TRIANGLE -115ページ目
例えばの話とか
ありふれた話とか
日常的な、
当たり前の、
いつもの事が
こんなにも愛しくて
愛しくて、
涙が出てきた。
嘘吐きなら
きっともっと
逃げる事も出来たのに
僕らの事も
君の事も
何も無い事も
全部が其処で
溢れていくから
足元に広がった
選択肢が
憂鬱になるくらいに
こっちを見てるんだ
嫌なもんだけ
たくさんたくさん
心に残ってしまうから
消してしまいたい、って
そう思ったんだ
また知らない風景に手を振って
見慣れない車窓に
僕の呼吸を乗せた
アスファルトに転がる
この小石ですら
僕の事を知らなくて
また新しく見えた
この空も
結局何も知らないんだ
当たり前も、
いつもの事も、
日常も、
ありふれた事も、
また無くなって
僕だけが残って
僕だけが消えた。
君の事も、
消えてしまって、
此処にあるのは
心に残らなかった
知らない風景だけだ。
唐突に死にたくなって
思い出して
見上げた空が
嫌に青くて
美しいだけの風景が
静かに責め立てて
心に爪を立てた
嘘吐きの月と
這いつくばる僕と
二人の背中を
押しては返す
緩やかな舞台で
残ったのは
灰色の言葉と
言えない心と
大人になりきれないのは
誰だったんだろう
落ちていく掌が
伸ばした指先に
音をたてた
呼吸が出来なくなって
やっぱり愛してて
でも苦しいので
僕が選んだ事が
全部が間違いじゃなくても
戻れないと知ってるなら
目を伏せて見ないで
隠せないものも
許される気がした
だけど死にたいと
泣き叫ぶ心が
嘘を重ねた月の裏
また軋んで壊れてくから
思い出せるように
二人の足跡を
瞬いて消した
眩んだ世界じゃ
誰も正解なんて知らないので。
言えない
癒えない
苦しいのは
いつも一緒
歪ませた
その表情の裏に
置いてけぼりの
孤独感を潜ませて
いくつもの悲しみを
両手一杯になるまで
掻き集めた
笑えるかな
もしもの話を
何回も繰り返して
小さく戸惑って
立ち止った僕も
生きていけないよ
こんな僕が
たくさんの事を
知る度にさ
静かに傾いていく
そんな世界が、
横目に堕ちていくんだ
今だけでいいよ
目を瞑った先で
笑えるなら
真っ赤に染めた
眦も、頬も、
嫌なもん見たって
そう言えたら
どれだけ幸せかなんて
君は知らないから
また今日が来て、
昨日を送って
明日を見つけた
だけどまた一つ
言えない事が増えた
また詰まらせて
届かないんだ
傷口が膿を孕んで
笑っている様に、
そんな風に見えたんだ
顔を覆った掌の
その隙間から覗いた、
世界の中で
今、また笑えるかな
苦しくて悲しくて寂しくて
やっぱり孤独だけど
それでもまた、
この両手を伸ばして
君まで届いたら
幸せだよって、
そう言って笑えるかな
君も、笑ってくれるかな
囁かれた言葉も
嘘みたいな世界も
全部掌の中
涙に吸い込まれてった
後ろの方で愛されて
投げ出した腕と
放り投げた曖昧な声も
愛せない様に蓋をして
溶けていく街の中で
夢を語るんだ
どれだけ君へ伝えても
意味なんか一つもなくて
美しくて綺麗だとしても
もうどうでもよくて
でも愛を一摘み
明日に預けるから
流れていった
この話の中で溺れるんだ
差し出した花束も
繋げた琥珀の空も
泡沫の歌声も
弦の切れた人形も
消えていった影法師も
どうにもならなくて
どうしようもなくて
愛おしいんだ
愛してるんだ
見えない言葉も
その掌の中で
確かに息衝いて
また囁いて
此処で死んでいくんだ
輝ける天空と
虚ろに臨む蒼穹
波の狭間に映る
その全ての真実と
今と昔と過去と未来と
胸に抱ける三日月を
転落と琴線の音階
その人独り天地に敬い
架空の地に足を踏み出す
それが真の声か
それが神の姿か
此処に人知れず
土に翳されし
遠き日照りを淡々と拾う
報われる者は
知る事を識り
思われる事を想う
その蒼き罪の証さえ
堕ちていく海の底へ
手を引かれる
それが神の名に於ける
嘘だと誰も気附かず

