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~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【CDについて】

①作曲:ベートーヴェン

 曲名:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 op37 (35:00)

②作曲:モーツァルト

 曲名:ピアノと管弦楽のためのロンドニ長調 K382 (9:26)

    ピアノと管弦楽のためのロンドイ長調 K386 (7:26)
演奏:アニー・フィッシャー(p)、フリッチャイ指揮、バイエルン国立管弦楽団

録音:1957年12月3日①、1959年6月26-28日② ミュンヘン ヘルクレスザール

CD:PROC-1155(レーベル:DG、販売:タワーレコード)

 

【曲に関して】

バートーヴェンのピアノ協奏曲第3番は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲では、唯一の短調の曲になります。ピアノ協奏曲第1番(2番より後で作曲された)の完成の翌年から構想されていたとのことですが、すぐには完成せず、7年ほど後の1803年に初演されました。この時はピアノのパート譜ができておらず、ベートーヴェン自身がピアノを演奏し、即興で乗り切ったということです。

 

【演奏についての感想】

アニー・フィッシャーの演奏を聴くのは初めてです。オーケストラは、出来についてはまず間違いないフリッチャイですので、安定した演奏を期待して聴き始めます。曲は、フリッチャイのしっかりした彫りの深い演奏で始まります。そこに乗ってくるアニー・フィッシャーも力強い音で答えていきます。全体的に固い感じがしますが、これはフリッチャイの指揮によるものか、あるいは、オーケストラの音色によるのかもしれません。剛と剛がぶつかる演奏だという第一印象でした。ベートーヴェンらしいとも言えるかもしれないと思いました。

 

第二楽章に入ると、一転ピアノ主導で穏やかな音楽が流れていきます。じっくりと演奏され、表情豊かなピアノ演奏を聴くことができます。それでも少し堅固な雰囲気は残っているかも、と感じました。第三楽章に入ると、曲は流れるような雰囲気になり、明るく和やかな感じになりました。演奏の基調は一貫していると思いますので、ベートーヴェンらしい堅固な音楽の上に、ヴィルトゥオーソの至芸が展開していくという感じでしょうか。往年のクラシックの醍醐味を聴くことができるCDでした。

 

カプリングされている、モーツァルトのロンドは、いずれもモーツァルトのピアノ協奏曲の第三楽章として書かれたもので、別の作品が定着したので、独立した形で残ったものです。K382の方はロンドといいつつ変奏曲になっています。シンプルかつ楽しい変奏曲で、解りやすく楽しめるものでした。K386の方はロンドという雰囲気がより強く、K382よりも華麗な雰囲気のある曲でした。フィッシャーとフリッチャイの演奏は、ベートーヴェンよりリラックスした感じで、輪郭のはっきりしたモーツァルトの音楽が楽しめました。

 

【録音に関して】

アニー・フィッシャーのピアノの音は、とてもよく捉えられていると思います。オーケストラの音はちょっと固い感じがしました。

 

【まとめ】

ステレオ初期の名演奏の一つだと思います。この50年代末から60年代にかけての録音は、ステレオ録音がどんどん発展していった時代で、素晴らしい演奏の宝庫ですが、私はかつて廉価盤を購入することにより、この時期の録音を通じてたくさんの名曲を知ることになったので、それらの雰囲気が、今でもクラシックを聴くときの私の標準になっているかな?と思いました。

 

購入:2023/11/22、鑑賞:2023/11/24

ショスタコーヴィチの時代 ⑳

1930年代の前半。ショスタコーヴィチは20代の後半にあたりますが、たくさんの映画音楽や舞台音楽を作曲しつつ、いくつかの純音楽を残しています。「24の前奏曲」「ピアノ協奏曲第1番」「チェロソナタ」などがそれにあたります。そのうち最も遅く発表されたのはこのチェロソナタで、1934年に作曲初演されました。この後「交響曲第4番」を作曲しますが、プラウダ批判の影響で当時は演奏を見送ったのでした。

【CDについて】

①作曲:ショスタコーヴィチ

 曲名:チェロ・ソナタニ短調 op40 (25:57)

②作曲:プロコフィエフ

 曲名:チェロ・ソナタハ長調 op119 (21:39)

