中国のバフェットとも言われる復星集団。
この企業の2015年度のアニュアルレポートが5月に出ていたので(今更ながら)まとめてみました。
単位は基本的に100万元です。

まずは売上と純利益から。
売上もこの3年は強く伸びています。


Happinessが加わったことも大きそうですが、Insurance、Healthが強く伸びています。
Happinessは、ハリウッドの映画プロデューサーのStudio 8とフランスのリゾート運営のClub Medを買収したことで生まれました。
Insuranceは、アメリカの損害保険会社のMeadowbrookを4億3300万ドルで買収したことやIronshorenに4億6660万ドルで20%出資したことが大きいようです。
一方で、Steelが減っていますがこれは、Nanjing Nangangの販売する鉄鋼価格が下がったのが原因。ですが、実は資産も減っているのが、5枚目のグラフでもご覧いただけるかと思います。


InsuranceとHealthが収益源。
Insuranceは基本買収で成長中。


ここ2年の総資産の伸びが異常ですが、これは買収を盛んに行なっているため。
特に保険会社の買収となると太りやすくなりやすそう。


現金と負債の前年度と比較した増加率についてですが、平均で負債が20.84%、現金が38.08%増えています。


最後に、事業別の資産額について。
Steelが結構減っていますね
売上にはあまり出てこなかったInternet Financeについてですが、これはアリババなどと共同創業したMybankなどが含まれており、これからといった感じでしょうか。


買収によって成長してきた復星集団。
久しぶりに、こんなに売上と資産が伸びている企業を見た気がします。
また、Bloombergによると、日本でも現在の2.5倍に当たる5000億円を投資するそう。
一方で創業者が一時行方不明になったこともあり、時価総額は低く、PERも8倍。
自分としては買いな気もします‥
今後とも復星集団からは目が離せないですね。
世界で最も金が集まっているとも言っても過言ではないと思われるタクシー配送アプリ業界。
今回は、これまでの資金調達推移を年度ごとにおってみたいと思います。
データもとは、Crunchbaseです。
単位は全て100万ドルです。



積み上げたのが以下です。


Uberが調達しすぎでちょっとわかりにくいので、除いたのが以下です。


そして以下は、これらに投資している投資家の属性です。
シードからやるととんでもない量になってしまうので、1億ドル以上のラウンドに参加した投資家の属性をまとめてみました。


CVCとは、マイクロソフト、テンセント、ソフトバンク、アリババが、本体とは別で出しているものです。(+GV)
こう見ると、1億ドル以上におけるVCの比率は50%以下になってしまうけど、逆に言えば、VC以外を巻き込めれば、1億ドル以上の資金調達も可能ということなのかもしれません。
ただ、ベンチャー投資へのVC以外の参入が増えていることは、IPOを遅らせてるという指摘もあります。

にしてもSWFすごい笑
ソフトバンクが、ポートフォリオの売却を始めています。

1、100億ドル分のアリババ株売却
2、730億円分のガンホー・オンライン・エンターテイメント株売却
3、Supercellを売却に向けて目指す

ガンホー・オンライン・エンターテイメントについては、2015年6月にも上限829億円としてソフトバンクからTOBで買い付けていて、2回目になります(ガンホーの現金一年で半分近くに減少)

様々なコメントを見ていると、今回の資金調達はポジティブだというのが多い気がします。
なぜかというと、純債務・EBITDA倍率が、13年3月期には1.97だったが、スプリント買収後の14年3月期には3.63に悪化。16年3月期には3.9となっているから。
国内競合のNTTドコモの直近の同指標はマイナス0.1、KDDIは0.62、米国のベライゾン・コミュニケーションズは2.12、AT&Tは2.4になっています。
確かに、ソフトバンクは、2013年にスプリントを買収して以来、負債が爆発しているのがわかるとおもいます。
単位は全て100万円です。



上から
社債、長期借入金、1年内償還予定の優先出資証券、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、短期借入金

社債が多いのは、スプリントがアメリカの会社で、直接金融が主流だから。

さらに、1年以内に返済しなければいけない負債が2兆円にまで膨れ上がっています。



上から、1年内償還予定の優先出資証券、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、短期借入金

一方EBITDAは上昇傾向


これで、EBITDAは伸びてるけど1年以内に返済しなければいけなものが多いので売却することで財務体質を強化するのでポジティブなんていうものがほとんど。
このBloombergがそう。
(ソフトバンク孫社長、財務改善に本腰-アリババ株売却で1兆円超)
挙句の果てには買収のための資金調達なのではと震えてるまで。

