将棋大会で割と採用例が多い「2勝勝ち抜け2敗失格」の仕組み、私はあまり好きではありません。大抵、1つの大会で何度も籤引きをして、その分だけ真の棋力が反映されにくい大会になっていきます。

(それでも single elimination 方式よりは良いですが。)


「2勝勝ち抜け2敗失格」を採用し、なおかつ優勝可能性に対する籤の影響を最小にする (優勝確率の分散を最小にする) 方法を提示します。

  1. 参加者数を4で割った数を切り上げ、block 数とします。例えば25人参加の大会なら 7 blocks です。
  2. 2人以下の blocks が発生しないように block 定員を定めます。例えば25人参加の大会なら3人 blocks が3つできます。
  3. 籤引きで参加者を各 block に割り当てます。
  4. block 内で2回戦まで実施します。以下、不戦勝を含まずに2勝した人を「実2勝」、不戦勝を含んで2勝した人を「実1勝形1勝」、不戦勝を含まずに1勝した人を「実1勝」、不戦勝を含んで1勝した人を「形1勝」、1局も勝てなかった人を「0勝」と呼びます。
  5. 「実1勝」が偶数人である場合、籤引きをして「実1勝」同士で3回戦を実施します。「実1勝」が奇数人である場合、籤引きをして「実1勝」同士で手合いを組んでいき、最後の1人は「形1勝」の中の1人と対局します (これも籤引きです)。
  6. ここまでで「実2勝」「実2勝1敗」「実1勝形1勝」のいずれかになった人が次に進めます。
  7. 午後の single elimination 対局表を用意します。この対局表には有利枠と不利枠が発生します (有利枠が発生しないこともあります)。例えば25人参加の大会なら有利枠が2つ、不利枠が12個発生します。
  8. 25人参加の大会の場合、有利枠は2つだけです。「実2勝」は5~7人いるはずですので、有利枠2つ、不利枠3~5つに対応する籤を作り、籤引きを実施します。こうすることで有利枠は必ず「実2勝」の誰かが割り当てられます。
  9. 「実2勝1敗」「実1勝形1勝」の方は不利枠のみの籤から籤引きをします。

有利枠が「実2勝」「実2勝1敗」「実1勝形1勝」のどこまで割り当たるか、を一覧表にして次回示します。

田丸九段は色々と情報発信して下さるのでありがたいです。

こんな呟きがありました。

将棋連盟総会は13時に始まり、議長の手際よい進行で今年は16時前に閉会した。昔は議論がもつれて深夜に及んだこともあった。「下級棋士は黙れ」「将棋が強ければ何をやってもいいのか」と言い合う場面も生じた。理事会は紛糾すると休憩を入れ、棋士たちに封筒(協力金が在中)を渡してその場を治めた。

「昔」というからには公益社団法人になる前の話なのだろうと推測します。

「下級棋士は黙れ」くらいの発言は外部からでも想像できますが、封筒の話は興味深いです。

今回は政治・行政的な用語が多めかもしれません。

「民主主義」ってとても大事な概念ですが、ちゃんとわかっていない人が少なくないように見受けられます。


「任意団体」という言葉に対して、私は「強制団体」という言葉を使います (Wikipedia では「強制加入団体」と呼ばれています)。ある条件を満たすと強制的に加入となる団体を意味しています。

典型的な強制団体は市町村 (基礎自治体) です。○○市に住んでいたら自動的に○○市民になりますし、「オレは○○市の市税を払わない」ということもできません。

強制団体の場合、「強制的に加入となったのに発言権・投票権がない」という状態は大変よくないです。なので、基本的に全員に発言権・投票権が認められます。(未成年者など、有権者に含まれない人もいます。)


別な例で考えましょう。

あなたは少々遠方 (自家用車で1時間半程度) の将棋大会に参加することにしました。会場は公共交通機関では大変行きにくい場所にあります。あなたは自家用車を持っていて、あなた自身が運転して会場へ行くつもりです。

近隣に住む A さん・B さんも同じ将棋大会に参加することを知ったので、あなたの自家用車に同乗させてあげることにしました。

A さんと B さんを同乗させてあげたら、A さんがこんなことを言い出しました。

「チンタラ走っていたら時間がもったいない。高速道路を使え。B さんもそう思うだろ? ほら、3人中2人が『高速道路』を選んだんだから多数決で決まりだ。日本は民主主義の国だからお前はこの決定に従わなければならない。逆らうのか? お前は民主主義に逆らう人間なんだな。まるで独裁者だな。」