③作曲:ショスタコーヴィチ

 曲名:チェロとピアノのためのモデラート (2:41)

演奏:ハレル(vc)、アシュケナージ(p)

録音:1988年5月6日 シカゴ Orchestral Hall

CD:421 774-2(レーベル:DECCA)

 

【曲と演奏について】

プラウダ批判が、ショスタコーヴィチの作風の一つの転機という見方があり、それはある意味その通りだと思います。作曲家にとっても大きな事件でした。しかし、作風の転機はそれだけでないような気もします。たくさんの舞台音楽系の作品を見ていけば、諧謔的なメロディや前衛性が目につくことは事実ですが、同時に書かれた純音楽を聴いていけば、この時期は充実した作品を作曲しています。「24の前奏曲」で古典的な作品へのオマージュを持ちつつ、自由でいろいろな作風を発展させ、「ピアノ協奏曲第1番」はどちらかというと、流行と古典を融合させたスタイルではないかと思います。その次に書かれたチェロ・ソナタは、これはぐっと「プラウダ批判」以降の深い内面を表現する音楽を彷彿させるものになっています。同時期に作曲された「明るい小川」も前衛性は後退していっているので、この時期から一つの転機に入っているのかもしれません。

 

第一楽章は、チェロとピアノで受け渡しながら、哀愁漂う美しいメロディを奏でていきます。しっかりした展開で、この曲で一番長い楽章になっています。ショスタコーヴィチ的な雰囲気はありますが、それほど強くはありません。第二楽章の主題はどこかで聴いたことがあります。チャイコフスキーの「フィレンツェの思い出」だと思うのですが…。そのメロディが繰り返し登場し、展開される面白い楽章です。第三楽章で時折見せるほの暗い表情は、後年ほどではないにしても、ショスタコーヴィチの沈鬱な緩徐楽章を彷彿させる音楽です。そして、第四楽章でしっかりと締めくくられます。今までのように刺激的では無く、チェロの音というのもありますが、古典的な構築感やメロディを用いて、独自の世界を描き出していると思います。後年の交響曲の構成も見えて、このあたりから人気作家が歴史に残る作曲家に変身していっているような気がします。

 

ロストロポーヴィチとD.ショスタコーヴィチによる1959年の演奏

 

 

チェロとピアノのモデラートは、後年発見された小品で、チェロ・ソナタと同時期のものです。ただし、ソナタの一部として、ということではなく、ピアノがほぼ伴奏に回っていて、チェロのための小品という感じだと思いました。

 

もう一曲、プロコフィエフのチェロ・ソナタは晩年の作品で、叙情的な作風のもの。ロストロポーヴィチのために書かれ、ロストロポーヴィチとリヒテルによって初演されました。初期のプロコフィエフらしい面影は残しつつ、明るいリズミカルな作品になっています。

 

このCDは、ハレルとアシュケナージによるもので、ハレルのふくよかな音色と、アシュケナージの輝かしいピアノの音がとてもマッチしていて、現代的な美しい名演となっていると思います。大変聴きやすくて、かつ深みがあるCDでした。

 

購入:1993/10/06、鑑賞:2023/12/01(再聴)

【CDについて】

作曲:ショパン

曲名:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 op11 (39:27)

   ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 op21 (31:46)

演奏:リグット(p)、ベルゲル指揮 ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1992年6月5-6,28-29日 ブダペスト マーフィルム・スタジオ

CD:COCO-70334 (レーベル:DENON、発売:日本コロムビア)

 

【曲について】

ショパンのピアノ協奏曲第2番は、ショパンが始めて作曲したピアノ協奏曲ですが、作曲年は第1番と同じで、第2番の完成後、第1番の作曲に取り掛かりました。第1番の方が規模も大きく、演奏される機会も多いのですが、第2番はより自由な形で、工夫も多い曲となっています。

 

【演奏について】

ブルーノ・リグットは、フランス生まれのピアニストで、パリ音楽院で学び、サンソン・フランソワと、パウル・バドゥラ=スコダに師事しました。通常は弟子を取らないサンソン・フランソワが唯一弟子としたピアニストということです。1966年のチャイコフスキー国際コンクールで入賞を果たしています。それほど録音は多くないピアニストだと思いますが、サンソン・フランソワ直伝のピアノが気になります。

