昨日はこうでした。
こんにちは、渋谷です。
昨日はこうでした。
こんにちは、渋谷です。
はい、投稿しましたよ!
こんばんは、渋谷です。
昨日、無事に小説現代に長編を応募しました!原稿用紙449枚。思ったより長くなったなあ。
まあ、自分が書きたいことがしっかり書けたと思います。書きたいこと……と言うか、書かなきゃいけないこと、みたいな。何のために書かなきゃいけないのかは分かりませんけど。何かの衝動に要求されたことを、自分の出来る範囲内で文章化できた、って感じですかねえ。創作意欲ってきっとそういうものなのでしょう。
次の話ももほぼ固まりつつある……。長編になるんだけど、出来れば9月末の賞に出したいのです。間に合うかなあ。まあできるだけ頑張る。なんとテイストはホラー。民間伝承と呪われた一族とミステリー、最後の3行で一気にホラー、みたいな仕掛けが施せたらいいな。まあ、しばらくは本を読みながらプロットに没頭したいと思います。
今回は、「頭と最後だけ決めてー」みたいな感じではいかなそう。最初にしっかり煮詰めないと訳分からん話になりそう。なので、よくよく考える。出来なさそうならすぐに方向転換して別のアイデアを形にする。まだやってみなきゃわからん、手探りの状態です。で、読んだ本の話なのですが。
桜庭一樹さんの初期作品、「少女七竈と七人の可愛そうな子供」を読みましたよ。やっぱり桜庭さん、好きやわあ。私がこないだまで書いてた話と、これから書こうとしている話のちょうど真ん中の空気感。
私が桜庭さんを好きになるのも仕方ないことなんだわ。そう思える、琴線に触れまくるお話でした。
最初に言っちゃうと、まず題名からして「?」と思ったんですけど。「可哀そう」を「可愛そう」と表記するのは、日本語としては明らかに誤りです。……よね?使われている表記ではありますが、これは間違いかと。でも、読んでみて分かった。これはきっと、桜庭さんがあえて「可愛そう」と表記したんだろうなと。
主人公は七竈ちゃんという女子高生。ナナカマドちゃん、と読みます。植物、というか、木の名前なんですね。ナナカマド。白い花が咲いて赤い実がつくんですって。その実は硬くて鳥なんかも食べられないんだって。
桜庭さんお得意の、妙な名前の主人公です。彼女の幼馴染の同い年の男の子が、雪風くんと言います。ユキカゼくん。妙な名前ねー。子供の同級生にもちょっとびっくりするような名前の子、いますけどね。まあ個性か。多様性か。ちなみにうちの子はいわゆる「シワシワネーム」。……強く生きろよ。昭和な名前なのでね。まあ、もう10年もすれば時代は巡って最先端だ。
そんな七竈ちゃんのお母さん、優奈さんの独白から物語は始まります。圧の強いお母さんが亡くなって、小学校教員だった真面目な優奈さんはタガが外れてしまいます。学校の校庭に美しく咲く七竈の木は、燃やしても燃えないんだそうです。七回燃やして初めて灰になるんですって。だから(何がだからかは分かりませんが)、「よーし、私も七人の男と寝るぞー!」と決めた優奈さん。
ここではまったく意味が分からないんですが。旭川という狭い町で、とにかくやりまくる優奈さん。……ビビりましたよ。私がこないだ書いた話の、主人公の出身地は室蘭。そして「男とやるぞー!」と決心するところから話が始まる。
やっぱ、根本が近いんよなあ……。北海道って、独特の土地なんですよね。もちろん日本の一部なんですが、少し夢の場所みたいな空気感がある気がする。雪に閉ざされる冬が長いってとこもあるんですかねえ。物語の舞台としてすごくぴったりな感じがするんです。で、こってこての方言がないって言うのも大きい。標準語に近い……と聞いてるんですが。どうなんですか北海道の皆さん。開拓で入った方が多いので、方言が存在しない、みたいな。
優奈さんは7人の男と関係をもって、誰の子だかわからない子供を産みます。それが七竈ちゃん。七竈ちゃんは大変美しい娘に育ちます。優奈さんは平凡なお顔立ちです。そして幼馴染の雪風に、どんどん似てくる。
ぶっちゃけると、七竈ちゃんと雪風ちゃんのお父さんは同じ人なんですね。ふたりは異母兄弟。けれど、孤独なふたりはひかれあい恋に落ちます。結ばれない恋に翻弄されるふたり。……なんていうと簡単な恋物語になってしまうのですが、そのふたりの周りには「可愛そうな」大人が7人もいます。
色んな角度からふたりを取り巻く大人が描写され、ただの恋物語でない、重厚で絵巻物にも近い物語が紡がれていくのです……。
うーん、いい!
