【CDについて】
作曲:バルトーク
曲名:①弦楽器打楽器とチェレスタのための音楽 Sz106 (27:43)
②舞踏組曲 Sz77 (15:39)
作曲:コダーイ
曲名:③ガランタ舞曲 (13:58)
演奏:ショルティ指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:①1955年4月、②③1952年11月 ロンドン キングズウェイ・ホール
CD:UCCD-3779(レーベル:DECCA、発売:ユニバーサル・ミュージック)
【曲と演奏について】
バルトークの演奏と言えば定評があるショルティの録音。これは、1950年代のモノラル録音で、ショルティの録音としてもごく初期のものになります。最初期のショルティはどういう演奏をしていたか、と興味をもって聴き始めました。
まずは、弦チェレから。早めのテンポで、少々前のめりな感じがしました。これは、当時の現代曲的な演奏なのでしょうか?第三楽章の静かな部分も少し早めで、深閑とした情緒にはもう少し…といった気がしました。ただ、とても面白く聴けているのは事実で、後年のショルティのこの曲の演奏のイメージと一致すると思いました。後年に磨きがかかってさらに聴かせる演奏になる、その萌芽が現れているのかもしれません。第四楽章は、オーケストラがショルティに付いていけてない感じで、厚みがなく雑に聴こえてしまいました。特筆すべきは、1955年のモノラルですが、録音がとてもいいと思いました。
この音源です。この時期の録音だとライナーが安定ですが、いろいろな指揮者がバルトークやコダーイを競って録音しています。そしてこの録音はパソコンで聴くくらいだと全く問題ない、モノラルの優秀録音だと思います。
舞踏組曲とガランダ舞曲は、1952年の録音ですので、若干音は劣ると思います。といっても標準的なレベルです。ショルティはこれらの曲に込められたハンガリーのリズムを体得しているはずで、聴かせ方は一流です。一方で、かなり強引な感じがして、かつ軽く感じるところもあり、少々空回り気味かもしれません。舞踏組曲は、バルトークの前衛的とも思える音楽が、とても民族色豊かに演奏されて、面白い出来上がりになっています。ガランタ舞曲は前衛的要素が少なく、より民族音楽的ではあるので、ショルティの音楽もニュアンスに富んでいます。最終的に少々軽く聴こえるのは、録音や成熟途上の要素があるのか?と思いました。当時のロンドン・フィルは、これだけあくの強い民族音楽を、さらに濃いショルティの演奏に応えて、どれだけ表現することができるのか?ということかもしれません。この時期の貴重な記録として大変面白く聴けたCDでした。
このCDの音源の、コダーイ作曲ガランタ舞曲です。活気のある演奏だと思います。
そして、このジャケットが当時らしいデザインで素晴らしく、見て楽しいCDだと思います。これ、青がバルトークで、白がコダーイを現わしているような気がしますが、気のせいでしょうか…??
このCDのジャケットは1952年録音の両舞曲のオリジナルのものですが、弦チェレのカプリングはどうだったかと調べてみると、どうやらハーリ・ヤーノシュらしいですね。両方ともバルトーク/コダーイセットだったようです。ハーリ・ヤーノシュも聴いてみたいと思いました。
購入:2023/10/07、鑑賞:2024/09/09
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