 

まずは、第1番。エーリッヒ・ベルゲルの指揮による序奏はそつのない雰囲気に聞こえ、リグットのピアノが始まります。リグットの音はキラキラと輝いて、自在に駆け回る感じがします。音がきれいで、流麗に響く感じです。どちらかと言えば、軽めの澄み切ったタッチで、何かピッタリ合うようなソロの曲を聴いてみたくなる雰囲気です。第二楽章もその特徴が現れて、軽く煌めくような演奏になっています。その余韻を断ち切らないまま第三楽章に入ると、だんだん活気を増して、躍動的な部分に入りますが、あくまでリグットのピアノは流麗でした。

 

第2番は、曲自体の少し深めの影が、リグットの音とうまく調和した感じがしました。リグットのピアノ自体は終始軽くキラキラしています。第三楽章まで、軽やかな技巧で、軽快に展開していきました。リグットのピアノは初めて聴きましたが、澄んできらめく響きが特徴的だと思います。ただし、終始軽い感じがつきまとうので、合う合わないとかあるのではないかと思いました。

 

【録音について】

まずまずの録音だと思います。ピアノの音色はよく捉えられています。オーケストラは分離がどうかという感じではあります。

 

【まとめ】

今回は、リグットのピアノの鑑賞でした。音やタッチに特徴のあるピアニストでした。軽い感じがするので、これは雰囲気よく軽く聴きたい時に聴く感じではないかと思いました。何かソロのCDでもあれば、一度聴いてみたいと思います。

 

購入:2023/11/22、鑑賞:2023/11/25

【CDについて】
①作曲:チャイコフスキー

 曲名:弦楽セレナードハ長調 op48 (29:22)

②作曲:ドヴォルザーク

 曲名:弦楽セレナードホ長調 op22 (30:23)

演奏:カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1980年9月21,23,28-30日 ベルリン フィルハーモニー
CD:POCG-1159(レーベル:DG、発売:ポリドール)

 

【曲について】

チャイコフスキーの弦楽セレナード。いい曲ですね。いろいろなところで使われています。美しくて心に残るワルツがありますし、第三楽章のエレジーも大変美しい曲だと思います。そんな中で、第一楽章の冒頭を巷でよく聴くようになっていました。そうなんですね…オー人事、オー人事でした。YouTubeで歴代オー人事のCM集を続けて見てみると、これは芸術です(笑)。

 

【演奏について】

まずは、このCDのジャケット。遠目に見ると炎に見えます。けっこう印象的なジャケットです。クラシックを聴き始めてしばらくして、このCDが出たことは覚えていますが、まずジャケットで印象にのこりました。そして、紹介されることも多いCDでもあり、いろいろと再発売もされ、思い出したようにこのジャケットが登場します。ジャケットだけでトラウマ状態です。ただ、内容はというと、カラヤンの弦楽セレナードといういかにも通俗的な雰囲気があるので、高尚な芸術に傾倒する若者を衒う私としては、見向きもしませんでした、というのが正直なところなのでした。

 

という訳で、いまさら聴いてみます。初めてです。いきなり有名な冒頭の場面が、迫力があります。そして、カラヤンとベルリン・フィルの美音で展開していくこととなります。もう、当たり前に美しいですね。ただ、ねっとり歌っているというほどではなく、冒頭以外は幾分あっさりしているというか、メロディを追って流れていく感じでもあります。そして、第二楽章と第三楽章はもちろんこの上なく美しいのでした。

 

そして、もう一曲。ドヴォルザークの弦楽セレナード。うちのCD棚に別のCDがあるのは見ていたのですが、それは未開封なので、意外とこの曲を聴くのは初めてかもしれません。第一楽章はなかなか美しいのですが、初めて聴いて第四楽章に心を奪われました。さすが「アダージョ・カラヤン」を大ヒットさせただけあります。これはラルゴではありますが…。この上なく美しいラルゴでした。メヌエットとスケルツォは初回でもあり少々馴染めなかったのですが、これを機に、棚の未開封のやつも含めて、しっかり聴いてみたいと思いました。

 

