顧問CFO川井隆史のブログ -74ページ目

西武グループの財務資料が面白い




今日の朝の日経で西武鉄道の会社研究を行っていたので、自分も


西武鉄道の財務資料(4半期報告書)を見てみました。特徴的なの


は経営成績について非常に丁寧に分析を開示していることです。


たいていこの手の開示は横並びで同業他社の動向を見ながらそ


ろりと開示する傾向が日本企業ではまだ高い気がするのですが、


他社と比べかなり充実しています。財務分析のページ数だけでみ


ても西武グループが7ページで同業の東武鉄道は2ページ、東急


電鉄は2ページす。西武鉄道はかなり事業別に詳細に記載し


ており、ホテル事業などは稼働率や販売室料をリゾート、シティ別


に開示し、客数も日本人、外国人別に開示しています。特にホテル


事業においては室料、稼働率ともに上昇し大きく改善した分野で


あることが非常によくわかります。


本業の鉄道事業についても丁寧に解説しており、東武鉄道が開示


していない乗車効率についても東急の53%に対し38%程度とこの


あたりが他社と比べ課題であることがわかり、不利な数字もきちん


と開示している姿勢は好感が持てます。有価証券報告書の虚偽記載


で一度上場廃止になっているのでこのあたり真摯に対処しているの


かもしれません。。



日経新聞にもあるように他の東急、東武、阪急阪神などの同業他社


に比べ、交通、不動産、ホテルといった分野でバランスよく利益を


上げていて、モデルとしては安定感があるかもしれません。開示


姿勢もきちんとしていますし、株価は3か月前の3000円から2300円


と2割以上下落しているのは相場の方向性とはいえ確かに不思


議です。

ZARAに近くなるユニクロ




ファーストリテイリングの柳井社長がデジタル化とグローバル化


というキーワードで決算発表を行ったようです。グローバル化で


は中国を中心としたアジア地域への出店はますます強化される


ということで基本的に今まで推し進めていたことをより強く推し


進めることだと思われます。一方デジタル化は少し方向性が代


わりどちらかというとZARAに近いモデルになっていくと言えるか


もしれません。



ZARAの強みはいろいろあるとは思いますが、私はサプライチェー


ンマネージメントにあるとみています。店頭での状況を常に把握し


即座に商品企画、生産に反映させ3週間ごとに新しい商品を生


み出していくというところです。したがって少量多種の生産が可能


で流行を敏感にとらえた商品が可能です。一方、あくまで私のイメ


ージですが、ユニクロはベーシックな商品がまずまずの品質で安い


であり比較的多量小種のモデルです。そのため流行を読み違えた


際は大量の在庫処分をしなければならない比較的リスクの高い


モデルと言えるでしょう。したがって、ZARAのようなモデルに近づ


くためには流行を即座に反映させるようなサプライチェーンの改善


が急務でそういった意味でのデジタル化なのだと思います。


実はこのデジタル化はベーシックな商品というユニクロのイメージ


を変えていく大きな転換だと思うので非常に挑戦的な方向性だと


思います。これが成功するかはわかりませんが、常に現状に満足


せずにチャレンジしていく柳井社長の姿勢は尊敬しますね

JTのアメスピ海外買収価格は高すぎるか?




日本たばこ(JT)がナチュラル・アメリカン・スピリット(アメスピ)の


米国外事業を6000億円で購買収しました。これに対し、買収額が


高すぎるという見方が多いようです。しかし、一方新貝副社長が


非常に成長性があり5年後には純現金収支300億が見込めるの


でけっして高くはないと今朝の日経で反論しています。


投資家の買収評価としてマーケットアプローチのマルチプル法


(要は同業他社のPERを使って価値を算定)を使っているとする


と、ざっくりとした計算としては以下になります。現状のアメスピ


の税引き後純利益 xPER(株価収益率)で21億 x15倍(JTの


PERを仮に使用)=315億です。要はPERが300倍くらいでない


と説明できない数字でとても6000億は高すぎるのだと思います。



一方、JT側はインカムアプローチで相乗効果でかなり将来の


成長が見込めると見ているようです。インカムアプローチだと


将来このアメスピが稼ぎ出すキャッシュフローをJTの資本コスト


で割り引いた金額が買収価格になります。5年後300億の純現


金収支と言っていますので5年後のターミナルバリュー


(継続価値)がカギになります。事業がほぼ永続的に続く


価値としては最終年度の次年度のキャッシュフロー÷(成長率


 -資本コスト)です。JTの資本コストは(計算は省略しますが)


約5%と推定されるので成長率がゼロで翌年も300億としても


300億÷5%=6000億となります。当然この値は現在価値に引き


直さねばなりませんが5年後以降の成長率もあると踏んでいる


でしょうから理論的には正当化出来ると思われます。



ポイントとしてはアメスピの将来の成長性にかけたかなり思い


切った買収価額と言えるかと思います。判断の是非については


アメスピの成長ストーリーがどれだけきちんと考えて作成したも


のかにかかっていると思われます。JTはIFRS(国際会計基準)


適用会社なのでのれんを償却する必要がありません。しかし、


この成長ストーリー通りにいかなければ2~3年後に減損をせま


られるはずです。外野の人間としてはどうなるか少し楽しみです。