私、次の話を、一族の色んな人間の一人称で作り上げてみたいと思ってます。一つの事象に向け、一族の構成員たちが自分の立場でそれを見、感情を吐き、動く。あの人、この人と独白が進んで、真実に近づいていく。……みたいに出来たらほんといいんですけどねえ。なんせ複雑そう。でも書きたい。そんなのを仕上げてみたい。
加藤元さんの「山姫抄」があまりにも面白くて。その時、民間伝承を書いてみたいって思ったんですよね。それと、明治辺りからの一族の姿を書きたい。だから、こないだ実家に帰った時に、父にうちの家系のことを聞き込みしました。やっぱ面白い。うちのじいちゃんは8番目の子だし、そのお父さん(私のひいじいちゃん)は7番目の子だし。
そこにまつわる色んな構成員の話が聞けたよー。これを小説にしたい、と思った。何のことはない、田舎の山間部の一族なのですが、かなりの人間ドラマが秘められていました。母方も変わったメンツが揃っているので、これも絡めて。もう、わくわくしちゃってしょうがありません。
あとは、これを書ききる能力が私にあるかだが……。やってみなきゃ何事も判断できません。「できない」というのは簡単。どんな作家さんだって最初は素人でした。私には無理、なんて証拠はどこにもない。書きたいと思ったということは書けるということだ。伝承と一族の歴史と現代のミステリーを絡めたホラーを私は書くのです。まだ全然骨子は出来上がっていませんが、そう決めたのです。
と、いうわけで、とにかく明日は子と美術館だ。あっついなー。でも、美的センスみたいなんは、意識的に育てないと自然発生はしない気がするんです。親としての責任とでも言いましょうか。見せてあげたい。まあ、私も見たのです。
次はホラーを読んでみようかと思っています。もしくはミステリー。夫の本棚はミステリーばっかりなので、あそこから拝借しようかな。楽しみ楽しみ。
というわけで寝る。
おやすみなさいー!
はいはいー推敲推敲ー。
こんばんは、渋谷です。
さあ小説現代の締め切りがもうすぐですよ。推敲をしています。が、なんか知らんけど子がイライラモードよ。暑すぎて日中外に出せないもので、家にいる間はママにぴったり。とても子供に読ませれるような内容じゃないので、私はノートパソコンを手に子供から覗かれない角度に逃げ回る。結果、お互いイライラ。
普段はとってもいい関係なんですけどねー。なんか言葉の端々が刺々しくなっていきます。今日は、日曜に買った新しい素敵なお洋服を着せてふたりで図書館に行ったんですが、行ってる間は仲良しなのよ。でも寝る準備とか、ルーティンをする段になるとお互いイライラ。夫は遠巻きに息を飲んで行方を見守っています。
多分、私が怖いんだろうなあ。だって夫がすごく私に気を遣うもん。申し訳ないね。これ送っちゃったらだいぶ気分も落ち着くからね。と、いうわけで、明日中には推敲を終えて送るつもり。締め切りは一応、31日の夜なんですけどね。ウェブ応募なので、早めに片を付けないと「あれ?送れない。なんでなんで?ああ、そんなこと言ってるうちに締め切りの時間が!」なんてことになったら嫌だもん。
今回の話は、私の中にある「無頼さ」を全面に押し出したお話になっています。無頼さ、それはナルシシズムとも言い換えることができるかも知れません。私、掘り下げるとあまり人を信用していない人間なのかなと自分で思う瞬間があるんです。それはどんな人にもある感情なのかも知れませんが。自分の中にものすごく色濃くあるんですね。「結局、自分のケツは自分にしか拭けんやろ」という感覚ですかね。「死ぬときは一人や」とも言えるかも知れませんね。
そんな主人公に、自分以外のものに頼るしかない状況を押し付けてみた。何となく綺麗な恋愛とか、身内への憐憫とか、ちょびっとのミステリーとかも散りばめてみましたが。
まあ、今の私にできる精一杯を作り上げます。明日中に。子よ、明日一日我慢してくれ。そしたら灼熱の公園にでも付き合う。水筒もって。母に明日一日の時間をくれ!
