「風通し(かぜとおし)」と「風通り(かぜとおり)」 その1 |  ときしらずのブログ◎迂闊な話         

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先日、テレビで、男性の一級建築士が 「昔の日本の家屋は、風通り (かぜとおり) が良かったんです…」 と言っていました。

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「風通し (かぜとおし) がいい」 という言い方はよく耳にするが … と思いながら 『広辞苑』 を見ると、見出し語は、「かざとおし」 「かぜとおし」 「かぜとおり」 の三つがありました。すなわち、三つの言い方があるということであり、「かぜとおり」 という言い方も誤りではないことが分かりました。ただし、三つの見出し語の説明を追っていくと、「かぜとおし」 に行き着くようになっています。言い換えれば、「かぜとおし」 が基本であるということでしょう。

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 『広辞苑』 第六版 (2008、2011、岩波書店)

  かざとおし 【風通し】

  ⇒ かぜとおし


  かぜとおし 【風通し】

  風の吹きとおすこと。また、その場所。かぜとおり。かざとおし。比喩的に組

  織内での情報の通い具合にも用いる。「 ― の悪い部屋」 「社会の ― を

  よくする」


  かぜとおり 【風通り】

  ⇒ かぜとおし

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付け加えて言えば、「かぜとおり」 という見出し語があるのは 『広辞苑』 と 『国語大辞典』 (昭和56年12月 ― 昭和57年1月、小学館) のみです。

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「かぜとおし」 が基本である、という点では、以下の各辞典も同様です。

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 『角川 国語辞典』 (昭和44年12月 ― 昭和54年1月、角川書店)

 『角川 用字用語辞典』 (昭和56年10月 ― 昭和61年2月、角川書店)

 『国語大辞典』

 『明鏡国語辞典』 第二版 (2011、大修館書店)

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「かぜ」 の古形 「かざ」 で 「かざとおし」 を基本としているのは、以下の辞典です。

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 『新編 大言海』 (昭和57年2月、冨山房 / 『大言海』 初版は昭和7年)

 『明解国語辞典』 (昭和18年5月 ― 昭和42年3月、三省堂)

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独自なのは、『新編大言海』 です。以下に示す通り、「つうふう 【通風】」 の項で 「カザドホシ」 「カゼドホシ」 という連濁の言い方が載っています。

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 『新編 大言海』

  かざとおし 【風通】

  風ノ、吹キ通スコト。通風。


  つうふう 【通風】

  カゼノ、フキトホスコト。カゼノトホリ。カザドホシ。カゼドホシ。「通風採

  光」

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次回は、「かぜとおし」 の説明文について見てみたいと思います。