Et maintenant (1961)
composer Gilbert Becaud and lyricist Pierre Delanoe.
Artist:Gilbert Becaud
曲名: 今、この時
(美艇香津 訳)
Et maintenant que vais-je faire
今、この時、どうする
De tout ce temps que sera ma vie
この時間、人生を
De tous ces gens qui m'indifferent
この人たち、関係はない
Maintenant que tu es partie
あなたは、今、いない
Toutes ces nuits, pourquoi pour qui
夜、何のため
Et ce matin qui revient pour rien
朝は、むなしい
Ce coeur qui bat, pour qui, pourquoi
この胸、だれのため、なぜ
Qui bat trop fort, trop fort
強く、強く、打つ
Et maintenant que vais-je faire
今、この時、どうする
Vers quel neant glissera ma vie
何もなく流れる人生
Tu m'as laisse la terre entiere
この世界に残されて
Mais la terre sans toi c'est petit
あなたのいない世界は狭い
Vous, mes amis, soyez gentils
みんな、いいやつ、知ってるのは
Vous savez bien que l'on n'y peut rien
何もできないってこと
Meme Paris creve d'ennui
パリだって、退屈で
Toutes ses rues me tuent
どの街角も、死にそうになる
Et maintenant que vais-je faire
今、この時、どうする
Je vais en rire pour ne plus pleurer
泣かないために、笑う
Je vais bruler des nuits entieres
夜は全部焼いて
Au matin je te hairai
朝には、あなたを嫌う
Et puis un soir dans mon miroir
そして、日暮れに、鏡の中
Je verrai bien la fin du chemin
終わりが見える
Pas une fleur et pas de pleurs
花もなく、涙もなく
Au moment de l'adieu
さよならのとき
Je n'ai vraiment plus rien a faire
もう、することは、何もない
Je n'ai vraiment plus rien
もう、何もない
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ベコーはもちろんいいけど、アズナブールの方が好きかもしれない。ただ、このベコーの歌は歌っていないようです。その代り、といっていいかどうか、「Et pourtant」(訳すと、「そして、まだ」)がありました。ベコーが「今は」なら、こっちは「まだ」、だという、そんな遊びもあったかも知れません。
それで、この歌、「今、この時」は、何の救いも希望もない歌ですが、ボレロの響きが、とても元気よく聞こえます。日本で言えば、「俺は河原の枯れすすき」みたいなテーマの歌が、こんな風になるのが面白いですね。悲しくて、パリの街を歩いている人が、辿り着くのは、自分のねぐら、深い眠りになりそうです。明日、目を醒ますかどうかはどうでもいいのです。よく眠れそうです。
改めて、仏語の歌を聴いていると、やはり、英訳ではつまらないですね。訳し過ぎちゃうというか、この歌を歌っているときに何を感じているかが、英語になって、変わってしまっているようです。たぶん、日本語だと、演歌になりますね。何のために、後ろで、ラベルのボレロが一緒に流れているのか分かりませんね。...などと言っておきましょう。
曲名を「今、この時」にしました。そうすると、「ときは今、あめがしたしる五月きかな」の明智光秀のことを思い浮かべました。敗けて、何の救いも希望もない光秀が歌いそうだなと思いました。
ジュリエットグレコのこの歌を探しました。ありませんでした。ダリダがありました。歌うこの歌はフランス語ではないようですが...。
シャンソンを訳すのは、終わりにして、ジャズ歌に戻ろうと思います。
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