と、いうわけで、そんなことをしながら読んでいた山田詠美さん。「ひざまずいて足をお舐め」。1988年の作品です。……これは。予想通りの衝撃作でしたわ ……。
この後も推敲に時間を使いたいので、ちょっと簡単に。
この作品の主人公は忍さんというSM嬢。これはもうずっぷりの女王様をなさってる方です。そして、もうひとりの主人公がちかちゃんという女の子。ふたりはストリップ小屋で出会います。仲良くなり、やがて一緒にSMクラブで働き始めるふたり。ちかちゃんと忍さんにはかなりな年齢の開きがあり、ちかちゃんは出会った当初女子大生、忍さんは20代後半ぐらいの設定でしょうか。
このふたりが、飲みながらうだうだと話している内容がほとんどを占めている作品です。お互いの考え、経験、憤りなどを披露しあうというのがこのお話のスタイル。しかも会話文には「」がなく、ずっと改行なく文章が書き連ねられていきます。……あのね、読みづらい。酔っ払いの戯言を文章化してる状態だから。しかも句点が多すぎて文が切れすぎててほんとしんどい。でもこの戯言が、素晴らしく人間の本質を突いた会話なわけですよ。今の時代に置き換えても色あせない。だから本質を描いた作品って、時を超えて読者を感動させることができるんだなあ……。
忍さんとちかちゃんが働いているのはSMクラブなので、当然「女王様にいじめて頂きたい奴隷たち」がやって来るところなんですね。その人たちは、昼間は大会社で社長をしている偉い手さんだったりします。でも、一皮剥けば女王様に身も心も投げ出しちゃう奴隷になる。この「奴隷になる」っていうことにはただ身体の自由を奪われて蔑まれるってだけでなく、女王様に精神の全てもお任せすることなんですね。鎧が取っ払われちゃう。こういう場を求める人がいて、それを提供する風俗嬢がいる。そこに職業の貴賤はあるのか。SMしたがるような人間は変態だと切り捨てることは正しいのか。
なんかね、人間の根っこを掘り下げるようなお話なわけです。自分は綺麗な場所にいて、そこから他人を蔑みたい集団心理を揶揄してたりね。人を愛するということについても深く掘り下げている。まあ、これは私にはちょっと理解できなかったところなのよ。ちかちゃんも忍さんも、「男と愛し合うこと」「メイクラブすること」にすごく人生の重点を置いていて、大切なことだと思ってるんです。でもなあ、私はそこにあんまり人生の比重を置いてない。彼女たちは男とセックスすることで、その人と精神的に一体になれるとまで思ってる節がある。……うーん、恋愛体質。日常はそう言うのとは全然違う場所で過ぎていく。セックスなんかコミュニケーションの一種だよ。そう思う私は、ドライな人間なのかも知れませんが。
ちかちゃんは、話の中で小説の新人賞を受賞し、作家として今までの人生を文章に描き出していきます。これは、ほぼ山田さんの実体験です。だから忍さんのモデルになった人もいるんだろうなあ。
作中でもちかちゃん、忍さんをモデルに作品を書いて怒られてるから。ちかちゃんは大きな文学賞を受賞し、だれもが一目置く作家さんになりました。でもふたりは、10年以上の付き合いになったね、なんて言いながらやっぱり飲んでいる。とても濃密な関係で、よく似たふたりは自分たちが正しいと思う人生を語り合い、周りから見ると風変わりなその生き方を貫いていくのでしょう。
……というお話でね、とにかく内容が濃い。今の社会にも通じる、多様性を認める認めないとか、画一的な学校教育の弊害とか、差別問題とか、そういうことをすでに一刀両断している。これはすごい衝撃作だと思います。面白かった。でも、でも。
