● 世界一幸せな男マチウ・リカールに学ぶ「真の幸福」とは?瞑想と脳科学から読み解く生き方
プロ歴14年、最新の認知科学に基づく気功とコーチング、
そして10年後も使えるビジネス実務とアカデミアを超具体的なステップでマスターする
「なかだ塾」主宰の中田です。
年間100~200冊以上の本を10年以上読む生活をしています。
さて、「幸福の追求 人生で最も大切な技術」チベット仏教・ニンマ派僧&分子生物学博士ダライ・ラマ14世通訳者マチウ・リカールを読みました。
【参考書籍】
世界一幸せな男、マチウ・リカールとは?
いつも穏やかでにこやか、「世界一幸せな人」と呼ばれている人物です。
なぜ世界一幸せな人と呼ばれているのでしょうか?
過去記事や講座でも何度か解説してきましたが、ウィスコンシン大学の神経科学者リチャード・デヴィッドソン教授らの研究チームは、マチウ・リカール氏を含む熟練した瞑想実践者の脳活動を調査しました。
この研究では、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)やEEG(脳波計測)を用いて、瞑想中の脳の反応を測定しました。
特に、慈悲の瞑想(コンパッション・メディテーション)を行っている際に、以下のような顕著な脳活動が観察されたのです。
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ガンマ波の増加:ガンマ波は、意識、注意、学習、記憶などと関連する高周波の脳波です。リカール氏の脳では、通常の人々よりも高いレベルのガンマ波が測定されました。
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左前頭前野の活性化:ポジティブな感情や幸福感に関連する左前頭前野の活動が、右側よりも顕著に高まっていました。
灰白質の増加も観られました。瞑想によって、物理的にも、前頭前野が大きくなるわけです。
これらの結果から、リカール氏は「世界一幸せな人」と称されるようになりました。
おそらく、ドラッグでも不可能ですし、瞑想修行なしでは、世界一幸福な脳を持つことはできません。
なかだラボラトリーでは、「1万時間以上瞑想をして世界一幸福な人を目指してみないか?」と言ってきました^^
10年に1度の出会いを掴んだ マチウ・リカール
そんなマチウ・リカール氏ですが、最近、「「10年に一度の出会い」を掴む力—人生を変えるタイミングを逃さないために」という記事を書きましたが、まさに、マチウ・リカールもまたそんな出会いを掴んだ人物でした。
・2025-04-01 11:00:00 「10年に一度の出会い」を掴む力—人生を変えるタイミングを逃さないために
フランス哲学者の父や芸術家の母を持ちフランス知識層の恵まれた家庭に育った中で、TVを観ていたら真の知性を放っていたチベット仏教徒に衝撃的な出会いをし、学生でチベットに修行にいき僧侶になった人物です。
彼は恵まれていたので、子供の頃から作曲家のストラヴィンスキーと昼食を取ったり、舞台装置を母に依頼したモーリス・ベジャールなどの現代アートの著名な芸術家などが普通に周りにいたそうです。
・モーリス・ベジャールwikiより
しかし、「何か本質的なものが欠けている」という漠然とした感覚はぬぐえなかったそうです。
著名なフランス知識層の人たちは、芸術、科学、知性の面ではとびぬけていたものの、利他の心、世の中に向けて大きく開く心の態度、強靭な意志、生きる喜び、などの人間力の尺度で測った場合、普通の人間である我々と何ら差がないと感じたそうです。
そんな中で、外見はさまざまなだったが、TVで観たチベット仏教徒からは、内からにじみ出る清々しさ、思いやりに満ちた溢れた表情、歩飛ばし出る叡智などの点で「これだ!」と思ったそうです。
人生に希望と方向性を示し、重大な意義を明らかにしている存在(カンギゥル・リンポチェ師)とついに巡り合ったことを1967年6月に実感したそうです。
何度か、書いていますが、こういった「(大きな)出会い」を掴むことです。大きな出会いを掴むためには、日々小さな出会いを逃さない訓練をしていないといけません。
カンギュゥル・リンポチェ師匠に博士号だけは取るといいと言われて、大学院を中退ではなく、博士号を取ったそう。
学歴や学歴コンプレックスの乗り越え方とは?
