ペアーガンに見る英国と日本 | todou455のブログ 火縄銃ときどき山登り

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公式ハッシュタグ 令和三年5月10日 骨董品ランキング2位

英国貴族は,鳥撃ちを鳥との勝負とみなしているところがある。水平二連銃で獲物に2発 ポン,ポンと発射して命中しなければ、鳥の勝ちである。勝負がついた後は,それ以上,追い矢をかけることはしない。それがルールだからである。

 

 ペア―ガンによる交換射撃

写真引用栄光の12日 - シニアバーテンダーのBlog (livedoor.jp)

 

 鳥との勝負がつけば,すぐに弾薬装填済みの鉄砲と交換し,違う鳥に勝負を挑むのだ。二発しか連発の利かない二連銃の欠点を補う交換射撃という工夫である。この時用いられるのが,ペア―ガンと呼ばれる,全く同じ姿形の二丁の鉄砲である。射撃の的中率は,鉄砲の形や持ち按配にも大きな影響を受ける。ペア―ガンを用いるのは,その影響を最小限にするためでもあったが,同じ条件,同じルールで鳥と勝負をする騎士道精神の現れでもあったかもしれない。

 

英 国 貴 族 の 交 換 射 撃

 

 日本の火縄銃にも,ペア―ガンは存在した。日本では,ペア―ガンを二挺對と呼んでいた。私が知る限りで,もっとも古い二挺對は,仙台藩二代藩主の伊達忠宗公が所蔵した「寒山」と「十得」とそれぞれ名付けられ火縄銃である。この二挺は,口径13.5ミリ,銃身長三尺三寸の3匁5分筒で,近州国友の富岡勘左エ門らによって製銃された。

 

二挺對の仙台鉄砲

「寒山」と「十得」ではありません。m(__)m

 

 江戸初期に生きた伊達忠宗公が,英国人と同じ思想のもとに狩猟をしたかどうかは,記録に残っていないから分からない。ただ,「寒山」「十得」の二挺とも標的を外した時は,追い矢をかけるような未練がましいことはしなかっただろう。それが,日本の武士道だからである。