蒲公英や慈しむ眼の露座仏
「雲の峰」2024年6月号青葉集掲載。
この時期、道端や土手など、どこでも見かける、おなじみのタンポポ。最近は背が高く繁殖力が高い西洋タンポポに圧倒されて、日本古来のタンポポはすっかり見かけなくなった。それでも人々の目を楽しませてくれる、可憐な花。いつも歩く散歩道にも沢山咲いている。タンポポに目を落とすと、ふと目に入ってくるのが、小さなお地蔵様。その表情が実に柔和で、慈悲の目をしている。暖かい季節にぴったりの花に、そんな光景を喜ぶような顔でそこにいるお地蔵様の風景に惹かれて詠んだ句。
そんな穏やかな光景のさらに奥に見えるのは、JRの線路。お気づきの方もいらっしゃるかもしれない。お地蔵さまが立っているのは、人身事故の現場。供花やお供えが今も絶えない。人生に疲れて、人間関係に疲れてなど、様々な背景があったのだろう。勝手なことを言わせて頂けるなら、思いとどまって生きてほしかった。今日は4月1日。今日から新年度。気持ちも新たに前に進む人が多いだろう。どうか一人で悩まず、新年度のまっさらな心を持ち続けてほしい。
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