織田信長のブログ -14ページ目

「桶狭間の合戦まで」 第十六部

第一話から ←クリック

前回へ戻る ←クリック










 「桶狭間の合戦まで」 第十六部




 翌日の軍議。

 余には、つまらぬものであった。

 それまでの軍議と変わらず、籠城だの、降伏だのを唱えている声を聞いているだけで、時間をやり過ごした。

 しかし、これでよいのである。

 もう、余の決心は固まっている。信盛ら家臣がどう喚き叫ぼうが、時が来れば余は出陣する。時が来るまで、今川を引きつけて、怖気づいた振りをして、極限まで、こちらに義元の本陣をおびき寄せて、分散させて縮小させる。拡散させて減少させる。その時に、今川義元を討つ。ぶった切る。滅ぼす。

「今宵も、もう更けた。明日に何が起きるやも分からん。信盛、おぬしは休まれよ」

「殿! 急いでくだされ。はぐらかすのも限界があります。もう、手遅れになりつつあります」

「また、明日にしよう。余は眠い」

「殿! 実はもう西へ逃げる準備は整えてある故に、行きましょう。強がるのも、気持ちを抑えるのも、もう、止めにしましょう」

「…、…。信盛。…、…。あと、一晩、考えさせてくれ」

 余はそう言って皆が残る部屋を後にした。

 あと一日待ってくれ、というのは、明朝にでも、出陣致す、と優しく暗示したつもりであった。




つづく ←クリック