最近のオー人事です。近年のオフィス事情にからめて弦楽セレナード?が楽しめます。

 

【録音について】

カラヤン、ベルリンフィルの美音が楽しめる、大変美しい録音だと思います。

 

【まとめ】

長年気になっていたCDを聴くことができました。その長年の間の出来事をいろいろ思い出すこともあって、音楽だけでなくいろいろ考えてしまいました。このCDはもちろん名曲の美しいメロディが気軽に楽しめる、素晴らしいCDだと思います。

 

購入:2023/11/22、鑑賞:2023/11/22

最近リリースされた新譜から ⑰

今週の新譜は、ペンデレツキの合唱曲集。久ぶりにペンデレツキのCDを買ってみました。時々思い出したように「ルカ受難曲」とか聴くことがあるのですが、今日はペンデレツキの合唱の世界に浸ってみたいと思います。

【CDについて】

作曲:ペンデレツキ

曲名:O gloriosa virginum おお、栄光に満てる処女(2009) (3:40)
   De profundis 深き淵より(1996) (6:09)
   In pulverem mortis 死の塵の中へ(1966) (5:52)
   Song of Cherubim ケルビムの歌(1986) (6:43)
   Veni Creator 来たれ創り主なる聖霊よ(1987) (7:34)
   Miserere 憐れみ給え(1965) (4:36)
   Agnus Dei 神の子羊(1981) (7:33)
   Missa brevis ミサ・ブレヴィス(2012) (17:35)

演奏:クラーヴァ指揮 ラトヴィア放送合唱団

録音:2023年2月10日,4月17-18日,5月26日 リガ St. John's Church

CD:ODE 1435-2(レーベル:ONDINE)

 

【曲と演奏について】

私は、ペンデレツキについては、あまり聴かない20世紀後半の作曲家の中でも、少し聴いた方だと思います。きっかけは「シャイニング」に使われていたことですかね。ホラーのBGMです(笑)。聴いたのは「ルカ受難曲」その他いくつかといったところでしょうか。そんなペンデレツキの新譜が出ていたので、懐かしく思って買ってみました。伴奏無しの合唱曲という、これまたあまり聴かない分野ではあります。

 

最初の「おお、栄光に満てる処女」は、美しく澄んだコーラスで始まります。ペンデレツキは現代の作曲家ですが、1970年代以降は初期の先鋭的な音楽から、伝統的な音楽に回帰しています。従って、21世紀の作品であるこの曲は、とても澄んで、美しく心地よい音楽です。そして、その先鋭的な音楽の時代の代表的な曲が「ルカ受難曲(1966)」このCDでも、「死の塵の中へ」「憐れみたまえ」の2曲が収められています。この大曲中でアカペラの合唱で歌われる曲です。これぞペンデレツキという合唱が聴かれます。ただし、器楽作品ほどは先鋭的には聴こえません。深く澄んだ宗教曲の世界です。

 

前衛時代の代表作である「ルカ受難曲」ヴィット指揮ワルシャワ国立poによる演奏です。

 

 

このCDの中で、まとまって聴かれるそこそこの規模の曲としては、最後の「ミサ・ブレヴィス」があります。2012年のアカペラ合唱としてのミサ曲で、コンパクトなミサ曲になっていますが、いろいろな要素が詰まった曲となっています。ライプツィヒの聖トーマス教会800周年記念作品ということで作曲されましたが、実際の作曲期間は20年に渡るものだそうです。ラトヴィア放送合唱団の歌声が大変美しく澄み切っていて、心が洗われるような素晴らしい演奏です。深い癒しが得られる、美しいCDでした。合唱とはかくも美しきものという事を感じました。

 

購入:2023/11/10、鑑賞:2023/12/01

買ったCDはちゃんと聴こうシリーズ ⑱

【CDについて】

作曲:メンデルスゾーン

曲名:弦楽四重奏団第3番ニ長調 op44-1 (30:17)

   弦楽四重奏団第4番ホ短調 op44-2 (27:03)

演奏:イザイ四重奏団

録音:1993年1月17-20日 フランス フォントヴロー修道院

CD:440 369-2 (レーベル:DECCA)

 