あとがきで山田さんが書いておられるのですが、「私は私の味方である人とだけ仲よくしたい。私を嫌う人とは関わり合いたくない」……そういうスタンスが如実に表れている作品なのかなと思います。要は、人を選ぶ。私は衝撃は受けたけど、みっちりこの世界に入りこむことはできないや。だってこの密度と濃度で人と関わり合いになることで人生を展開させていこうっていう、そういう感覚が私にはないから。ナルシストだから。死ぬときは一人で死にたいから。
でも、読んで良かった作品でした。というわけで、この後も多種多様にいろんな作品を読んでいきます。
まずは投稿を済ませなければ!というわけで頑張る。
おやすみなさいー!
あー書き終わった!
こんにちは、渋谷です。
今書いてるのが書き終わったよー!原稿用紙で454枚!どうなることかと思いましたが、何とかなるもんですね。
子供が夏休みに入ったのでもう全然書けんのかと思いきや、小学生は勝手に行動してくれるんですねー。宿題とかは見てやらんといかんけど。勝手に公園行くしYouTube見てるし。幼稚園児はべったりだったけど、やっぱり成長してるんですね。おかげさまで、フルスピードで書き上げることができました。
ここから推敲に入って、ラストをどうするかもう一回考え直したいと思います。結構、尻切れトンボで終わらせたんです。わざと。最終的にどうなるかは、読者に想像してもらいましょう、というアレですね。
でも全体を見直して、いるなら書き足すし。無駄なとこはバッサリ落としていきたいですしねー。7月いっぱいはこれにかかりっきりにはなりそう。でも、間に合わないってことはなくなりました。ああ、一安心。
延々聴いていたBUCK-TICKのNew Worldもそろそろ聴き収めか。私の初夏から梅雨はこの曲一色でした。あっちゃん、モデルになってくれるは歌ってくれるは散々ありがとう!
というわけで、合間に読んだ本の話。窪美澄さんの「クラウドクラスターを愛する方法」です。
この作品は窪さんの3冊目の単行本です。短編が2編収録されていて、
クラウドクラスターを愛する方法
キャッチアンドリリース
が収録作となっております。
クラウドクラスターっていうのは、積乱雲の大きな塊なんだって。そのクラウドクラスターを愛する方法って言うのは、要は「人生の苦難を愛する方法」と読み替えることができます。
主人公は売れないイラストレーターの紗登子ちゃん。アラサーです。たった今同棲中の彼氏と喧嘩したとこ。彼氏は自分の部屋だっていうのに出ていってしまいました。
生い立ちは複雑で、威圧的な父方の伯母に押さえつけられて成長しました。お母さんはそんな伯母さんと折り合いが悪く、家を出ちゃって13歳も年下の男の人と再婚しちゃう。紗登子ちゃんは売れないイラストレーターなので、生活は常にかつかつです。でも、家賃は彼氏の向井くんが払ってくれるんですよ。向井くんは一流企業勤務。でも家事を全然しない向井くんに反発を覚える紗登子ちゃんは、「このままなし崩しに結婚とか嫌だし―」「私だって今から売れっ子になってここから出ていくことだってあり得るしー」とか言って、なんだかイライラを募らせています。
うん……アレやね。男女雇用機会均等法からの男女同権からの家事バランスからの家庭内マウンティングやね。よく聞く話よね最近。「稼ぐ方が偉いのか」「夫だって家事を手伝うべきじゃないか」「ごみ捨てってのはごみを運ぶだけを指すんじゃない!ごみ箱から集めて袋を取り換えるまでやってはじめてゴミ捨てって言えるんじゃー!」とかね。
