更年期障害は、ホルモンの変化による身体症状だけでなく、心理的・社会的な要因も深く関係しています。
症状の重さや感じ方には個人差がありますが、その背景を理解することで、心の負担を和らげるヒントが見えてきます。
1. ホルモン変化と心の不安定さ
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更年期はエストロゲンの分泌が急激に減少することで、自律神経や神経伝達物質(セロトニン・ドーパミンなど)のバランスが崩れやすくなります。
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その結果、イライラ、不安、気分の落ち込み、集中力低下などの精神症状が出やすくなります。
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これらは身体的症状(ホットフラッシュ、不眠など)と連鎖し、さらに心理的なつらさを増幅させます。
2. 人生の転換期としての心理的負担
更年期の年代は、人生の大きな節目に重なります。
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子どもの巣立ちによる喪失感や「母としての役割が終わる」虚無感(空の巣症候群)
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親の老い・介護による心配やストレス
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夫婦関係や家族関係の変化(価値観のズレ、会話不足など)
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職場での立ち位置の変化やキャリアの行き詰まり感
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自分の老い・健康不安、容姿の変化へのショック
実は、このライフイベントが大きく影響しています。
こうしたライフイベントが、ホルモン変化による心身の揺らぎと重なって、症状を強めることがあります。
3. 自己アイデンティティの揺らぎ
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「今まで家族や仕事のために頑張ってきたけれど、これから自分は何をしたいのか?」といった人生の意味や役割への問いが生じやすくなります。
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若さや美しさを失う恐怖、自分への自信喪失など、自己肯定感の低下も心理的な背景としてよくみられます。
私自身、夫婦問題、子育てに悩んでいた時期でもあり、生きる価値を失っていました。
今から思うと鬱(うつ)だったと思います。
そして、更年期からきていたことにも気付きました。
4. 環境やサポート体制の影響
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家族や周囲の理解が得られず、「気のせい」「年のせい」と軽視されると孤独感が強まり、症状が悪化しやすいです。
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反対に、共感やサポート、気持ちを安心して話せる相手がいると症状は軽減しやすいことが研究でも示されています。
まとめ
更年期障害の心理的背景には、
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ホルモン変化による脳・自律神経の乱れ
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ライフイベントのストレス
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自己肯定感や役割意識の揺らぎ
が関係しています。
そのため、治療やケアでは身体面だけでなく、心のケアや生活環境の調整、サポート体制づくりが重要です。