読書感想文138 桜庭一樹 少女七竈と七人の可愛そうな子供 | 恥辱とカタルシス

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作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

はい、投稿しましたよ!

 

こんばんは、渋谷です。

 

 

 

昨日、無事に小説現代に長編を応募しました!原稿用紙449枚。思ったより長くなったなあ。

 

まあ、自分が書きたいことがしっかり書けたと思います。書きたいこと……と言うか、書かなきゃいけないこと、みたいな。何のために書かなきゃいけないのかは分かりませんけど。何かの衝動に要求されたことを、自分の出来る範囲内で文章化できた、って感じですかねえ。創作意欲ってきっとそういうものなのでしょう。

 

次の話ももほぼ固まりつつある……。長編になるんだけど、出来れば9月末の賞に出したいのです。間に合うかなあ。まあできるだけ頑張る。なんとテイストはホラー。民間伝承と呪われた一族とミステリー、最後の3行で一気にホラー、みたいな仕掛けが施せたらいいな。まあ、しばらくは本を読みながらプロットに没頭したいと思います。

 

今回は、「頭と最後だけ決めてー」みたいな感じではいかなそう。最初にしっかり煮詰めないと訳分からん話になりそう。なので、よくよく考える。出来なさそうならすぐに方向転換して別のアイデアを形にする。まだやってみなきゃわからん、手探りの状態です。で、読んだ本の話なのですが。

 

桜庭一樹さんの初期作品、「少女七竈と七人の可愛そうな子供」を読みましたよ。やっぱり桜庭さん、好きやわあ。私がこないだまで書いてた話と、これから書こうとしている話のちょうど真ん中の空気感。

 

私が桜庭さんを好きになるのも仕方ないことなんだわ。そう思える、琴線に触れまくるお話でした。

 

 

 

最初に言っちゃうと、まず題名からして「?」と思ったんですけど。「可哀そう」を「可愛そう」と表記するのは、日本語としては明らかに誤りです。……よね?使われている表記ではありますが、これは間違いかと。でも、読んでみて分かった。これはきっと、桜庭さんがあえて「可愛そう」と表記したんだろうなと。

 

主人公は七竈ちゃんという女子高生。ナナカマドちゃん、と読みます。植物、というか、木の名前なんですね。ナナカマド。白い花が咲いて赤い実がつくんですって。その実は硬くて鳥なんかも食べられないんだって。

 

桜庭さんお得意の、妙な名前の主人公です。彼女の幼馴染の同い年の男の子が、雪風くんと言います。ユキカゼくん。妙な名前ねー。子供の同級生にもちょっとびっくりするような名前の子、いますけどね。まあ個性か。多様性か。ちなみにうちの子はいわゆる「シワシワネーム」。……強く生きろよ。昭和な名前なのでね。まあ、もう10年もすれば時代は巡って最先端だ。

 

そんな七竈ちゃんのお母さん、優奈さんの独白から物語は始まります。圧の強いお母さんが亡くなって、小学校教員だった真面目な優奈さんはタガが外れてしまいます。学校の校庭に美しく咲く七竈の木は、燃やしても燃えないんだそうです。七回燃やして初めて灰になるんですって。だから(何がだからかは分かりませんが)、「よーし、私も七人の男と寝るぞー!」と決めた優奈さん。

 

ここではまったく意味が分からないんですが。旭川という狭い町で、とにかくやりまくる優奈さん。……ビビりましたよ。私がこないだ書いた話の、主人公の出身地は室蘭。そして「男とやるぞー!」と決心するところから話が始まる。

 

やっぱ、根本が近いんよなあ……。北海道って、独特の土地なんですよね。もちろん日本の一部なんですが、少し夢の場所みたいな空気感がある気がする。雪に閉ざされる冬が長いってとこもあるんですかねえ。物語の舞台としてすごくぴったりな感じがするんです。で、こってこての方言がないって言うのも大きい。標準語に近い……と聞いてるんですが。どうなんですか北海道の皆さん。開拓で入った方が多いので、方言が存在しない、みたいな。

 

優奈さんは7人の男と関係をもって、誰の子だかわからない子供を産みます。それが七竈ちゃん。七竈ちゃんは大変美しい娘に育ちます。優奈さんは平凡なお顔立ちです。そして幼馴染の雪風に、どんどん似てくる。

 

ぶっちゃけると、七竈ちゃんと雪風ちゃんのお父さんは同じ人なんですね。ふたりは異母兄弟。けれど、孤独なふたりはひかれあい恋に落ちます。結ばれない恋に翻弄されるふたり。……なんていうと簡単な恋物語になってしまうのですが、そのふたりの周りには「可愛そうな」大人が7人もいます。

 

色んな角度からふたりを取り巻く大人が描写され、ただの恋物語でない、重厚で絵巻物にも近い物語が紡がれていくのです……。

 

 

 

うーん、いい!

 

私、次の話を、一族の色んな人間の一人称で作り上げてみたいと思ってます。一つの事象に向け、一族の構成員たちが自分の立場でそれを見、感情を吐き、動く。あの人、この人と独白が進んで、真実に近づいていく。……みたいに出来たらほんといいんですけどねえ。なんせ複雑そう。でも書きたい。そんなのを仕上げてみたい。

 

加藤元さんの「山姫抄」があまりにも面白くて。その時、民間伝承を書いてみたいって思ったんですよね。それと、明治辺りからの一族の姿を書きたい。だから、こないだ実家に帰った時に、父にうちの家系のことを聞き込みしました。やっぱ面白い。うちのじいちゃんは8番目の子だし、そのお父さん(私のひいじいちゃん)は7番目の子だし。

 

そこにまつわる色んな構成員の話が聞けたよー。これを小説にしたい、と思った。何のことはない、田舎の山間部の一族なのですが、かなりの人間ドラマが秘められていました。母方も変わったメンツが揃っているので、これも絡めて。もう、わくわくしちゃってしょうがありません。

 

あとは、これを書ききる能力が私にあるかだが……。やってみなきゃ何事も判断できません。「できない」というのは簡単。どんな作家さんだって最初は素人でした。私には無理、なんて証拠はどこにもない。書きたいと思ったということは書けるということだ。伝承と一族の歴史と現代のミステリーを絡めたホラーを私は書くのです。まだ全然骨子は出来上がっていませんが、そう決めたのです。

 

と、いうわけで、とにかく明日は子と美術館だ。あっついなー。でも、美的センスみたいなんは、意識的に育てないと自然発生はしない気がするんです。親としての責任とでも言いましょうか。見せてあげたい。まあ、私も見たのです。

 

次はホラーを読んでみようかと思っています。もしくはミステリー。夫の本棚はミステリーばっかりなので、あそこから拝借しようかな。楽しみ楽しみ。

 

というわけで寝る。

 

おやすみなさいー!