愛の叫び
斜陽が堕ち
体が青い流動性の光にどっぷりと浸かり
私は夜に溺れそうになる。
あなたの唇がぼやけたピンク色のネオンのように私を惹きつける。
雲の上で、私達の指はメビウスの輪のように絡み合い
そして一つになった。
喘ぎ声は霞と化し
その夜を包んだ。
僕はいかずちのように愛を叫びたかった。
赤子の泣き声が聞こえなくなるほどの大声で
森のすべての木がざわめくほどの力強さで。
このノドが裂けて二度と歌を口にできぬとも
ふたたび、陽が昇るまでに伝えなければ
私は永遠の墓に埋もれてしまう。
水面を揺るがすさわやかな風にのせて
あなたに伝えたい。
愛していると
Kind of magic
It's a kind of magic.
それは一種の魔法
君の瞳から
君の髪から
君の唇から
僕の心へかけられた魔法
It's a kind of magic
朝、太陽が輝いても
夜、星と月が踊っても
まるでレースがひらめくカーテンの
その向こう側の出来事のよう
It's a kind of magic
両手をめいいっぱい広げて
君だと思って抱きしめれば
冷たい風でさえ温かい
世界中の百科事典でも
アインシュタインとパスカルが徹夜しても
解くことのできない心のパズル
それは一種の魔法
It's a kind of magic
MAGMA
ドロドロのMAGMAをその地中深くに秘める山は
崇高にして気高く、野性的な登山家の夢
晴れわたる天高き日には大地の丸さを教え
天高くMAGMAを吹き上げる日には登山家にこの世との別れを覚悟させる。
孤独の創造神アトゥムは
山にはMAGMAを眠らせ
薔薇には棘を植え
そして恋の隠し味に苦しみを加えた。
どこかで人が死ぬように 2
「朝靄」
朝靄の冷たい湿気が若いホームレスの爛れた頬を濡らす。
目を覚ました瞬間から手の指と首筋が震えているのが分かった。
風はないものの、それがかえって静かで重い寒さとなり彼を押し潰そうとする。
彼は自動販売機の硬い腹に手をつき立ち上がり、そして習慣的に小銭口を再度確認しまた歩き始めた。
長い間眠っていたと思ったのだが、まだ通勤の人も車も動き出していないところを見ると一時間も経っていないようだった。
その割には先程の疲れや眠気を微塵も感じず、オフィス郡を抜け、商店街を通り寝床へと帰る道のりはずいぶん近く思えた。
地下道の階段を下り通路を抜けホームレス仲間が寝起きしている場所へ着いたが、そこには誰もいなかった。
全員がみな同時にジョブへ出かけてる事はまずない。
ふとホームレスの頭によぎったのは役所の職員による恒例の"追い出し"。
年に三回、春と夏と秋に必ず追い出されるしきたりがあった。
しかしそれは表面上のしきたり、納税者への世間体でしかない。
本当に追い出してしまったらホームレスが道端で寝起きする事になり、それは役所としては現状よりも避けたい事態だろう。
ここは言わばシェルターだった。
冬は凍死の危険もあるので追い出しはまずないと思っていたのだが、所詮お上の考えは見当違いが多く、現状とはまるで噛み合わない。
それは教育の場でも経済の場でも言える事だった。
しかし大体一週間くらい間を置けば元の寝床へ戻れる。
七日の間、地下道に近づかなければ、役所の面子と内心の均衡が保てるわけだ。
冬に追い出されるのは辛いがこちらは文句の言えない居候の身、再び地下道のオーナーから暗黙の了解をいただくために、仮の寝床と同じく溢れた仲間を求めて町へ出た。
空がぼんやり明るんでいるのに新聞配達のバイクが通らない。
今日は特別寒いので寝坊でもしているのだろうか。
いつもなら私のジョブ、空き缶集めの終了時刻を告げるカブのエンジン音を耳にすると、麻痺した生活の感覚から急に現実に戻されホームレスである自分を客観視してしまいひどく寂しくなるはずなのに。
風が吹いてはガタガタ軋む灰色のシャッターの壁に囲まれた商店街を進みいつも見慣れているコンビニにさしかかった時、違和感を覚えた。
24時間営業なのだから閉まらないはずなのに電気が消えている、そして店員もいない。
この町も年々の人口の増加に伴いコンビニが増え続け、近年では同じ店舗が100m間隔に置かれる"コンビニ飽和"状態になってしまった。
チェーン店が華々しく開店した分、今まで細々と頑張ってきた個人商店はしおらしく閉店する、それが町の新陳代謝だと言っても不条理には違いない。
町のほぼ中心に位置する公園へ到着した。
50m四方の一区画に山のような滑り台とペンキの剥げたブランコしかない味気ない公園だが、昼にでもなれば近所の幼稚園生とそのママ達に支配される。
ホームレスのマナーとして人が増える前に公園から去らなければならないが、今はとにかくホームレス仲間を見つけて情報交換をしないと本格的に陽が昇ってしまう。
考えうる公衆便所の前のベンチにも滑り台の裏のベンチにも仲間の姿は見れなかった。
そして公園に面した24時間営業のコンビニも電気が消えたままになっていた。
恋のノンストップMIX
恋のノンストップMIXはスタートしたらもう止まらないex-press。
胸のバスドラは鳴りっぱなし、股間のマイクは叫びっぱなし。
ミラーボール星が自転しながら公転して
太陽のようなスポットライトを反射し拡散しまくる。
踊りつかれてもナンパしてる暇なんてない。
牛乳を一気してフロアへ戻れ。
恋のノンストップMIXはまだまだ続く。
全身がSoulfulにまみれて
勝負パンツが海水パンツみたくなっても
足を止めたらもう二度とリズムには乗れない。
目を閉じればそこは音の海。
小さい波は見逃して、
ビックウェーブが迫ってきたら必死にパドリング。
波をつかんだら君の元へ一直線。
恋のノンストップMIXは終わらない。
コーヒータイム
雲の高さからミルクを注ぐと・・・
いや、もうやめよう。
コーヒーミルクができるはずはない。
ただ、今は静かなコーヒータイムなんて嫌なんだ。
できればサンバカーニバルがブラジリアンコーヒーの豆をすり潰していって欲しい。
そしてマサイ族が踊りながらキリマンジェロを持ってきて、ブレンドしてくれたらなお良しだ。
喉にトゲが刺さるほどの苦いコーヒーを飲めば
一息のコーヒータイムが終わる。