3分読書、読んで頂き、ありがとうございます。

これまで書いた作品も、読んで頂ければと思います。

地球の選択 - 二つの未来 

では、「奇妙な料理教室と魔法の一皿」を読んでみてください。

爆 笑爆笑爆笑


ある秋の日、街の片隅で「魔女のレシピ料理教室」が開催されるという噂が、地元の住人たちの間で小さな話題となっていました。主催者は「魔女リリアン」と名乗る謎多き女性。彼女の作る料理には、食べると一時的に不思議な力が宿ると言われていました。


教室が開かれるのは、少し古びたカフェの一室。壁にはアンティークな魔法のアイテムが飾られ、どこか異世界のような雰囲気を漂わせています。参加者たちは、若者から老人まで様々。皆、好奇心に満ち溢れていました。


「本日は、皆様に特別な体験をしていただきます」とリリアンが優雅に挨拶をすると、彼女の手元には既に奇妙な材料が並んでいました。それは、通常の食材とは思えない光り輝くキノコや、星の形をした果物、幻のスパイスなど、見たこともないようなものばかり。


「まずは、この飛行キノコを使ったスープから始めましょう。食べると、体が軽くなり、少しだけ空を飛べるようになるんですよ」とリリアンがにっこりと笑いながら説明すると、参加者からは驚きと興奮の声が上がりました。




そんな不思議な料理の数々が、これからどんな騒動を巻き起こすのか、参加者たちもまだ知る由もありませんでした。しかし、それがまさに「魔女のレシピ」が生む、一日限りの小さな奇跡となるのです。


料理教室は、リリアンの案内のもと、次々と奇想天外な料理のレシピに挑戦していくことになりました。最初に提供されたのは「飛行キノコのスープ」。ひと口飲むと、参加者の一人が突然宙に浮き、教室内を軽やかに舞い始めたのです。「わあ、本当に飛べる!」彼女は驚きながらも、その新しい体験に歓声を上げました。その様子を見た他の参加者も興奮を隠せず、次々とスープを味わい、空中散歩を楽しんでいました。


続いてリリアンが用意したのは「笑いの果実のタルト」。このタルトを食べると、誰もが抑えきれない笑いがこみ上げてくるというもの。ひとくち食べた途端、教室は大爆笑の渦に。参加者たちはお互いの変わった表情に更に笑いが止まらなくなり、笑いの連鎖が止まることを知りませんでした。




その後も、「透明になるハーブのサラダ」「記憶力を増強する蜂蜜ドリンク」など、一つ一つの料理が参加者に特別な時間を提供していきます。しかし、料理を進めるごとに、リリアンの顔色が少しずつ変わっていくのが分かりました。彼女は参加者たちが楽しむ姿を見る一方で、何かを懸念しているようでもありました。


教室の後半に差し掛かると、リリアンは「最後に、もう一品だけ特別なものをお見せします。これは『運命のミントティー』です。飲むとこれからの未来が少しだけ覗けるかもしれません」と謎めいた言葉を残し、一杯のミントティーを用意しました。参加者の中から選ばれた一人がそのティーを飲むと、彼の表情が一瞬で真剣なものに変わりました。彼が見たものは何だったのか、残りの参加者はそれを知る由もなく、ただただその変化に驚きを隠せませんでした。


最後の「運命のミントティー」を飲んだ参加者は、その場で未来のビジョンを体験したようだった。彼は目を閉じ、数秒間静寂に包まれた後、ゆっくりと目を開け、周りを見渡し始めました。「私は…自分が老舗のパン屋を開いているのを見ました。そのパンが人々に幸せを運んでいるんです!」彼の声には驚きと喜びが混ざり合っていた。この不思議な体験に、他の参加者たちも自分たちが飲めばどんな未来が見えるのかと興奮しきりでした。


しかし、リリアンは優しく微笑みながら、それ以上のミントティーを提供することはなかった。「このティーは、あくまで皆さんの心にある可能性を少しだけ映し出すものです。未来は、このティーが示す通りになるとは限りませんが、今日の経験が皆さんの人生にとって良い影響を与えることを願っています」と彼女は言い、教室の締めくくりとして参加者全員に温かい言葉をかけた。




参加者たちは料理教室を後にするとき、それぞれが手に入れた特技や未来の一瞥について興奮しながら話し合っていた。そして、彼らはこの一日の体験がただの料理教室で終わることなく、何か新しい始まりのきっかけになるかもしれないという希望を共有していた。


一方で、リリアンは教室を後にする参加者を見送りながら、彼らが持ち帰ったものが彼らの日常に少しでも魔法のような彩りを加えることを願っていた。彼女自身も、これからもこの不思議な料理教室を続けていく決心を新たにし、次回のメニューを考え始めるのだった。