曖昧な距離

小さくぼやけた

君の背中と

戻れない隙間が

悲しく映った


空が泣いてる

なんてさ、

まるで詩人みたいに

綺麗な嘘を吐くんだろ?


嘘吐きは背けたクセに

何時までも此処に残した

傷痕をなぞって

薄く笑ってんだ


寂しいなんて

言える訳もなくて

君が知らないから

僕も知らないよ

少しずつ開いていく

心の距離なのか

感情の擦れ違いなのか

僕は君に触れないんだ


曖昧な距離が

気付けばはっきりと

明瞭になって

僕は君の手を離してて

君は僕から目を

静かに逸らしていた


それなら此処にある

全ての愛を

もう還していこうか

二人ぼっちの嘘吐きは

終焉を迎えたんだ

その背中に置いてった傷口も

何時か癒えるよ


見えなくなったのは

曖昧な境界線が

僕を擦り抜けていったから

僕は君を愛していたよ?

でも詩人じゃないから

綺麗には伝わらないけど

それでも確かに、

僕は君を愛してた


愛していたんだよ


さようならの呪文と


間違った思考回路


思い出ばっかり詰め込んだ

お菓子の箱の中じゃ

誰も笑ってはくれないよ


幼い掌と

真っ直ぐな視線

君が描いた夢の中で

僕は泳いでる

回遊魚の群れは

暗示みたいに

目蓋の裏のほうでちらつく


むすっとした表情を

まったく隠さないで

君は頬杖をついている

窓の外は

もう誰かのもの


ぶちまけたペンキは

鼻につくにおいで

小さく笑う様に転げた

蛍光色みたいな色彩と

太陽みたいな笑顔に隠した


ぐるぐるり、


浮かれた微熱の海で

君は息絶える様に俯いた


魚は何時しか見えなくなって

腕の中にあったはずの

たくさんの夢でさえ

もう何も残ってないよ


それは夢だったんだ

それが夢だったんだ

回遊魚は見付からない

君は、


溺れてった


箱の中の思い出は

見つけない様に鏤めて


指先についた

甘いソレを舐めて

君が嘘吐く様に

息を吐き出した


綺麗なもんなんて

最初から無いよ

スティックを

口からはみ出しながら

君は薄らと笑った

知らん事ばっか見つけて

本当の事を蹴り捨てて


ありがちな人生なんて

要らないと呟いて

耳の回り纏わりつく

意味の分からない

言葉の羅列を振り回した

なんで僕を見ないの

甘いはずのソレも

気付けば苦くて


笑えないよ

間違いだらけの

回答用紙なんて

君は求めてないよ

本当のところ

きっと僕は

笑えてるんだろうけど

だけどさ、

もういいだろう。


綺麗なもんなんて

結局無いからさ

吐き捨てた物を

僕は笑ったんだ


失くした腕の在り処を

君を胸に抱く仕草を

一つ一つ殺す様に

淡い期待を潰していった

呼んでも返らない

声は反響を遮って

その視線の奥深くで

待つ人の姿が消えた


この歌は誰の為に歌う?

最早聞こえないなら

塞いでしまって

震わせた喉に詰まらせた

言葉を刺殺した

疲れてしまった感情と

囁く様に響いた

言葉の意味を理解する前に

疼きだした肌の上で

ナイフを落とした


切れてしまった

何気ない関係すら

愛おしく感じて

それなら君はもう、

僕を視界にすら要れないで

落ちていくのは

何時かの水鏡。


塞いだのは

君の口だったのか

それとも瞳だったのか

分からなくてもいい

知らなくてもいい

ただこの腕が望んだ

ただ一つの事を

殺めた心に置き去りにした


僕は落ちていく

返らないのは

沈んだ水鏡。


掻き毟った喉は

言葉を奪った

君が塗り潰した未来が

悲しく見えるくらいに


白いだけの世界に

君が突っ立ってる

どうしたの?

言えない言葉は

透き通って落ちる

落下していくだけの音は

君に届くはずなくて

それならこの指に触れてる

温度は一体なんなのだろう


確かなものがなくて

不確かな感情が揺れる

淀む言葉は

不安定の水面に沈む

君は受け取らない

僕は知らないふり

きっと僕らは

怖いだけなのに


落とした施錠の金属音

もう逃げたくないのに

君が僕を見て泣くから

僕はその手を振り解いた


足が縺れる

腕が千切れそうで

胸は張り裂けそうだった

さようなら、

せめて言えば良かったかな

もういいや


さようなら