提灯花愛犬の墓照らすかに

「雲の峰」2024年8月号青葉集掲載。

「提灯花」とはホタルブクロの別称。釣鐘草、風鈴草とも呼ぶ。6月頃から白や淡紫色の鐘状の花を下向きに咲かせることから、これらの呼び名がついた。我が家の物置の前にも、白い花が一輪咲いていた。句の中では「愛犬」と書いているが、この辺りはかつて飼っていたウサギやインコなどペットが眠っている。そんな地面に向かって花びらが広がっている様子が、それらペットの御霊を照らしているように見えた。歳時記を見たら「提灯花」という傍題がある。まさにこの季題にぴったりだと思って詠んだ句。

小学生の頃、最初に飼いだしたペットはウサギ。物置の近くに小屋を作り、近所でオオバコや葛の葉を摘んできては餌にしていたが、強風が吹いた翌朝、小屋に頭をぶつけたらしく、3年で亡くなってしまった。室内で飼っていれば、こんな気の毒な死に方をさせずに済んだのに。次に飼ったのが、苦手克服のために貰った犬。彼は道端でどこかで悪いものを拾い食いしたのか、急激に弱り、正月休みで動物病院にも連れて行けず、2年で亡くなってしまった。金魚すくいで得た出目金も猫にやられるなど、我が家はどうしてペットが長生きできないのかと思ったものだ。その次に飼ったインコと2匹目の犬は、幸いにも天寿を全うしてくれた。それからは、もうペットはいいと思い、現在まで何も飼っていない。一人暮らしになった今、帰宅後誰もいない環境には慣れたが、傍にいてくれる存在が必要だと感じているが、まだ余裕がないのが現状。少し考えてみよう。

(絵はAIによる創作です)

 

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朝凪や貨物船の荷堆し

「雲の峰」2024年7月号青葉集掲載。和歌山・友ヶ島を訪れた際の一コマ。

海岸付近で、夜間の陸風から昼間の海風への変わり際、陸地と海上の温度がほぼ等しくなり、その瞬間風が止んで静かになる。この現象が朝凪で、夏の季語とされる。友ヶ島に上陸したのは朝。風もなく、波も静かな状態。遠くに荷を高く積んだ貨物船が音もなくゆっくり進む。一日が静かに始まる、穏やかな風景。普段海のない地域に住んでいる事もあり、こうした風景に憧れを抱いて詠んだ句。

今に始まったことではないが、世相が何やら騒がしい。ネット上、SNS上で飛び交う言葉は、よく見ないと何が真実なのかわからない。流言飛語とはこういう事か。世の中の動きを全く知らないのは問題だが、できればそういうものに左右されたくない。朝の貨物船が静かに走るように、音もなく一日が始まり、音もなく風もなく暮れる。そんな中での生活は、もはや夢の中でしか実現しないのかもしれない。ただただ静かに過ごしたい。最近それを切に願う。

 

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蟇鳴くや根元の腐る丸木橋

「方円」2009年7月号雑詠掲載。

「蟇」とはヒキガエル。またはガマガエルの事。茶色っぽい大型の蛙で、動きが鈍く、いかにもグロテスク。30代後半に詠んだ句で、恥ずかしながら詠んだ場所、シチュエーションは覚えていない。大きい蛙の姿を見てヒキガエルと思ったのか、鳴き声を聞いたのかも、記憶があいまい。丸木橋は、恐らく向こうのあぜ道へ繋がる簡易な橋だろう。それが危なっかしく横たわっている傍で、カエルの鳴き声がする。その声をヒキガエルだと思ったのかもしれない。いずれにせよ、梅雨入り間近の湿った田園風景を思い起こさせる句。

今まで、ヒキガエルは低めのよく通る声で鳴いていると思っていた。ウシガエルほど低音ではないが、そんなイメージだった。しかし、ある動画でヒキガエルの声を聞いたところ、実にかわいらしい声だった。普段から聞いていたカエルの声は、どうもヌマガエルという別の種類らしい。しかし、見た目のグロテスクさとは縁遠い高音。普段からいかに見た目だけで印象を決めてしまっているかという事がよくわかる。動物だけでなく、初対面の人と会う時も、同じことが言えるかもしれない。気をつけねば。

(絵はAIによる創作です)

 

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新緑の間の岩場の真白かな

「方円」2012年7月号清象集掲載。

2012年5月、加西・善防山に登った際に詠んだ句。「間」は「あい」と読む。善防山は笠松山と並んで加西アルプスとも称される名峰。室町時代にはここに善防山城が建てられた。かつての修験道として多くの信者を集めた。私が登った2012年当時、山頂は眺望が望めなかったが、2016年に有志によって伐採が進み、眺めが良くなったとの事。機会を見つけてまた登ってみたい。途中に急峻な山道があり、ロープ伝いに登る。その辺りで振り返ってみると、新緑の隙間から白い山肌がよく見えた。そんな自然の作り出した美を堪能して詠んだ句。

当時のSNSを見返してみると、どうもこの登山の1週間後に低音障害型感音難聴を発症したらしい。京都駅での本番を控え、準備をしていたところ、左耳に水が入ったような、鈍い耳鳴りが続き、自分の声もトロンボーンの音もハモって聞こえる。実に気持ちが悪かった。ここから2か月半、耳鳴りに悩まされることになる。原因はいまだにわからないが、医者曰くストレスでしょうとの事。何かあってもあまり深く悩みすぎず、山登りや趣味を楽しみたいものだ。

 

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いち早く絶景に着く道をしへ

「雲の峰」2024年7月号青葉集掲載。

5月20日は成田空港が開港した日。実は私は、生まれてこの方飛行機に乗ったことがない。単に乗るタイミングがなかっただけで、飛行機嫌いという訳ではない。今まで遠出をしても陸路か船ばかり。一度飛行機の距離へ旅行に行きたいものだ。そんな訳で、今回は陸路と船で旅行した和歌山・友ヶ島で詠んだ句。「道をしへ」とはハンミョウの事。人が近づくと前へ少し飛び、後ろ向きに着地しては、また少し前へ飛ぶ。この様子が道案内しているように見えるので、「道おしえ」という別名がついている。友ヶ島の旧日本軍砲台跡をあちこち歩いていたら、目の前にハンミョウ。道おしえの別名の通り、前へ前へと飛んでいく。飛ぶ方向へ歩を進めると視界が広がり、真っ青な海と紀伊半島が見えた。ハンミョウが連れて来てくれた絶景ポイント。お礼を言うべき主は、どこかへ行ってしまった。そんな虫との触れ合いを詠んだ句。

「道おしえ」というネーミングもそうだが、「斑猫」というネーミングも絶妙だ。この名の由来は、背中に斑点があり、猫のように走り回って獲物を捕らえるからだという。古の人の言葉のセンスには脱帽するばかり。俳句を趣味にしている身としては、見習わねばならない。一方、現代の人間は、言いたいことをストレートに言う。しかも口に出してではなく、身を隠して文字にして、弱者を攻撃する。攻撃そのものは生物の本能。しかし人間は物理的攻撃ではなく、心理的攻撃に長けている側面がある。思いやりをもってと諭すのは、もはや無理なのかもしれない。せめて攻撃前に背景、真偽を慎重に見極めるぐらいのことはしてもらいたいものだ。

(絵はAIによる創作です)

 

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