2019年、新年迎えて、おめでとー。
雪をかぶった立山連峰を望む内川の冬景色
2009年9月から続けているこのブログ。途中、数ヶ月もお休みしたり、書いている意義を見失ったりしたけど、10年近く続いてる。ただ、誰かに見てほしいものではなく、単に自分の気持ちを記録し、将来の自分のためのものとして書いているみたいな存在。ただただWEB上に公開されたアーカイブとして、誰でも見れるようになっているが、世界でたった一人、このブログを楽しみにしている人がいると思うと、それが原動力になっているのだ。
去年の正月に書いたブログを読んでみた。
あれから1年が過ぎた。今の自分はイケテるのか?…。
去年の自分へ…。今の自分は、去年の自分より確実にイケテるぞ!!
ただし!!年商30億円には、まだまだ遠い。でも一方では、遠回りしている今の状況が、実は物凄い近道にも思えてきた。「未来の結果に自信が持てるように…」って言ったよね。その感じに近い。
去年は、会社の事業ドメインをわかりやすくしようと、社名も変えて、「まちに貢献する場をつくる」という表明をした。「場をつくる」とは、業界として区分できない領域。気持ち的には「聖域」と言いたい。空間領域をつくるという視点においては、今まで建築業界が担ってきた世界だけど、もうそれは違うよねって、社会のごく一部では言われ続けられていること。
かと言って、コンクリートから人へ…じゃないけど、ハードに対してソフトという話でもない。設計図通りに施工してできる空間ではなく、どちらかというと昔の大工仕事に近いイメージなのかなぁ。施主の人柄や思いを汲んで、この人にピッタリな家を大工さんがつくるオートクチュールみたいな感じ。
そのためには、主体者がここで、どんなことをしたいか、何を達成して幸せと思えるか、どんな状態が心地良いのか、とかを理解しないといけない。そこへのアプローチは、テクノロジーやマーケティングでは無理なのだ。主体者の想像を上回る未来をつくる妄想力と創造力が必要だと思う。
出来上がったものが、主体者の期待を裏切るものになる可能性もあるが、世間や顧客の期待に応えるものでなければならない。まったくおこがましい話だが、自分の仕事はそうでなければならない。それでこそ価値あるものだと思う。だから、誠に恐ろしいことをしていると感じる。いつもヒリヒリする。
一昔前は、施主=主体者の思い通りのものを表現することがいい仕事だと思ってきた。だが、それはおかしいのではないかと思ってきた。だって、飲食店をやっているオーナーが、飲食店の空間づくりのプロではない。ホテルのオーナーが、ホテルの空間づくりのプロではない。そんなことを思う。
ここは実に難しい判断だと思うのは百も承知。
そんな事を言うお前は何様だよ、という意見も聞こえてきそう。確かにそうも思える。だが、ここは自分のなかで揺るぎない思いが確立した部分で、プロデュースする案件で、自分がその顧客になれない場合はいい仕事ができないということ。
例えば、安い材料で格安価格の料理を出す店のプロデュースは出来ない。なぜなら、自分がその店の顧客になることができないから。バックパッカーに人気の格安ゲストハウスのプロデュースもできない。理由は同じ。
以上のことは、自分のなかで、めちぇくちぇ大事なポリシー。絶対に譲れないこと。
思いつきじゃないけど、この1年、この思いを明確に持って、仕事をやってみたいと思う。その結果、どうだったか、また1年後に振り返ってみたいと思う。
あとね、健康、大事!すごい大事!心身ともにね。これなくしては、いい発想も生まれないし、正直になれない。
世界よ、今日もありがとう。世界の人々にとって、よい1年でありますように。
いいホテルって、どんなホテル?
この問いに答えるのは極めて難しい・・・。
誰か、教えて!!
では、好きなホテルはどうだい?
きっとそれぞれ、好きなホテル、あるんじゃない?
