3分読書、読んで頂き、ありがとうございます。

これまで書いた作品も、読んで頂ければと思います。

地球の選択 - 二つの未来 

では、「終わらない夢」を読んでみてください。

爆 笑爆笑爆笑


睡眠不足に悩んでいた佐藤健は、友人から勧められた「DreamOn」というアプリを試してみることにした。このアプリは、理想の夢を見させることで、ユーザーの睡眠の質を向上させると評判だった。インストール後、彼は設定画面で自分の理想の夢を詳細に入力し、心地よい夢の中で過ごすことを期待して、夜遅くベッドに入った。




初めてアプリを使用した夜、健は美しい海辺のリゾート地を訪れる夢を見た。波の音が心地よく響き、風が優しく彼の顔を撫でる。目覚めたとき、健は久しぶりに深い眠りを取ったと感じ、すっきりとした気分で目覚めることができた。その日一日、彼は活力に満ち溢れていた。


これに気を良くした健は、次の日も「DreamOn」を使って眠りについた。今度は、昔憧れていた冒険映画のような夢を見た。広大な砂漠をキャメルバックで旅し、古代の遺跡を探検する。彼はそのリアルな感覚と壮大な冒険に興奮し、目覚めたときには満足感に包まれていた。


しかし、数日が経つと、健は夢の中での体験が次第に奇妙なものに変わり始めた。ある夜、彼は見知らぬ都市の暗い路地に立っている夢を見た。そこには不気味な雰囲気が漂い、遠くからかすかな囁き声が聞こえる。目を凝らすと、影のような存在が彼に近づいてくるのが見えた。恐怖に駆られた彼は必死に走り出すが、その影はどこまでも追いかけてきた。


目が覚めたとき、健は汗びっしょりで息を切らしていた。この夢が単なる悪夢で終わればよかったが、それからの日々、夢の中の出来事が現実にも影響を与えるようになっていった。次の夜、再び「DreamOn」を使用すると、同じ都市の路地に立っている自分を発見した。今度は夢の中での恐怖が一層現実感を増し、影の存在はさらに近づいてきた。


健はこの夢から目覚めたとき、夢の中での疲労感や恐怖心が現実の体にまで影響を及ぼしていることに気づいた。現実と夢の境界が曖昧になり始め、彼は次第に現実と夢を区別することが難しくなっていった。これはただのアプリの影響なのか、それとも何かもっと深い問題が隠されているのか。健は深い不安に駆られながらも、次なる一歩を考え始めた。


不安に駆られた佐藤健は、夢と現実の境界が曖昧になっていることに強い恐怖を感じ始めた。彼は「DreamOn」を使うことを一時的にやめようと決意し、アプリをアンインストールした。しかし、アプリを削除しても、奇妙な夢の影響は消えることはなかった。毎晩、彼は再び暗い都市の路地に戻り、同じ影の存在に追いかけられる夢を見るようになった。




ある夜、夢の中で影から逃れるために必死に走る健は、見知らぬ扉にたどり着いた。扉を開けると、そこには異様に明るい部屋が広がっていた。その部屋には無数のスクリーンがあり、それぞれのスクリーンには彼の過去の記憶が映し出されていた。彼は自分の記憶がすべて監視されているような感覚に陥り、恐怖と混乱で足がすくんだ。


その部屋の中心には、一つの大きなスクリーンがあり、そこには「DreamOn」のロゴが浮かび上がっていた。健はそのスクリーンに近づき、操作パネルを見つけた。パネルには「リアリティモード」という見慣れない設定が表示されており、それが夢と現実を融合させる原因であることに気づいた。彼は急いでそのモードを無効にしようとしたが、指がボタンに触れる寸前にスクリーンが暗転し、影の存在が部屋の中に現れた。


影はゆっくりと健に近づき、その姿が次第に人間の形を帯びてきた。やがて、それは彼自身の姿に変わり、自分自身と対峙することになる。影の自分は冷たく笑い、「お前はここから逃げることはできない」と囁いた。健は恐怖に凍りつきながらも、何とか勇気を振り絞って再び逃げ出した。


現実に戻った健は、夢の中での恐怖が完全に消えていないことを感じた。彼は一層の不安に駆られ、再びアプリを調べることに決めた。インターネットで「DreamOn」に関する情報を集めるうちに、他のユーザーも同様の体験をしていることがわかった。多くのユーザーが夢と現実の境界が曖昧になり、恐ろしい体験をしているという報告が相次いでいた。


健はさらに深く調査を進め、「DreamOn」の開発者にたどり着いた。その開発者は、夢を操作する技術を研究する一方で、ユーザーの夢のデータを収集し、リアルタイムで解析することで、夢と現実を融合させる実験を行っていたことが判明した。彼はこの技術が危険であることを知りながらも、その力に魅了され、倫理的な問題を無視していたのだ。


この事実を知った健は、自分がこの危険な実験の一部にされていたことに強い憤りを感じた。彼は開発者に直接会いに行く決意を固め、この恐怖の連鎖を断ち切るために行動を開始した。


佐藤健は、恐怖と怒りに駆られながら「DreamOn」の開発者に会うため、彼のオフィスに向かった。建物は郊外の静かな場所にあり、夜の闇に包まれていた。玄関に立ち、深呼吸をしてからインターホンを押すと、数秒後にドアが開いた。現れたのは、冷静な表情をした開発者、山本だった。


健は自分の体験を冷静に伝え、山本に「DreamOn」の技術が引き起こした問題について問い詰めた。山本は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻し、丁寧に説明を始めた。「私たちの技術は、ユーザーの潜在意識にアクセスし、理想的な夢を提供するものです。しかし、リアリティモードはまだ試験段階であり、ユーザーに適用するべきではなかった。あなたが体験したことは予期せぬバグです。」




健はその説明に納得できず、さらに追及した。「バグだとしても、これはあまりにも危険です。多くの人が現実と夢の境界を失い、苦しんでいます。この技術をどうにかして止めるべきだ。」山本は深く息をつき、真剣な表情で健に向き合った。「確かに、我々はその危険性を過小評価していたかもしれません。しかし、この技術には人々の夢を現実に変えるという大きな可能性があります。あなたにはその恐怖と同時に、その可能性も見てほしい。」


その瞬間、健のスマートフォンが鳴り響いた。画面には「DreamOn」からの通知が表示され、「最終モードを有効にしますか?」というメッセージが表示されていた。健はその通知に不安を覚えながらも、山本の言葉に従い、その可能性を確認することを決めた。彼は慎重に「有効にする」を選択した。


再び夢の中に入った健は、今度は全く違う景色が広がっていた。広大な草原に立つ自分が見え、周囲には美しい自然が広がっていた。そこには恐怖の影はなく、平穏と安らぎが漂っていた。夢の中で、健は自分が何を望むのか、何を成し遂げたいのかを深く考える時間を得た。そして、その夢の中での体験が、現実世界での彼の決意を固めるきっかけとなった。


目が覚めたとき、健は自分の中に新たな覚悟を感じていた。山本と協力し、この技術をより安全で有益なものに改良するために尽力することを決めたのだ。彼は、恐怖の体験を乗り越えたことで、この技術が持つ可能性を理解し、それを人々の幸福のために使う方法を見つけようと心に誓った。


健と山本は共同でプロジェクトを再設計し、「DreamOn」は人々の夢を安全に管理し、より良い睡眠を提供する新しい形へと進化した。彼らの努力は多くの人々に喜びと安らぎをもたらし、健は自分が経験した恐怖の夜を忘れることなく、技術の進歩と共に歩み続けた。