「桶狭間の合戦まで」 第三部
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「桶狭間の合戦まで」 第三部
ついに、今川も本腰を入れて、尾張の国を、この織田家を潰そうと立ち上がったのである。
一部では、義元の上洛が目的との噂もある。または、領土の拡大か、武田や後北条に自らの力を誇示する為か、はたまた、この田舎侍呼ばわりされている余の行く末を案じて、出る杭を打とうという事もあるらしい。どうであれ、もう、近いうちに、今川が全精力を西に傾けるらしい。
そう、そもそも、今川の方が、我が尾張の国よりも東にあって、京より遠方なのである。その事からして、理屈で言えば、今川の方が田舎侍なのであるのだ。そんな小さな事でさえ、今川に対しては、何から何まで腹が立つ。
昔からそうである。
何か事あるごとに、織田家は今川に仕えさせられた。金にしろ、物にしろ、人質にしろ、何から何まで、織田家は今川になめられていた。織田家の歴史は、今川への抵抗である。父上、信秀の代で、一時は随分と盛り返しはしたが、そんな、父・信秀は流行病にやられた。もし、父上が倒れてさえいなければ、今日の様な情勢にはならなかったかもしれない。…、…。かもしれないが、そういった状況にならなければ、余がここまで、尾張で暴れることが出来なかったかもしれない。更に先を見据える事は、尚の事、出来なかったかもしれない。父上がなくなったことで、殻を破かなければならない境遇に追い込まれ、そして、その状況を余自らが楽しめたから、この様な、現状が与えられているのかもしれない。
今川が攻めてくるのは、明後日かもしれぬ、明日かもしれぬ。
父上はいない。
今や余が尾張の大将だ。
美濃の斎藤家や朝倉といった、目の上のたんこぶは依然として鎮座しておる。
今川からすれば、上洛に際して、余が目の上のたんこぶか、はたまた、眼糞位のものだろうか。
敵は三万とも、四万とも言われている。ある程度のはったりであるとしても、実質、少なく見積もって、二万五千といった数が妥当な数字であろう。
それに比べて、こちらは多く見積もって、三千といったところか。無理して、掻き集めて、せいぜい、三千ニ、三百といった位のものである。だとしても、そんな二百や三百を寄せ集めたところで、下手をすれば足手まといになるだけだ。
…、…。
そこだ!
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