萩咲くや蜜柑畑のモノレール
「方円」2007年12月号雑詠掲載。
17年前、30代後半に詠んだ句。恥ずかしながら場所は覚えていない。山の斜面に蜜柑畑が広がり、収穫のためにモノレールを敷設している。蜜柑どころでよく見る風景。そんな光景に溶け込むように、萩の花の鮮やかな赤が映える。まだ蜜柑の収穫には早い。今は萩の花の方が目に付く。四季それぞれの光景が、どんな場所にもある。そんな事を思いながら詠んだ句。
ご承知の通り、萩は秋の季語。一方蜜柑は冬の季語。厳密に言えば、この句は季重なりという事になる。それでも当時の故・中戸川朝人主宰がこの句を採用したのは何故だろうと考えてみた。恐らく、蜜柑そのものではなく、蜜柑「畑」とした事により、萩が主役、蜜柑が脇役という位置づけを決定させたからではないか。今はそう思っている。あまり感心できる句ではないが、結局俳句とは、最もクローズアップさせるべきは何なのかを、しっかりと表現する事。これに限るという事を、改めて思い出させる句ではある。むしろあまり「季重なり」などの禁じ手を恐れすぎない方がいいのかもしれない。
↓コチラも併せてご覧ください♪↓
俳句を始めませんか?