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「桶狭間の合戦まで」   第十四部

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「桶狭間の合戦まで」 第十四部




(これはいけるぞ! ひょっとしたら勝てるぞ!)

 そんな風に思えてくる。それが本当の勝ちにつながる。

 余が今まで歩んできた生き方もそういうものだったはずだ。余が野心をむき出しにしていなかったら、ここまでの地位になれていなかったはず。家督争いで負けてしまう位の、しかも、小さな尾張という国の、織田家ごときのお家騒動程度で終わっていたであろう。そんな、吉法師ごときが、大群義元勢に楯突くほどのものになった

 己を信じるとしよう。だが、向こう見ずに戦うのも、いま一つ芸がない。あまりにも無謀すぎる。がむしゃらもいいのだが、撃ち返されては仕方があるまい。

 部屋に隙間風が入り込み、五月だというのに連日の猛暑が感じられる不思議な気候に、少しの涼しさを感じさせてくれた。蝋燭の光が揺れた。

 お伽噺のままに、鬼である今川に、小国の一寸法師である余が、故意に飲み込まれ、腹の中で針を突きまくり、鬼を退治するのである。武勇を見せることが出来そうじゃ。よい戦になりそうじゃ、余は、そう思えた。

 蝋燭が、また、揺れた。余の影も一緒に揺れた。

 これが、いい作戦とも思えるし、他に思いつけるところがない。

 これが、唯一にして、無二の、作戦である。

 あとは義元軍の一万五千を更に減らせられれば、一段と流れはこちらに向く。

(仕方ない。間者を使うか)




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