えーと……今日の私は少々辛口ですよ。
こんばんは、渋谷です。
今書いてる話、ほぼ目処がつきましたー。準主役が死ぬ、というところにラストをおいていた話で、準主役が死んだ。あとは事後処理だけ。9割書き終わりました。推敲しても小説現代に間に合いそう。いやー、良かった良かった。
野生時代に出そうかとも思ってたんだけど。小説現代に出せそうだ。でも、なんとなく野生時代フロンティア文学賞大賞受賞の作品を読んでみたよ。読んでみた……うーん、なんかこれはね、違った。なんかこれは違う……。
松尾祐一さんという方の、2009年の受賞作です。1979年生まれの、私と同い年の方です。阪大の大学院卒。この作品でデビューされて、あと数冊の著作を出されてます。でも、ここ数年は活動されてないみたい。それは読み終わってから調べたことなんだけど。
主人公は磯野くんという男の子。広告代理店に勤める20代の男の子です。とは言え、社長と彼のみの小さな会社で、コミュ障の彼は食えない仕事にぶらさがって日々を消耗して過ごしています。
そんな彼の部屋に、大学時代の仲間が転がり込んできます。常に軍服に身を包んだ変人、ロンメルと、可愛い顔したすっとんきょう娘、犬さん。男二人と女一人の共同生活。って言っても、ロンメルと犬さんは磯野くんちでだらだらしてるだけなんですけどね。
磯野くんとロンメルは、大学時代に「グラウジウス原理主義者の会」なる集団を結成していました。犬さんはそこのマスコット的存在。「グラウジウス原理主義者の会」ってのは、「エネルギーは高いところから低いところに流れる」ってゆー原則を流用して、「イケメンばっかモテるのはおかしいだろーが。カップルみんな死ね」という主張を掲げて、アベックを攻撃する集団です。……ほら、もうこのあたりで私の心は離れている。なんだそりゃ。あほくさい臭いがぷんぷん漂ってくる。
仕事のない磯野くんは、公園でだらだらしてるとアフロ頭の妙な紳士に声をかけられます。「鳩のお世話しませんか」
そう言う紳士は、伝書鳩を通信に使ってそれをビジネスにしている、「鳩航空事業団」の人間だったのです……。
うー……ん。なんかね、読むのしんどかった。未完成のコント見てるみたいだった。マンガの「究極超人あーる」、あれの劣化版みたいだった。
作品の最後に、選評も載ってたんですけどね。読んでまたがっかり。他の作品にも良い芽があった。でも、この作品には「本質を捉えた脱線」が散見されたんだって。それが推した理由。これから飛躍していく気配を感じたって。なんだそりゃ。
とにかく、一言で言えば好みじゃありませんでした。アニメ化を狙って書いているのかなと私は思いました。奇抜なキャラクター、意味のない女性性の押し売り。キャラに赤いボンテージ着せてみたり。冒頭はとても魅力的だったのに、筆が滑ってキャラが変質してしまったんじゃないかなあ。犬さんの存在価値はなんだ。間違いなく「のだめ」あたりを意識してるよ。せっかくの一本通った筋を乱してしまっている。
この方が現在作家活動をされていないのも仕方ないのかな、と思いました。別のお仕事で活躍なさる頭脳を持った方のようですので、余計なお世話かも知れませんが。
こうなると、新人賞の選考委員にも好みがあるんやなって思うわ。なんやろな。しっくりこんわ。作者が高学歴やと作品も良く見えるのか?うがった目で見てしまうのも、仕方ないことなのではないかと……。
ここまで書かんでもいいかも、とは思いますが。
今、夫が見ている「二つの祖国」を横目で見てるもんで。ヤバイわ。面白すぎる。山崎豊子さん、ほんとにすごい作家さんだわ。
対比してしまって、辛くなってしまった。話の筋は面白かった。でも、余計な装飾が多すぎた。大人の鑑賞に耐える作品ではなくなってしまっていた。ラノベとしてもどうなんだろう。でもこれが受賞作。そーか。まあ、私は私なりに。
明日からも自分が面白いと思うものを文字にできるようにがんばります。しばらくは古めの名作を読むよ。夏だから「なついち」的な「新潮の100冊」的な文庫が色々出てるのでね。
読んでない名作を読んでいく。その前に次は大好きな窪美澄さん。
じゃっ、寝る!
おやすみなさいー!