【曲について】

メンデルスゾーンは、1937年から38年にかけて3曲(第3番~第5番)の弦楽四重奏曲を作曲し、作品44としてまとめました。幼い頃から室内楽曲や弦楽合奏曲をたくさん手掛けていたメンデルスゾーンは、弦楽器を用いて大きな演奏効果を引き出す方法に長けており、メンデルスゾーンの円熟期の楽想によって、充実した内容に仕上がっています。
 

【演奏について】

ここのところ、メンデルスゾーンの曲を聴くのが、ちょっと楽しみになっています。というのも今まではあまり積極的に聴いてこなかったので、ここにきて興味深く感じるのと、メロディやリズムがとても面白いからなのでした。今回は、弦楽四重奏曲ですが、充実したメンデルスゾーンのメロディが楽しみです。

 

第3番は颯爽と始まります。ある意味イタリア交響曲みたいです。こういった弦楽アンサンブルの曲は、まさにメンデルスゾーンを聴いているんだという雰囲気に包まれます。とても活気があって、厚みのある音が展開していきます。第二楽章はゆったりとした美しいメヌエットで、この曲にはスケルツォはありませんが、そんな雰囲気もちらりと顔を覗かせます。第三楽章の静かな緩徐楽章が演奏されたあと、賑やかな第四楽章が始まります。ここも第一楽章と同様に、活気あふれる音楽で、弦楽四重奏曲の醍醐味を味わいながら曲は終わりました。

 

第4番の方は、弦の伴奏にのって登場する哀愁を帯びた主題が印象的でした。メロディアスなメンデルスゾーンが登場し、構成も素晴らしい曲です。ホ短調ということで、あのヴァイオリン協奏曲をも連想させるものらしいですが、そう言えばなるほどですね。第二楽章は、メンデルスゾーンの特徴のある、軽快なスケルツォが聴かれました。これも楽しみのひとつでした。第三楽章は緩徐楽章で、歌謡風の美しいメロディを持った楽章。そして再び活気のある第四楽章。華やかにコーダに向けて進みます。曲を終わります。まさにメンデルスゾーンの楽しみが詰まった曲でした。

 

イザイSQの演奏も、しっかりとまとまって、音の輪郭のはっきりした演奏でした。メンデルスゾーンの技法によるところもあると思いますが、全体の音の響きが厚く、素晴らしい演奏でした。

 

【録音について】

大きめの音で、イザイSQの音がはっきりと捉えられていて、迫力ある録音でした。

 

【まとめ】

メンデルスゾーンを聴くのはなかなか楽しくて、ますます好きになりました。作品44にしても、このCDに収められていない44-3を探さなくては…と思っています。

 

購入:不明、鑑賞:2023/11/20

グレイト ~節目となったCDから3選~ ②

シューベルトのグレイトを再び確かめる特集の第2回です。今回は、バルビローリ指揮のハレ管の演奏です。たぶん、このCDが私が最も聴いた回数が多い「グレイト」だと思います。一時期、こればかり聴いていましたね(笑)。聴かせる名演奏がいっぱいある曲なのですが、これが一番私には合っていたと思います。

【CDについて】

作曲:シューベルト

曲名:交響曲第9番ハ長調 D944 (52:37)

演奏:バルビローリ指揮、ハレ管弦楽団

録音:1964年6月 ロンドン

CD:HMA 190059(レーベル:Harmonia mundi FRANCE、原盤:EMI)

 

【曲について】

この曲の作曲されたと言われているのは、1825年から26年にかけてですが、その前の1924年がベートーヴェンが交響曲第9番を作曲した年にあたります。この曲のあちこちにはベートーヴェンへのリスペクトや影響が表れています。まず、全体の雰囲気がベートーヴェンの第7番に似ています。リズムと中間楽章の美しいメロディで構成されているのです。そして終楽章には歓喜の歌の変形されたメロディが登場して曲を結んでいきます。

 

【演奏について】

この曲に取りつかれた私は、一時期Visionを使って冒頭部分の楽譜を打ち込み、強弱やテンポを動かしてみたりしていました。つまり、どういうテンポや強弱で演奏すると、自分の好みになるのだろうと、やってみたのですが、その頃聴いていたのがこのCDで、何枚か聴き比べても、一番うまくフィットしてしまったのです。それ以来これだ!ということで、ずっと聴き続けているのでした。という訳で、自分の中でこれが標準です(笑)。