学歴や学歴コンプレックスといえば、、、
・学歴や学歴コンプレックスの乗り越え方とは?
・音大出身アーティストハンデです。恥ずかしいから、首席も消しました。
格ゲー業界を支えてきたウメハラさんは色々と深くて面白いです。
ミートさんはミートさんで、自分達のプロが本当に良いと思った音楽は絶対に売れないから、いかに大衆向けにアレンジするか的な話が分かるわーって思います。
特に日本人は、盲目の作曲家(佐村河内守)の作ったとされる楽曲で感動していて、作曲者が別人だったと判明しストーリーがなくなった瞬間に、「感動を返せ!」という人が溢れてきました。
つまり、音楽的に良い悪いの判断ができていれば、そういうことにはならないわけで、音楽的に良い悪いがまったくできない人たちばかりだった、というわけです。
例えば、あなたは、RYOJI SHINOMOTO - Living Dead Beat に何を感じるでしょうか。
・RYOJI SHINOMOTO - Living Dead Beat (Official Playthrough Video) | Napalm Records
話を戻して、当時では、西洋科学を収めて、東洋仏教に行った人は少なかったために、科学と仏教の架け橋となった人物です。
幸福とは何か?定義のアップデート
ある社会学者の幸福の定義は「自分の現世における人生全体をどれだけポジティブに評価するか、その評価が高いときが幸福の状態。言い換えると、幸福であるとは、自分の生き方を好感している状態」でした。
ところがこの定義では、人生に対して深く満足している状態と、単なる外的条件を評価している状態との区別ができません。
周りの状況に左右され、自己コントロールできない幸福は本当の幸福なのでしょうか。よくありがちな快楽と幸福を混同していないでしょうか。
次に、哲学者のロバートミズラヒによれば「幸福とは、自己存在のすべて、またはその人の活動的な過去、現在、そして予測可能な未来に対する、わくわくするような喜びが一挙に現れる状態」となります。
この方が長続きはするでしょう。しかし、喜びだけが幸福なのでしょうか。反論として、世界一過酷な収容所と呼ばれたアウシュビッツの中でも、ずっと幸福だったという人物はいたわけで。
他にも歴史上の人物は幸福について様々な定義で論じています。
聖アウグスティヌスによれば「真理の中で感じる喜び」であり、カントの幸福は「個人的な汚点のない美徳に適った合理的なもの」カール・マルクスは「仕事を通じて成長すること」アリストテレスは、「幸福についての一般人の考えは、哲学者の考え方と異なる」と言いました。
・アテナイの学堂wikiより 右がアリストテレス
最近僕が参加しているとある「生き方マスタークラス」では、「幸福とは、自己の確立である」と定義されている場所もあります。つまり、本質から自分らしさを育てていくことが幸福であるということでした。いきなり、自分らしさを見つけようと自分探しにインドに行っても、自分らしさはありません。なぜならば、自分らしさは育てるものだからです。自分らしさは育てるものってのはポイントですね。ないものを探そうとしてもないものはないので、自分らしさは育てるしかないわけです。
子供の純真な笑顔に出会った時、自然の美しさを感じたとき、奇跡的な幸運、強烈な快感などはとても心地よい瞬間ではあるのもの、幸福はそれだけなのでしょうか。
本書で語ろうとしている幸福とは、際立って強靭で健全な心から生まれる、生気の漲った感覚に満たされた境地のことを指している。単なる心地良さとか、はかなく消える感情や気分とは異なるもので、究極的な自然の姿である。幸福とは、同時に世界をどうとらえるか、という世界観でもある。p24 「幸福の追求 人生で最も大切な技術」チベット仏教・ニンマ派僧&分子生物学博士ダライ・ラマ14世通訳者マチウ・リカール
彼は、「幸福を瞬間的な快楽ではなく、心の安定した在り方や慈悲と気づきに満ちた意識状態」と定義しました。
では、どうやったら、彼の定義する真の幸福に至れるでしょうか。
彼のチベット仏教徒に憧れた内からにじみ出る清々しさ、思いやりに満ちた溢れた表情、内からにじみ出る叡智などの在り方であり、「心の安定した在り方や慈悲と気づきに満ちた意識状態」になれるのでしょうか。
書籍では、マインドフルネスやチベット仏教系の書籍に出てくるオーソドックスな瞑想法が書かれていました。
マチウ・リカールが重視する3つの瞑想実践について書いておきましょう。
1. 慈悲(コンパッション)と慈愛(メッタ)の瞑想
「なかだ塾」などでも何度も出てくる慈悲の瞑想(セルフコンパッション、トンレン)です。
ダライ・ラマ14世が毎日している瞑想法でも有名ですね。
内容:
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他者の幸せや苦しみを思い、心から「幸せでありますように」「苦しみが和らぎますように」と願う瞑想。
方法:
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まず自分に向けて「私が幸せでありますように…」と繰り返す。
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次に大切な人 → 中立の人 → 苦手な人 → すべての存在へと広げていく。