でも僕は正直ソフトバンクの今回のアリババ株売却は結構ネガティブだと思っています。
なぜなら、アリババはここ数年、莫大な額をスタートアップにつぎ込んでいます。
2014年 20件
2015年 18件(ソフトバンクロボティクス含む)
2016年 2件(LAZADA含む)
これらはあくまでも公開されているベース。
要するに、ソフトバンクは、アリババという第二のソフトバンクを保有しているとも取れるわけです。
ならもっとアリババ株を保有し子会社すべきでは?と僕は思ってしまいます。
外資規制とかありそうだけど。

これだけでネガティブ?っていうのはどうなのかと思われそうですが、自分は思いますw
んまぁスタートアップは不確実性は大きいけど、アリババの再来は不可能ではない気がします。
先日発表されたInternet Trend 2016でも、世界の成長はアメリカや日本より中国などの新興国が牽引しているなんてありましたが、そうは言っても世界をリードしてるのはアメリカだろと。笑
いや、成長を牽引しているのが中国やインドなのは否定できませんが。
じゃあ成長してるって言ってるのなら、中国企業は今、どのくらい規模なのかって言うのが気になったので、調べてみました。

全て単位は1億ドルです。

ポータルサイト・検索(今の時代ポータルなんて言わないか…)




EC




予約




ミニブログ



人材




セキュリティ



先日、ツイッターでどのくらいの消費者が課金しているのかをツイートしたところ、
少しバズったので、他にも色々混ぜて調べてみました。
少し古いデータが入ってたりしますので、これより少ないよ!や多いよ!というのがあってもお許しいただけると幸いです。
本当は、もっとメディア工房とか調べたかったのですが、決算資料にユーザー数が書いてなくて…
んまぁ売上を課金料金で割ればいいんですが。





単位は万人です!
Snapchatが見事、プレの評価額175億ドル、ポストでの評価額で193億ドルで18億ドル調達。

業績は、2015年の売上高は5900万ドル。2016年の売上予想は2億5000万ドルから3億5000万ドルの間、2017年の売上予想は5億ドルから10億ドルらしい。
DAUが、1億1000万人で、去年から50%弱伸びたらそうで、鬼の成長率です。
確かに、自分もSnapChat始めたし、周りも毎日動画やら写真をあげているので、このDAUはすごいなぁと。
比較にならないけど、LINEの世界のMAUが2億1500万人、国内のDAUが4800万人と比べても桁違いですね。
あと、今年の5月に一日の動画再生回数は100億回を超えたと報道され、Facebookが去年80億回を超えたのと比べても同等かそれ以上になりつつあります。

では、Snapchatはどこから資金調達したのか。
General Atlantic、Sequoia Capital、T. Rowe Price、Lone Pine、Glade Brook Capital、IVP、Coatue Management、Fidelityなどですが、半分くらいがもはやVCではなく、資産運用会社。
でも、FidelityってSnapchatの評価額、二回ぐらい下げていて、2015年11月に25%、更に12月に2%下げたのにもかかわらず、出資しております。

また、この中でも特に気になったのが、Coatue Managementです。
調べてみると、Tiger Cubsのヘッジファンドでした。

Coatue Managementは、 1999年にPhilippe Laffontによって設立されたヘッジファンドで、2001年から2016年までに443%のリターンを叩き出しています。

Philippe Laffontは、MITを1991年に卒業し、1992年から1994年までマッキンゼー、1996年から1999年までTiger Managementに所属していましたが、1999年にCoatue Managementを設立しました。
現在47歳なので、30歳前後でヘッジファンドを始めたことになります。

メインポートフォリオは上場しているテクノロジー企業です。


そして、売却したのが以下。


Appleには2003年から投資していましたが、今年の3月末で全て売却しています。
要するに、成長型バリュー株投資家。

ベンチャー投資は、2013年にCoatue Long Only Partnersを4550万ドルで、2015年にハイブリッドファンドで5億4300万ドルを設立して行っています。
設立時から、CoatueのNo2をメロンパークのAndreessen Horowitzの隣にオフィスを構えるという力の入れようで、これまでに以下のようなところに投資しています。



詳しくは、以下の記事を読んでいただけると幸いです。
これまでになくとても面白いヘッジファンドに出会えた気がします。
(Top hedge fund Coatue launches $300M Valley-based growth fund)
先日知ったのですが、楽天とカカクコムって同年に設立されたそう。
他にも、HTCやエキサイト、クックパッド、サイボウズ、ディップ、ドワンゴ、ネクスト、ネットフリックス、網易、マーベラスなど多数のネット企業が設立されているそう。
ITバブルとはいえ、すごいですね。
ネット以外でも、BwinやウィルプラスHD、ベイシアなども97年創業だそう。