このCDは、Harmonia mundi FRANCEで出ていますが、EMI録音ですね。廉価版のLPのセラフィムシリーズ(緑のジャケットのLP)のグレイトはこれでした。

 

この演奏は、ゆったりとした控えめなホルンで始まります。いいですね…。この序奏部の演奏が情感がとても豊かで丁寧です。この序奏部分の入り方が、かなりこの曲の演奏の印象を左右すると思いますが、これは、ピッタリと決まっています。ワルター盤と違うのは、この演奏は序奏部で加速し切った形で主部に入っていくところだと思います。これがまぁ普通ですかね…。あとは、安定してダイナミックに展開していきます。ディナーミクのアクセントがとてもいいです。

 

第二楽章。穏やかな演奏ですが、どちらかといえば、インテンポではないでしょうか。その上でゆっくりメロディが美しく歌われます。中間部がとても美しいです。第三楽章も同様でゆっくりリズムを刻みながら進みます。そして、第四楽章。冒頭は華やかに始まったあと、第二主題に入ると、再びゆったりテンポを刻み始めます。全体的にインテンポで演奏されていると思うので、この曲がリズム重視の曲であることも、明瞭に感じられる演奏でもあり、この曲を小細工なしで演奏して、良さを最大限に表現した演奏ではないかと思います。

 

【録音について】

オーケストラの全体の音がよく捉えられている素直な録音と思います。このCDは、タワレコで最近SACD化されているようなので、そろそろそちらに浮気しようか…とも思ったりしているところです(笑)。

 

【まとめ】

このCDはよく聴くので、久しぶり感はなく、せいぜい数ヵ月ぶり程度です。もしベストは何だと聴かれたら、演奏スタイルなんかも含めても、やはりこれですかね…。

 

購入:不明、鑑賞:2023/11/25(再聴)

新日本フィルハーモニー交響楽団の室内楽シリーズに行ってきました。楽員プロデューサー編ということで、今日は第1ヴァイオリン奏者の岸田晶子さんプロデュースです。出会いと題して、老若男女が集まる楽団員たちの集まりをもって、出会いというテーマでまとめたプログラムです。曲は2人⇒4人⇒6人と進み、若手とベテランが一体となって演奏するオーケストラの縮図というコンセプトでしょうか。

 

◆前半
①モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのためのニ重奏曲第2番 変ロ長調 K. 424
②三善晃:弦楽四重奏曲第1番(1962)
◆後半
③ドヴォルザーク:弦楽六重奏曲 イ長調 op. 48

 

演奏:岸田晶子(vn)①②③、堀内麻貴(vn)②③、桂田光理(va)③、醍醐のり子①②③、

   飯島哲蔵(vc)③、多田麗王(vc)②③

 

2023年12月5日 すみだトリフォニーホール

 

岸田さんのトークがあり、少し間があって演奏が始まりました。最初はヴァイオリンとヴィオラの二重奏で、岸田さんと醍醐さんの二重奏。ヴァイオリンとヴィオラという組み合わせで二人で演奏する姿がスリリングに感じます。掛け合いも含めて室内楽の雰囲気がミニマルに凝縮された感じで楽しめました。岸田さんの紹介にもありましたが、単旋律の楽器2台によるデュオになります。モーツァルトはこの曲を病気になって締め切りに間に合わないミヒャエル・ハイドンのために変わって作曲したとのこと。M・ハイドン風に仕上げられているとのことです。シンプルな雰囲気の曲ですが、演奏の場の雰囲気を含めて楽しむと、大変味わい深いです。

 

2曲目は三善晃の「弦楽四重奏曲第1番」。メンバーは岸田さんに、第2Vnに堀内さん、Vaに醍醐さん、Vcに多田さんとベテランメンバーが加わります。曲は大変面白く、一度聴いただけでは覚えきれませんが、チェロで始まりチェロに終わる曲。そのチェロの奏でるメロディがいろいろと発展して、戻ってくるという雰囲気です。これは、是非CDでも手に入れて、一度じっくり聴いてみたいと思いました。多田さんのチェロが素晴らしく、また岸田さんの第1ヴァイオリンを、ベテランメンバーが支えているという雰囲気も大変良かったです。これは、素晴らしい名演奏だったと思います。