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呼吸とともに、優しさ・温かさ・共感を感じる。
効果:
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自他を分け隔てしない心が育ち、怒り・嫉妬・恐れといった感情が和らぎます。
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長期的に見ると、自己中心性の減少 → 持続的な幸福感の増加につながる。
2. マインドフルネス(気づき)の瞑想
なかだ塾ワークスや週報会の始まる前に10分間ワークすることがある集中瞑想法(サマター瞑想)です。
脳のデフォルトモードネットワークによる反応(反射的な行動)に介入することができるようになります。
自動的な反射行動が望まないものであった場合は、書き換えるためにもおススメな瞑想です。
内容:
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今この瞬間に心を定め、思考や感情に巻き込まれずに観察する瞑想。
方法:
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姿勢を整え、呼吸や身体感覚に注意を向ける。
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思考が浮かんでも、評価せず「ただ観る」。
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執着も拒絶もせず、すべてを開かれた意識で受け入れる。
効果:
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心の騒がしさから解放され、平静さが生まれる。
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幸福の妨げとなる「無自覚な反応」に気づけるようになる。
次にやるべきことや今日の晩御飯など集中対象以外の雑念が浮かんできても、意識を戻す訓練をしていくことで、徐々に集中力が付いてきます。
集中力とは、意識や話題が逸れたときに戻す能力でもありますので。
3. 認識の訓練:思考と自己の分離
いわゆるヴィッパサナー瞑想(観る、観察瞑想)です。
内容:
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リカールは、自己同一化(「私はこの感情そのものだ」)が苦しみの原因になると述べています。
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瞑想を通して、「思考・感情はただの現象である」と気づく訓練を行います。
方法:
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心に浮かぶ思考を「雲が流れるように」ただ眺める。
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思考に巻き込まれることなく、「観察者」としてそこにとどまる。
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次第に「心の本質」としての静けさ・明晰さに触れていく。
効果:
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自我のとらわれが薄まり、「純粋な意識状態」に触れることで深い幸福感が育つ。
実践のコツ
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毎日少しずつでOK(最初は5〜10分から)
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「何かを得よう」としすぎないこと(期待は逆効果)
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実践を通して日常でも「気づき」や「優しさ」を持ち込むことが大切
幸福は「育てるもの」
幸福とは何かを「探しに行く」のではなく、「日々育てる」ものだという視点は非常に重要です。
「自分らしさ」や「心の安定」も、今ここでの選択と実践の積み重ねで育っていくのです。
僕自身も、日々10~20分、あるいは大周天瞑想を30分行いながら、この「育てる幸福」を継続しています。
認知科学者の苫米地英人博士も、「瞑想しないと束縛に気づき、自由になれない」と言っています^^
一緒に世界一幸福な人を目指してみませんか?
10年、20年かけて、1万時間以上の瞑想を通して、「内からにじみ出る清々しさ」「思いやりに満ちた表情」「叡智に満ちた在り方」を育てていきましょう。
あなたにとっての「本質的な幸福」とは何ですか?
その問いに、瞑想と実践で答えていく旅を、ここから一緒に始めていきましょう。
そんな遠隔企画を明日開催予定です!
お楽しみに^^
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