青い波紋
幸せの青い鳥が作った一つの青い波紋は
水面の上を優雅に広がり
薄っすらと消えて見えなくなった。
私が目を閉じると、今度は心に一つの青い波紋が広がる。
薄っすらであるが消えてくれないので、
私は心を閉じた。
波紋は頭の中で大きく波うって体中に広まる。
波紋は声となり溢れ出るが
幸せの青い鳥は空の藍と同化して
私は薄っすらと消えて見えなくなった。
切ない気持ち
切ない気持ちは誰のもの?
遠く離れたあの校庭の
暑さすら忘れた日差しの夏。
記憶は美しくなるばかりで僕を悲しませる。
音なんて何もなかった。
時間なんて流れていなかった。
一瞬の風景の中にあるものは
制服を着た僕とあなた。
ただそれだけは始まらないストーリー、そして終わらない夢。
硬いゴムの廊下もペンキ塗り の冷たい壁も
それらの作り出す空間はこの世から切り離された宝箱の中。
鍵はなくしてしまったから
二度とは開かない、だから失われない。
そっと思い出すだけ。
あの音楽
聞こえてくるだろ。
これがあの音楽なんだ。
分からなくても体が動くだろ。
タコじゃなくても手足が絡まりそうだぞ。
これがあの音楽なんだ。
血と涙の歴史でベースはうねり、ピアノは人々の喝采の中に鳴り響き
歌声なんて背筋を何往復もしている。
動くなと言われたって、だるまさんが転んだって、赤子が泣いたって、
構いやしない。
ニューバランスの白いスニーカーが地面を踏みつけると平らな地平線が歪んだ。
ビートは波打っている。
男も女も波打っている。
壁も天井も何もかも波打って、すべて飲み込む。
そして一つになった。
これがあの音楽なんだ。
僕はあなたといつまでもいたい。
あの音楽が止んだら
今度は二人で一つになろう。
これがあの音楽なんだ。
分からなくても体が動くだろ。
タコじゃなくても手足が絡まりそうだぞ。
これがあの音楽なんだ。
血と涙の歴史でベースはうねり、ピアノは人々の喝采の中に鳴り響き
歌声なんて背筋を何往復もしている。
動くなと言われたって、だるまさんが転んだって、赤子が泣いたって、
構いやしない。
ニューバランスの白いスニーカーが地面を踏みつけると平らな地平線が歪んだ。
ビートは波打っている。
男も女も波打っている。
壁も天井も何もかも波打って、すべて飲み込む。
そして一つになった。
これがあの音楽なんだ。
僕はあなたといつまでもいたい。
あの音楽が止んだら
今度は二人で一つになろう。
悩み
誰にも言えない悩みがあるなら
それは誰にも言ってはいけない。
口を開けば毒が飛び散り
耳を傾ければ膿が垂れる。
時としてあなたを腐らせて
時としてあなたを励ます
仲の悪い幼馴染との関係のように。
あなたは悩み、悩みはあなた
僕はあなたの悩みを愛せます。
あなたの悩みは僕の悩みではないから。
すべて無ければ悩みも無くなり
一つ得ると悩みも増える。
悩みは心の消費税。
それは誰にも言ってはいけない。
口を開けば毒が飛び散り
耳を傾ければ膿が垂れる。
時としてあなたを腐らせて
時としてあなたを励ます
仲の悪い幼馴染との関係のように。
あなたは悩み、悩みはあなた
僕はあなたの悩みを愛せます。
あなたの悩みは僕の悩みではないから。
すべて無ければ悩みも無くなり
一つ得ると悩みも増える。
悩みは心の消費税。
さよなら
さよならと言った君。
緑色に透きとおった飴の中に閉じ込められた空間で
カーテンのゆらめきさえかすかに音をたてるが
私の手はあなたに届くどころか神経は心から切断されてしまい
息は吸うわけでも吐くわけでもなく
そして世界の椅子は一斉に軋みはじめ
ビルはゆらゆらと波うっている。
目玉焼きはフライパンの上で綺麗な黄色を輝かせて
白身はとてもやさしいので、
僕はその上に寝転んでみる。
夜の街は深い眠りとひとつまみの街灯が滲んで光り
朝の風はまた新しい夜を運んでくるだろう。
階段を下りる間、あなたの名前を忘れていた。
風景は私を通り越し、私が走り出した時にあなたはもういない。
緑色に透きとおった飴の中に閉じ込められた空間で
カーテンのゆらめきさえかすかに音をたてるが
私の手はあなたに届くどころか神経は心から切断されてしまい
息は吸うわけでも吐くわけでもなく
そして世界の椅子は一斉に軋みはじめ
