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「桶狭間の合戦まで」 第七部

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「桶狭間の合戦」 第七部



毛ひとつ、落ちていない。埃ひとつ舞っていない。清浄な空間であった。そして、蝋燭が贅沢に何十本も灯されて、白昼の如く、眩しい様子である。

少なくて小さな明かりで、こちらがこそこそとしていれば、あやしい事をたくらんでいる、と証明しているようなもので、それとは逆に、堂々としていれば、周りはいぶかしむ事はない。敬意を持つことがあっても、怪しむ事はない。

こちらが小さい灯なら、あちらは、忍びやすいが、こちらが派手にしていると、あちらは、ひっそりと忍ぶことが出来ない、というものだ。

心理の裏を衝くというか、相手の裏の裏を読む、そういったところだ。心理戦が常識の世だ。作戦が重宝される。先制攻撃が大事であり、先制攻撃をさせているという、心理を相手に持たせる作戦さえ発生している。そういった心理戦には情報が必要だ。心理戦はつまり情報戦だ。情報というのは、例えるなら、今川が何を企んでいるのか、今川が何をしているのか、今川の次の作戦は何なのか、そういった事を知ること、知ろうとすること、知らせることが、情報であり、情報の使い方だ。その相手の情報の嫌がることをしよう、というのが作戦だ。更には、心理戦、情報戦が舞台の鍵になるには、もう一つ理由がある。これから普及するであろう鉄砲の存在だ。西洋から伝来し始めた鉄砲を、嫌う大名もおる。これはサルや獣が火を怖がるのと似ておる。進化が足りない幼稚な大名だ。頑固で、自らの成長を自らで停滞させている、偏屈者だ。もっと柔軟に、もっと貪欲にあるべきなのに、そうであれば、国が繁栄できるのに、それを自ら妨げてしまっている、駄目な大名だ。サルや獣は火が恐ろしいものと思い、火を使わない。火を避けようとする。それは逃走本能だ。身を守るために危険は冒さない。長生きする為の秘訣で、種の維持には重要なことだ。

新しいものはまず敬遠する。それが習慣で、本能だ。初めて見る物が、食べられるのかどうか、分からず、隣の者がそれを食べて、おいしがっていても、なかなか手を出せずにいる。結局は小心者で、弱気で、非開拓者なだけだ。


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