まあ、いろんな意見があるんでしょうが、私なんか最初っから夫に養ってもらってなんぼだと思っております。結婚当初は張り切って仕事してましたが、いやんなっちゃった。家にいることや家事が嫌いな性格ではないので、家庭はパラダイスです。「夫が浮気したらどーすんだこの専業主婦め」という意見も世の中にはあるようですが、夫は浮気なんかしません。想像できないことは現実には起こりません。だから夫の会社も潰れないのです。
なので、紗登子ちゃんもずーずーしく養ってもらえばよかったのにね。それじゃ自分が自分でなくなっちゃう感覚があるのでしょう。生きづらいですね。甘え下手なのかな。家族という点で恵まれず、自分の価値を信じきれない紗登子ちゃんが、自分の居場所を見つけるまでのお話です。自分勝手だと思っていたお母さんの、姉妹であるかしましい伯母さんたちに自分が着ている殻の存在を教えられます。
それに気づいた紗登子ちゃんが、この先どうなっていくのかは全く書かれていません。自分で考えてね、というアレです。テーマに共感できない人には「……?」な結末かも知れませんね。ちょっと窪さんの作品ぽくないラストかも。
「キャッチアンドリリース」は、11歳の少年少女の空虚な心の変遷を書いたお話。こちらの登場人物も両親が離婚をしています。窪さんの作品、「うまくいってない父母」がよく出てきますね。それによって心が歪んでしまった子供が描かれることが多いですが、彼らは「まだ」歪んでない子供たち。葛藤はたんまり抱えています。これからまっすぐに育ってほしいものですが、不穏な空気が充満してるのでどうでしょうねえ。少し屈折した大人になっていくんでしょうか。
窪さんの作品のどこに私が惹かれるか、と言いますと、こういうところなんですよ。「心に不穏な空気を充満させ、自分でそれを自覚してない、社会的には一生懸命頑張ってるつもりの弱者」がバーン!て大事件を起こす。その弱者ができるまでの過程を見せられたような短編でした。
良く思うのよ。時々、人生の日陰なんか見たこともありません!みたいな人に会うじゃないですか。分かりやすく言えば、松岡修造とか。小泉進次郎とか。
もちろんそういう人だって見えないところで大変な苦労をなさっているのかも知れませんが、表からは見えない。家柄が良くて両親がそろっててお金持ちで容姿が良くて本人の能力も高い。そういう人を見ると、ものすごく雲の上の人だなって思うんですね。妬んだりなんかはしません。その人はきっと前世でいいことをしたのです。そう思うことにしています。
でも、不可抗力でひねくれさせられ、その上で一生懸命生きて行こうとする人たちの方が、自分に近いんですよね。そういう登場人物って、共感できるんです。不幸自慢をする人や、あきらめて投げ出しちゃってる人とかは微妙だけれど。そこから這い出ようともがいている人が、えらいことに巻き込まれたりしたらもう目を離せない。そういう感じが窪さんの作品にはあるのかなと思います。多分、私と感覚が近いんだろな。
というわけで窪美澄さんでしたが、この作品は私の中では「面白かった!」とは大きな声では言えないかな。微妙、とも言いませんが、多分読み返すことはないです。
まあ、そんなこともありますわね。次は衝撃を求め、山田詠美さん。うう、楽しみです。
それでは、また!