 

中休みのあと、楽器紹介というアトラクションがあって、楽しませていただきました。

 

そして、ドヴォルザークの弦楽六重奏曲は、今日唯一聴いたことのある曲。若手二人が加わり、第1ヴィオラと、第1チェロを担当。第1ヴァイオリンは大ベテランの堀内さんに入れ替わります。堀内さんは、1985年入団ということは、私の会社の入社と同じ年じゃないですか!ヴィオラの桂田さん、ちょっとアクションが一人だけ大きくて目立ってますね…。最後までしっかり盛り上げて、よく音楽が伝わってきて、室内楽を聴く楽しさを感じます。ちょっと和気あいあい感があり、ガチな常設グループとは違った楽しみがあるので、また次回も出かけてみたいと思います。

【CDについて】

作曲:ベートーヴェン

曲名:交響曲第9番 ニ短調 op125 (61:36)

演奏:アントニーニ指揮、バーゼル室内管弦楽団

   ミューレマン(s)、シャピュイ(ms)、シュミット(t)、バウアー(br)

録音:2016年9月5-7日 ヴロツワフ National Forum of Music

CD:19439737032 (6CD)
   (レーベル:SONY CLASSICAL、販売:SONY MUSIC INTERNATIONAL)

 

【曲に関して】

この曲の自筆譜は、ユネスコの世界記憶遺産として登録されているそうです。そういった意味でも人類の遺産となった曲で、いろいろな歴史上のイベントでも演奏されてきました。ベルリンの壁崩壊時のバーンスタインによる米英仏露の混成オーケストラによる演奏も記憶に新しいところです。

 

【演奏についての感想】

早いもので、今年ももうすぐ年末がやってきます。年末と言えば第九ですが、今まで聴いてきたアントニーニの全集も、ちょうど第九を残すだけとなりました。しかし、アントニーニの今までの演奏を聴いてきて、第九を演奏してどんな雰囲気になるか全くイメージが湧きませんでした。そして、半信半疑で聴き始めます。これは…。

 

結論から言うと、私はいままで第九は70分台の演奏をずっと楽しんできたのですが、今では世界が全く変わっているようです。さて、第一楽章の序奏。まるで早回しのレコードを聴いているようで、HIP流に細かく刻まれた感じです。今まで聴いてきた第九と全く感触が違いますね。HIP以前にアントニーニ自身の解釈も加わっているのか?と思いました。主部に入っても颯爽と進んでいきます。盛り上がっていくと、さらに拍車がかかります。第一楽章は、あれよあれよという間に終わってしまいました。

 

第二楽章も同様に快調なテンポでどんどん走り続けます。私には、こういった新しいタイプの演奏は聴いてこなかったので、第九はこうあるべしという固定観念があるのかもしれませんが、見事に打ち破られました。聴いていくうちにだんだんこのテンポに馴染んできます。そして、癒しの第三楽章。束の間の休息です。ガット弦で歌われるメロディはこの上なく美しく感じます。

 

第四楽章は、もうすっかりこの音に馴染んでしまったので、冒頭のような抵抗はなくなってきています。合唱はこの編成に応じた雰囲気というか、見通しのいい感じ。オーケストラ単独の部分も、いきいきとした演奏が展開します。合唱が入ってきてオーケストラの音もうまく中和した感じです。最初はどうなるかと思いましたが、あいかわらず活力のある演奏で、最後は低音の迫力までありました。

 

【録音に関して】

細部までクリアに表現されたいい音で捉えられています。

 

【まとめ】

初めて最近の第9の演奏に接しました。もともと第九は60分超程度のテンポでも演奏されていたようですが、フルトヴェングラーの時代になって70~80分くらいの演奏が主流になってきたようです。そしてHIPの時代になって、ベートーヴェンの意図を追求した結果、60分を切るのも出てきているようです。まだ聴いていないのですが、確かに家にあるジンマンなんかも60分くらいの様子。

時代は変わっていた…。

 

