのに


許されないんだね

待つ事も

その手を

取る事も。


嗚呼、

悲しい。

寂しい。

それでも

行こうか。


生こうか。


開いた

掌。


本質を見失って

立ち位置を失う

振り撒いた

笑顔の裏の裏

本音なんて

言えないんだよ


溶けない。

解けない、

糸は

縺れた

足を

引き摺って

這い蹲った

悶える様に

暴れた

心の奥んとこ

隠す様に

掌を

閉ざした。


切り取った

本当のところ

嘘ばっかり

事実認定、

辛い事は

目を背けて

僕が得たもの

なんて、

そんなもの。

始めから無かった


躓いてばっかで

まとも前も見れない

向かい合うことも

怖くて出来なくて

でももう逃げたくなくて

だからこの手を、

この掌を、

本当のところ。


隠すのはもう止めようと思う。


流れていく景色を眺める

置いていかれる様な錯覚と

不釣り合いなほど

大きなボストンバッグ抱えて

膝を一人震わせていた


タタンタン、と

不規則な震動に

身体を揺らして対応する

隙間から覗いた世界と

窓枠が区切った景色に

僕の名前が薄れていく気がして

焦ってその手を伸ばすけど

硝子が拒んだその先で

藍色が溶け出してった


飛び出したのは意味もなく

理由なんて大層なものも

別に持ってやいなかった

頬杖ついた机にあった

誰かが描いた落書きよりも

自分の価値があるのかさえ

分からなかったと言うのに

これ以上の事を求めてほしくなくて

逃げ出した先に

行き先なんてなかった


タタン、タン。ギシリ。

心臓が止まるみたいに

吊り革も一度大きく揺れて

少しずつ動きを鈍くしてった

此処から先は、何もない

僕は何も持ってない

ボストンバッグなんて、

ただの形みたいなものだから


錆びたレールの上で

両の手を広げる

息を止めて数秒、

深い藍色の中に溶けた。


散らばったバッグの中は

何も残さないまま


零した言葉から

憎悪が広がっていく

黒い塊みたいなそれは

悲しさを増長させていく


誰に言う訳でもなく

意味を持たないごめんを

地図みたいに胸の中で広げる

無感情に眺めて

落ちていく僕を

君が見下げている気がした


左右に振りまくって

それで何が手に入った?

傷ばかりの心と

向き合うには瘡蓋だらけで

辛いと言えない言葉が

影の中に隠れてしまった


いま、ぼくが、いえたら


泣きそうに俯いた

殺めた意思に潰された

それでいいよなんて

言える訳がなくて

軽々しい言葉だけが

浮ついて離れないでいる


うそだよ、    ね?


ブレる輪郭の端で

上付いた嘘だけが

意識の中で意味を持ち始めた


孤独に境界線を引いた


「此処から先はダメだよ、」


回り始める映写機のフィルム

映し出したライトの中で

君が笑っている、

ような気がした


分からないよ、

その先の意味が

踏み出した道の先で

分かれ道があるなら

今この手を解いた方がいいのか。

どれも正解なんて

ないのかもしれないけど、


「ごめんね、」


汚れた白線の上で

泣いてるような気がして

振り返れば何もない

足跡も残らない様な

そんな人生の中で

君は笑っていたのかすら

今の僕には分からないけど


「戻れないよ、」


何処にだろうか。

始めから居場所なんて無くて

失ったものなんて、

きっと最初からないんだよ


二人きりの世界で

淡く溶け始める色彩の中で

輪郭が曖昧に浮き上がる

それがきっと始まりだよ、


ハジマリに、なるんだよ。