ビルはゆらゆらと波うっている。
目玉焼きはフライパンの上で綺麗な黄色を輝かせて
白身はとてもやさしいので、
僕はその上に寝転んでみる。
夜の街は深い眠りとひとつまみの街灯が滲んで光り
朝の風はまた新しい夜を運んでくるだろう。
階段を下りる間、あなたの名前を忘れていた。
風景は私を通り越し、私が走り出した時にあなたはもういない。
あ
「あ」と言った。
自分を確かめるために。
喉の奥から出た「あ」と判別できないような声だが、それは「あ」でなくとも良かっ た。
だが自分を確かめる最低限の行動として私は短く「あ」と声を出してみた。
喉の奥の闇から響き出た「あ」という音は舌や前歯にぶつかりながらも大気中に発っせられ、また跡形も残さずに消えた。
無から生まれた「あ」という音は無へ還ったのだ。
それにより私は自分を確かめた。
自分を確かめるために。
喉の奥から出た「あ」と判別できないような声だが、それは「あ」でなくとも良かっ た。
だが自分を確かめる最低限の行動として私は短く「あ」と声を出してみた。
喉の奥の闇から響き出た「あ」という音は舌や前歯にぶつかりながらも大気中に発っせられ、また跡形も残さずに消えた。
無から生まれた「あ」という音は無へ還ったのだ。
それにより私は自分を確かめた。
cedar
壁から広がる窓
そこから広がる風景には
空と大地を分割した地平線に立っている一本の杉。
日は傾くどころか所在は確かでなく、陰は土に吸い込まれて
杉はどこからか吹く風にただただ揺れているようだ。
空気の透明感でさえ目に見えず、
音は意識に後方に遠ざかり
時の流れを線で表したら
私の居場所はなくなってしまった。
カーテンはいつも窓に掛けられている。
朝には開け、夕には閉じ
雨の日はやさしく、そしてあたたかく
その表面にできたいくつもの滑らかな山と谷の折り目に
私は欲情した。
そこから広がる風景には
空と大地を分割した地平線に立っている一本の杉。
日は傾くどころか所在は確かでなく、陰は土に吸い込まれて
杉はどこからか吹く風にただただ揺れているようだ。
空気の透明感でさえ目に見えず、
音は意識に後方に遠ざかり
時の流れを線で表したら
私の居場所はなくなってしまった。
カーテンはいつも窓に掛けられている。
朝には開け、夕には閉じ
雨の日はやさしく、そしてあたたかく
その表面にできたいくつもの滑らかな山と谷の折り目に
私は欲情した。
鳥の死骸
道端に鳥が死んでいる。
空から落下する者、車に轢かれる者。
誰も触れようとせず、そのまま残されている。
やがて鳥の死骸はどんどん薄くなり、紙のように薄くなる。
かつては鳥だった薄いものでさえも鳥だった事を忘れていたが、
そこに残された一本の羽毛はまだ空を飛ぶことを覚えていた。
ここが地球の丸さを実感させるくらいの大空だというのか。
地面から生えている一本の羽毛は羽ばたいている。
空から落下する者、車に轢かれる者。
誰も触れようとせず、そのまま残されている。
やがて鳥の死骸はどんどん薄くなり、紙のように薄くなる。
かつては鳥だった薄いものでさえも鳥だった事を忘れていたが、
そこに残された一本の羽毛はまだ空を飛ぶことを覚えていた。
ここが地球の丸さを実感させるくらいの大空だというのか。
地面から生えている一本の羽毛は羽ばたいている。
トランスミュージック
赤い光と青い光に彩られた世界に
音は大地からリズムを預かり
私はただただ踊る。
悩み事は崩れ去り、明日は永遠に来ず
私は心地よく動いているだけの存在となる。
まるでオートマティックな腕時計のしくみ
体は心臓の働きをはみ出て
時には縦に、そして横に
一瞬を感じて、一瞬を捨て去り。
溶けた蝋人形が冷蔵庫の中で再び太陽に溶かされるが
思考は地球の裏側あたりをクルージングし ているので
私はまだまだ踊る。
音は大地からリズムを預かり
私はただただ踊る。
悩み事は崩れ去り、明日は永遠に来ず
私は心地よく動いているだけの存在となる。
まるでオートマティックな腕時計のしくみ
体は心臓の働きをはみ出て
時には縦に、そして横に
一瞬を感じて、一瞬を捨て去り。
溶けた蝋人形が冷蔵庫の中で再び太陽に溶かされるが
思考は地球の裏側あたりをクルージングし ているので
私はまだまだ踊る。