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「桶狭間の合戦まで」 第八部

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「桶狭間の 合戦まで」 第八部

だから、鉄砲という新しく強力な武器を毛嫌いするのだ。鉄砲を恐れ、その力を見せられると、尚、それを避けたくなる。しかし、鉄砲はこれから勢いをつけて、この戦国の世にも普及することであろう。今までの竹だの槍だの刀だの、といった物ではとてもかなわない破壊力を持つ鉄砲こそが権力になるであろう。離れた位置から敵を倒せるのだ。こんなに魅力的でこんなに魔力的なものは他にはない。手裏剣よりも威力がある。どんなに体力がある者でも、如何に馬を操ることが出来る者でも、この鉄砲の前にはどうにも太刀打ち出来ない。

余は、いち早く鉄砲を買占めるべきと考えている。他の武将が鉄砲を入手できない様に、先に買占める位に、鉄砲を独り占めにする。鉄砲を誰よりも先に新たな干戈として自軍の物にしてしまう。しかし、いずれは、他の大名が使えない様に買占めるにしても、そうはいかない時が来るであろう。他の大名も鉄砲を使い始めるであろう。そうすると、鉄砲よりも更に上に行かなければならない。鉄砲を使う以前の戦いを制しなければならない。それが可能なのが情報戦だ。奇襲、撹乱、陽動、どの策でも、まずは情報が必要になってくる。

 能書きはここまでとしよう。それまで組んでいた胡坐を解いて、正坐に座りなおした。準備していた地図を開き、今度は将棋の駒を地図上に、ゆっくりと、落着いて、丁寧、確実、冷静、沈着に、一つ、一つの駒を、ぱちっ、ぱちっ、と気持ち良い音を立てながら並べていった。

「余がこちら」と尾張の清州城に{玉}を配置した。次に、三河の岡崎城あたりに、{王}をぱちっ、と置き、「これが今川義元」と駒を打った。


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