そういえば、カカクコムの業績が好調だとか。

(絶好調カカクコム、10年ぶり新社長の課題)

この記事によると、食べログが爆速で伸びているそう。



また食べログはすごいことに、店から課金してもらうだけでなく、一般消費者からも課金してもらっているそう。

リボンモデルの両方から課金してもらうビジネスってなかなかないんじゃないでしょうか。
課金のさせ方が、クックパッドと似てる気もしなくはないですが。




そして業績

単位は100万円です。
2013年に売上高を総額表示から純額表示に変更したそう。

実に綺麗なグラフですね!
2001年には1億2300万円しかなかった売上も15年たった2016年には412億7500万円まで伸びています。
実に400倍。

楽天と比べると、確かに見劣りしてしまうけど、この利益率と着実な成長はなかなかないのではないでしょうか。

また、カカクコムの筆頭株主は、20%を保有するデジタルガレージですが、含み益がすごそう。
デジタルガレージがカカクコムの株式の45%を2002年に取得したのですが、その時の取得額が8億円。その後、持分をCCC(後に電通に売却)などに売却しましたが、とんでもない含み益を抱えてることになりますね。
また、クックパッドの前社長の穐田さんの運営するアイシーピーも既に大株主ではないですが、上場前に様々な人に譲渡しているとはいえ、上場時に33.6%を保有しており、とんでもないリターンを出していそう。
自分としては、穐田さん好きだったなぁ…

以上、「楽天が創業された1997年と同じ年に創業されたカカクコムの業績」でした。
様々なヘッジファンドを巻き込んだValeantの筆頭株主だったBill Ackman率いるPershing Square Capital。
2014年には150億ドルものファンドを運営していたものの、現在のポートフォリオの合計は90億ドル程度にまで減少してしまっています。
では、ポートフォリオの概要について。



彼がすごいと思うのは、90億ドルになったとはいえ、9社にしか投資していないこと。
今、様々なHFのポートフォリオを見ていますが、ここまで少ないのはいない気がします。
その分、分かりやすいといえばわかりやすいのですが。
また、Valeantを買い増していること。

一方で、Air Products & Chemicalは減少しています。

他のHFがネット関係を入れている中、動物薬や鉄道、化学など地味なものが多いイメージ。

去年はメインポートフォリオだったValeantが空売りにかけられるなど散々な一年だったわけですが、今年どうなるか。
楽しみです。
Melvin Capitalは、2014年12月に設立されたヘッジファンドなのですが、初年度から47%とという脅威のリターンを出したファンドです。
ファンドマネージャーはGabriel Plotkinなのですが、彼は元々はSteven Cohen率いるSAC Capitalのポートフォリオマネージャーでした。
しかし、SAC Capitalが2013年に証券詐欺と電信詐欺で有罪になりファミリーオフィスに転換してしまい、Plotkinは2014年12月にMelvin Capitalを設立しました。
設立時は、7億ドルでスタートしたものの、これにはSteve Cohenも資金を入れているそうです。
戦略は、ロングショートです。

SAC Capitalをやめてヘッジファンドを設立した人は他にも10数人いるらしく、なんとなくTiger Managementが2000年にファンドを閉じて生まれたTiger Seedsと似てるような気もします。
(SAC飛び出した運用担当者、ヘッジファンドを相次いで設立)

さて、そんなMelvin Capitalですが、リターンの源泉であるポートフォリオは、以下です。



ネットが多く、分かりやすいポートフォリオと言えるかなと思います。

そして最後に、売却銘柄


やっぱりヘッジファンドをやるには、ヘッジファンドに一回いた方がいいのかもしれません。
続きまして、カールアイカーンのポートフォリオについてです。



新しく増えた企業はありません。
ただ大きく変わったのが、Apple株の売却です。
ポートフォリオを遡ると、2013年あたりから買っていたようですがついにExitです。
2013年というと、ちょうど株価も停滞していた時で、少なくとも1.5倍から2倍くらいにはなってるのではないでしょうか。
ただ、売却総額は、43億ドルとバフェットの保有残高の4倍にあたります。

その他、Gannett、Hologic、MENTOR GRAPHICS、Tegnaも売却しているそう。
また、ポートフォリオ時価総額も、以前に比べて結構減っているよう。

ただカールアイカーンの価値って、ロングというよりアクティビストなので、これからに期待ですね。
ちなみに、分割提案しているAIGは、5%増やしています。