ま、でも、目的別、ジャンル別に違うと思うんだけど、今、話題にしたいのはラグジュアリーとか、観光メインのホテル。
自分の「好きなホテル」、いつも言葉でまとめておこうと思うのに、走り書きのメモで終わってしまう。そしてキオクの彼方に飛んでいく・・・、ダメですね。
今、弊社でも小さな宿泊施設をリノベしているし、お客様の旅館のリニューアルプロジェクトをプロデュースしているので、いいホテルとか、ダメなホテルとか、自分が行きたい好きなホテルとか、結構日常的に考えてる。ま、そもそもホテルが大好き。
以前から思っていることは、総合得点として75点狙いが多くてつまらないこと。でも、宿泊業は、無難に営業しようとすると、絶対にそうならざるを得ない事情があることもわかる。
本当に大変な業界だと思う。まずはクレーム排除。ここからスタートしなきゃ、つまりマイナスがないようにサービスを構成しなきゃ、頑張って1つのプラス要素をつくっても、たった1つの小さなマイナス要素で印象がガタ落ちだもんね。
清潔である、快適である、この2つをクリアしていなければ、何をやっても評価は上がらない。ホテルはここがゼロスタート地点で、この先にプラス点を稼がないといけない。当然のことのように思うけど、すごく大変なこと。
なぜなら、清潔や快適という絶対基準はないし、人によってとらえ方も様々。潔癖症の人は、他人の髪の毛1本を発見したら、もうアウトってこともあるし、いつも高級寝具に包まれて寝ている人が、自宅よりもグレードが低いものを使っていると思ったら、それもアウトかもしれない。
しかし、しかし、僕は思う。
清潔や快適は、ほどほどで良いと。
だって、この世の中、色んなもののグレードがあがっていて、ちゃんとした製品を使っていたり、普通の清掃係の人が頑張っていれば、そんなに問題ないと思う。ここは75点で大丈夫。
それよりも、ホテル側が「冒険」してほしい・・・。
冒険??
そう、冒険。
例えば、舌を噛みそうな、普段使わない言い回しで、サービスを説明する客室担当とか、お客様は神様ですみたいな態度で接客態度を変えないマネージャークラスの人とか。
目の前に「人」が居るのに、ホテル側は、いつもの「マイナスがない接客」をしようと必死である。人との距離感や相手の温度感、旅慣れた人か、はじめのドキドキ体験なのか、お客さんは誰一人として同じ属性、同じ気持ちの人はいないはずです。
ちょっとお客さん側に、関心を寄せて、リズムとかスピードとか、温度や距離を感じてほしい。
冒険っていうのは、出過ぎたマネ、自己流の親切が失礼にあたってしまうかもしれないリスクを負ってみること。
でも、それも常識の範囲、程度の問題。
お客さんが「この人、一生懸命だな」と思ってくれれば問題なしだよ。僕の場合ね。
そう、努力しようとしているホテルが好きだーー!!
あと、WEBサイトは今や宣伝用につくるんじゃないと思ってる。ホテルのコンセプトをありのままにしっかりと伝え、ミスマッチが起こらないよう、お客さんが残念体験をしないよう、それらの予防ページ??みたいなイメージ。
都会の喧騒が好きな人もいれば、嫌いな人もいる。かつて、某ホテルが静かすぎて寝れない、という人に会ったことがある。
例えば「少人数でやっている宿なので、掃除が至らない点があればすみません、でも料理は絶対に後悔させない自信がある」とか。客はその情報を予め知っていれば、少々のことは目をつむってくれます。料理が満足すれば問題ない。
極端な例だけど、広島県伯方島の民宿「せと」さん。
この宿には、料理以外、何も求めない。料理にふとんがついてくる程度の捉え方。
でも、お値段はそこそこ。それでも全然満足です。
実は今回宿泊した「星のや東京」も基本は同じ・・・。いや、同じといっても随分と違いますよ、いいホテル。同じというのは、宿泊しないと利用できないここのレストラン「Nipponキュイジーヌ」と名付けた料理があまりにも美味しすぎて、部屋とか、接客とか、その他諸々のことはどうでも良いと思った。
これを味わうには、ここに宿泊しないといけない。随分と割高な料理と言ってしまえば、そうかもね。
まだまだ浅い自分。
でも、確実に何か掴んだ気がしている。
妻よ、今日もありがとう。ゲホゲホ・・・。
生きることは、生かされること
内川にオープンしたバーにて
運命とは、自分で切り開くもの。…と信じたい。今はそう信じている。
決して他人や神様に操作されるべきものではないと信じている。
でも、今日、その確信が揺らいでしまった。
誰の考えで、人の一生という物語は綴られているのか。
ビデオゲームのように、保存したところから、またやり直しが効くボタンがあるのだったら、今を変えられただろうか。変える必要があるだろうか。もしかして、また同じことをやってしまうだろうか。
人は、生きているんじゃない、生かされている生き物なんじゃないかと、そう思った。
切ない、苦しい、悔しいよ。
それでも感謝せねばならないのだ、
宇宙よ、今日もありがとう。