この主張がおかしいことはすぐに分かるでしょう。「あなた・A さん・B さん」という3人の集団は強制団体ではありません。「自家用車に同乗させて会場まで送る」という契約に過ぎないのです。


町内会だと、こういう基本的なことを理解していないように見受けられる人が時々います。

障碍者へ町内会役員をやらせようとし、断られたら理由書を書かせ、結果として自殺に追い込んだ大阪の事件をご存知でしょうか。

町内会は任意団体です。強制団体ではありません。


将棋界はここまでおかしなことをいう人は少ないと思いますが、それでも「支部で決めたことだから、支部役員のお前は実行しろ」みたいなことを言い出す人がいそうな雰囲気は感じます。

最初だけは「支部の役員の成り手がいないんだ、できる範囲でいいから是非やってくれないか」なんて下手に話してくるのに、支部役員になったら「役員皆で決めたことなんだからやれ」のようになることを懸念しています。(まあ、支部だとそうひどいことにはなりませんが…)

任意団体は、「○○という業務・活動は担います。△△という業務・活動は担いません」というように業務・活動を個別に選ぶことができる状態が理想だと考えています。


以下は愚痴です。

「任意団体」と「権利能力なき社団」とが混同されていることも原因の1つかな、と考えています。

会社だと「社員」と「従業員」とが混同されていることに似ています。大きな株式会社なら、殆どの「社員」は従業員ではありませんし、殆どの「従業員」は社員ではありません。従業員は給与をもらい、社員は配当をもらいます。

政治用語だと、「独裁者」と「専制者」の意味の範囲、「民主主義」とその対立概念、といったあたりもよく理解されていない気がします。

将棋とあまり関係がない話が続いてすみません。最終的には県連の話に繋がるつもりなのですが、多分そこまで書けずに (将棋界の話まで到達できずに) 終わるような気がします。


私が住んでいる地域、及びその連合町内会は、全国でよく聞く町内会問題を抱えている割と平均的な組織だと思います。

以下、実態よりもちょっと悪く書いてしまうと思いますので、割り引いて読んで下さい。


単位町内会が集まって連合町内会ができています。私が住む地域の町内会の活動の8割は、(私の体感だと) 連合町内会から降ってくる業務です。もっと辿るとさらに上の連合や市役所から降ってくる業務が大部分なので連合町内会だけを責めることはあまり妥当ではないのですが、連合町内会の体質が問題解決を阻害している面もあります。

今は違うかも知れませんが、町内会の会長として私が連合町内会の会議に参加していた年度、既に「町内会の役員の成り手が足りない」という問題が強く顕在化していました。

で、その問題の解決方法として「連携を強化する」なんてことが出てくるのです。そう、金田淳氏の主張と同じなのです。

そうすると、その具体策として「新たに『協議会』を作ってそこで情報を共有しよう、だから毎月必ず出席すること」みたいなこととか「情報共有推進のために○○会議の出席者 (出席義務者) の範囲を広げよう」みたいなことになります。

考えてみるとすぐ分かると思いますが、これを推進すると役員1人が出席しなければならない会議数は増えるのです。つまり負担増です。

負担が大きすぎて役員の成り手が不足しているのに、その解決を題目に掲げながら更に負担を増やす、というのが連合町内会の思考でした。金田淳氏も同じ思考を持っているのではないかと思われます。


ものすごく大雑把に書きますが、「業務量」「1人あたりの負担」「情報共有度」という3つの値があって、連合町内会の方々は「1人あたりの負担」についての感覚がほぼないのだと思います。

実際、定年退職して自由時間が大量にある方が連合町内会の役員をしていることが殆どなので、自分の感覚で物事を進めているのだと思います。「1人あたりの負担」が問題なのに、役員の方々にはその感覚がほぼないわけです。

そうするとどうなるか。「業務量」を減らすことも検討しないので (役員の方々にとって「業務量」は不変であるべきなようなので)「情報共有度」を増進しようとします。でも自分たちが情報機器を使えないから会議を増やすことしか思いつかないのだろうと思います。


私が単位町内会の会長だった時、単位町内会の役員会は2ヶ月に1回しかなかったのに、連合町内会の会議が月1回、防災の会議が月1回、社会福祉協議会の会議が月1回あり、それらは町内会長が出る形になっていました。つまり2ヶ月で7つの会議があったのです。

まあ、町内会長が連合町内会の会議に出席することは妥当なのでそこは文句を言いませんが (それでも回数は減らしてほしかった)、残る会議 (月2回) は設計がよくなかったと思います。あなたが子育て世代の勤労者 (共働き) なら、土日も時々出張が入る状態で、配偶者も時々出張が入り、その状態で子育てしながら2ヶ月に7回の会議へ参加できますか?