えーと……今日の私は少々辛口ですよ。
こんばんは、渋谷です。
今書いてる話、ほぼ目処がつきましたー。準主役が死ぬ、というところにラストをおいていた話で、準主役が死んだ。あとは事後処理だけ。9割書き終わりました。推敲しても小説現代に間に合いそう。いやー、良かった良かった。
野生時代に出そうかとも思ってたんだけど。小説現代に出せそうだ。でも、なんとなく野生時代フロンティア文学賞大賞受賞の作品を読んでみたよ。読んでみた……うーん、なんかこれはね、違った。なんかこれは違う……。
松尾祐一さんという方の、2009年の受賞作です。1979年生まれの、私と同い年の方です。阪大の大学院卒。この作品でデビューされて、あと数冊の著作を出されてます。でも、ここ数年は活動されてないみたい。それは読み終わってから調べたことなんだけど。
主人公は磯野くんという男の子。広告代理店に勤める20代の男の子です。とは言え、社長と彼のみの小さな会社で、コミュ障の彼は食えない仕事にぶらさがって日々を消耗して過ごしています。
そんな彼の部屋に、大学時代の仲間が転がり込んできます。常に軍服に身を包んだ変人、ロンメルと、可愛い顔したすっとんきょう娘、犬さん。男二人と女一人の共同生活。って言っても、ロンメルと犬さんは磯野くんちでだらだらしてるだけなんですけどね。
磯野くんとロンメルは、大学時代に「グラウジウス原理主義者の会」なる集団を結成していました。犬さんはそこのマスコット的存在。「グラウジウス原理主義者の会」ってのは、「エネルギーは高いところから低いところに流れる」ってゆー原則を流用して、「イケメンばっかモテるのはおかしいだろーが。カップルみんな死ね」という主張を掲げて、アベックを攻撃する集団です。……ほら、もうこのあたりで私の心は離れている。なんだそりゃ。あほくさい臭いがぷんぷん漂ってくる。
仕事のない磯野くんは、公園でだらだらしてるとアフロ頭の妙な紳士に声をかけられます。「鳩のお世話しませんか」
そう言う紳士は、伝書鳩を通信に使ってそれをビジネスにしている、「鳩航空事業団」の人間だったのです……。
うー……ん。なんかね、読むのしんどかった。未完成のコント見てるみたいだった。マンガの「究極超人あーる」、あれの劣化版みたいだった。
作品の最後に、選評も載ってたんですけどね。読んでまたがっかり。他の作品にも良い芽があった。でも、この作品には「本質を捉えた脱線」が散見されたんだって。それが推した理由。これから飛躍していく気配を感じたって。なんだそりゃ。
とにかく、一言で言えば好みじゃありませんでした。アニメ化を狙って書いているのかなと私は思いました。奇抜なキャラクター、意味のない女性性の押し売り。キャラに赤いボンテージ着せてみたり。冒頭はとても魅力的だったのに、筆が滑ってキャラが変質してしまったんじゃないかなあ。犬さんの存在価値はなんだ。間違いなく「のだめ」あたりを意識してるよ。せっかくの一本通った筋を乱してしまっている。
この方が現在作家活動をされていないのも仕方ないのかな、と思いました。別のお仕事で活躍なさる頭脳を持った方のようですので、余計なお世話かも知れませんが。
こうなると、新人賞の選考委員にも好みがあるんやなって思うわ。なんやろな。しっくりこんわ。作者が高学歴やと作品も良く見えるのか?うがった目で見てしまうのも、仕方ないことなのではないかと……。
ここまで書かんでもいいかも、とは思いますが。
今、夫が見ている「二つの祖国」を横目で見てるもんで。ヤバイわ。面白すぎる。山崎豊子さん、ほんとにすごい作家さんだわ。
対比してしまって、辛くなってしまった。話の筋は面白かった。でも、余計な装飾が多すぎた。大人の鑑賞に耐える作品ではなくなってしまっていた。ラノベとしてもどうなんだろう。でもこれが受賞作。そーか。まあ、私は私なりに。
明日からも自分が面白いと思うものを文字にできるようにがんばります。しばらくは古めの名作を読むよ。夏だから「なついち」的な「新潮の100冊」的な文庫が色々出てるのでね。
読んでない名作を読んでいく。その前に次は大好きな窪美澄さん。
じゃっ、寝る!
おやすみなさいー!