購入:2023/06/23、鑑賞:2023/11/18

ショスタコーヴィチの時代 ⑲

バレエ音楽「明るい小川」は、プラウダ批判の対象となった曲という意味で有名ではないでしょうか。実のところ、この曲がどうというよりは、そもそも「ムツェンスク郡のマクベス夫人」が社会主義リアリズムから遠く離れ、政治色が全く無く不倫という題材を扱った作品で、民衆の心をつかんでしまったことに、当局が危機感を覚えたことで、1936/1/28の「音楽の変わりの荒唐無稽」が発表され、続いて1936/2/6に「明るい小川」は、「バレエの偽善」と題して、音楽に特徴や新たな工夫が無いと、今度は全く逆方向から批判されています。つまりは、「お前はあまりにも有名だから収容所送りにはしないが、何を書いても、目立ってもだめだ。」と言っていることになります。

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:バレエ音楽「明るい小川」 op39 (68:31)

演奏:ロジェストヴェンスキー指揮 ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1995年6月9-14日 ストックホルム Stockholm Concert Haii

CD:CHAN 9423(レーベル:CHANDOS)

 

【曲と演奏について】

この曲のプラウダ批判に関することについては、端的に上に書いた通りで、むしろ音楽的には過去の焼き直し的な事も批判されているようです。事実この曲には、「ボルト」からいくつかの曲が流用されています。ショスタコーヴィチのバレエ音楽はこれで3作目ですが、「黄金時代」「ボルト」ともに、台本の問題とか少々歌劇過ぎる風刺とかもあって、公演的には不成功であったわけですが、今回はショスタコーヴィチ自身があらすじを発案、前衛性を大幅に後退させた音楽で仕上げています。

 

あらすじとしては、コーカサスのコルホーズを舞台に、そこに洗練された娯楽を提供するために派遣されたバレエダンサー集団を中心に展開するものです。話の進行的には他愛もない色恋沙汰を含むもののように思われます。そして社会主義リアリズムを加えたものなのでしょう。音楽的にはシンプルで、この作品もソ連で人気となりました。しかしプラウダ批判によって上演はされなくなり、台本を書いた一人は逮捕されて収容所で処刑されてしまったようです。

 

さてその音楽ですが、このCDは当時、ワールドプレミアでした。と言っても全曲盤ではありませんが、全曲盤から、繰り返しとボルトからの引用部分を抜いたもので、実質全曲盤といってもいいのでしょう。ナンバー的には44曲中29曲が収録された形になっています。

そして、ワールドプレミアとは言え、かなり聴いたことのある曲が多いことも事実。ショスタコーヴィチは、のちに「バレー組曲第1番~第3番」を編纂(全18曲)。そして、アトヴミャーンが第4番(全3曲)を編集していますが、それらの中の半数以上の11曲は「明るい小川」からとられています。「明るい小川」組曲の拡大版のようなものですね。もともとの組曲版の「明るい小川(全5曲)」はプラウダ批判により演奏できなくなってしまっていたので、すべて新しい「バレエ組曲」に組み込まれています。

 

全体的に、明るい基調の音楽が多いと思います。こういったバレエ音楽なので、当然かもしれませんが…。いままであったような、先鋭的な音楽や、諧謔的ポルカはほぼ登場しません。娯楽音楽的に安心にて楽しめる曲だと思います。BGMで流しておいてもあまり気にならない感じです(笑)。

 

チェロのソロがある、第29曲のアダージョ。美しい音楽です。

同じ部分ですが、マイスキーのチェロによる演奏で、ピアノ伴奏です。

舞台は2003年にボリショイで復元されました。美しい舞台が見られます。

 

CDの演奏は、おなじみになってしまった、ロジェストヴェンスキー指揮 ロイヤル・ストックホルム・フィルです。そういえば、ロジェストヴェンスキーは、チャイコフスキーのバレエ音楽も全曲録音していたと思います。さすがともいえる華麗な雰囲気のいい演奏です。たくさんの録音のあるロジェストヴェンスキーですが、ワールドプレミアはじめこのシリーズでの録音は、素晴らしいプロジェクトだと思います。

 

購入:不明、鑑賞:2023/11/27(再聴)