「風通し(かぜとおし)」と「風通り(かぜとおり)」 その2 |  ときしらずのブログ◎迂闊な話         

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「かぜとおし」 の説明は、先にも挙げたように 『広辞苑』 では、「風の吹きとおすこと。また、その場所。…」 とあります。見出し語の 「とおし」 の原型である動詞 「とおす」 と、説明文における動詞の種類は、他動詞で一致しています。

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『新編 大言海』 では、「風ノ、吹キ通スコト」、『明解国語辞典』 では、「かぜが吹きとおすこと」 とあり、これらも他動詞で一致しています。

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一方、以下は、見出し語の 「とおし」 の原型 「とおす」 (他動詞) に対して、説明文における動詞が自動詞の辞典です。つまり、“動詞の種類の不一致” の辞典です。しかし、説明文としては、こちらの方が分かりやすいように思われるのですが、どうでしょうか。…

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 『角川国語辞典』

  風が吹きとおる ・ こと (場所)。


 『国語大辞典』

  部屋などに風が吹き通ること


 『明鏡国語辞典』

  風が吹き通ること

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これらの 「吹き通る」 から、逆に見出し語 (「風通し」、「風通り」) を眺めてみると、「風通し (かぜとおし)」 よりも、むしろ 「風通り(かぜとおり)」 の方がぴったりとしているようにも思われてきます。

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ただし、「風通し」 のもう一つの意味 「比喩的に組織内での情報の通い具合に」 (『広辞苑』) 用いる場合は、別です。「社会の風通り (かぜとおり) をよくする」「局内の風通り (かぜとおり) をよくする」 では納まりがよくないような気がします。やはりこれらは 「風通し (かぜとおし)」がぴったりと合っているのではないでしょうか。

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「社会の風通し (かぜとおし) をよくする」 (『広辞苑』)

「局内の風通し (かぜとおし) をよくする」 (『明鏡国語辞典』)

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