すみません、訊き方が悪かったです。2ヶ月に7回の会議への参加は負担が大きすぎると思いませんか?


進むべき方向は逆なのです。

負担感が問題なのですから、「あなたが関わりたい行事だけ関わってくれれば OK です、例えば夏祭りの盆踊り担当なら昨年度は3回の会議だけでした」みたいにすれば多くの人が気楽に役員を担当してくれると思います。(自分が「取り組む価値がある」と感じる行事にだけ労力を提供してくれれば OK です。)

「誰かが役員をやらなければなりません、役員になったら年間30回の会議に出席しなければなりません、一旦役員になったら、町内会の業務をえり好みすることはできません」という運用をするから役員の成り手が減るのです。


今回は論じませんが、情報技術を活用すれば「1人あたりの負担」を激減させつつ「情報共有度」をあげることが可能だと考えています。

ただし、各人に情報技術を身につけてもらうための労力・時間がかかるので、すぐに実現できるわけではないです。

日本 PTA 全国協議会の前会長である金田淳氏は、「パワハラ」を理由に会長職を強制的に辞めさせられたようなのですが、その点はここでは触れません。(「パワハラ」が本当にあったのか、それとも金田氏が不当な処置を受けたのか、は私には判断できません。)

ただ、組織について興味深い発言がありましたので、それをここで取り上げようと思います。

ただ皆さんに私たちのやっていることがしっかりと伝わっているかというと、そこが弱いと考えています。そこで今年は発信力の強化を大きなテーマにしています。具体的には今年から日Pの広報誌の発行を年2回から3回に増やしました。

これは interview 記事なので金田氏の主張が充分に書かれているかどうか不明なのですが、客観的には広報誌の発行回数の増加はほぼ無意味だったのではないかと思います (担当者の負担増で終わった可能性も高いと考えています)。

こういうのって、全国の PTA 会員のうち何%が読んでいて、読んだ人のうちどれくらいが「有用だ」と感じていて、みたいな数値を元に、費用や労力が見合うかどうかを判断すべきです。広報誌の発行回数の増加が本当に改善だったのか、私は懐疑的です。

新体制のスタートにあたって今挙げた「発信力の強化」のほか、「情報連絡機関としての役割強化」「PTAを取り巻く課題の検討」「組織の透明化」「外部有識者等からの助言や提言」「800万人のPTA会員の皆さまから意見を集約するシステムを構築する」「ブロック会長会や各協議会との連携を強化する」「文科省や関係団体の取り組んでいる施策等について、分かりやすくPTAの皆さまに知ってもらう」「次年度、こども家庭庁との連携を強化する」「必要とされる日本PTAを目指す」といった改革案を示しました。

すみません、個別に論ずる時間はないので総論的な書き方をしますが、どんどん負担を増やして町内会役員を潰していく連合町内会の思考にかなり似ている気がします。(各論を書かずに批判することは良くない、とは承知しています。)

負担が 0 なら、全ての改革案は実現される方がいい内容であることは確かです。でも問題は、費用負担や労力負担が見合うかどうかなんです。

「ブロック会長会や各協議会との連携を強化する」なんてのはおよそ最悪の部類の提案だと思います。連合町内会でも、役員の成り手が減っているからもっと連携を強化しないといけない、みたいな論調がありました。でも、連携を強化するには労力負担が伴うのです。効率化・電子化を強力に推進した後ならそれも可能かも知れませんが、連合町内会の方々は古くて非効率な手法のまま更に仕事を増やそうとしてきたので、なおさら役員の成り手が減っていきました。


PTA って任意参加の団体なのに、事実上の強制参加の団体として運用してきた校区が殆どで、そういう (はっきり違法とまで言えなくても) 問題が大きいまま現在まできてしまいました。

勝手な予測ですが、日本 PTA 全国協議会はあと数年でもっと多くの加盟団体が抜けていくと思います。20年~30年後も数県くらいは残っていると思いますが、大筋として衰退路線に入ってしまったことは間違いないと思います。

東洋経済の記事の書き方がどこまで妥当か分かりませんが、この記事の全国大会部分を読む限り、費用対効果 (負担対効果) の感覚を失っている団体に見えます。


うまく表現できないのですが、組織の構成原理みたいなものが歪んでいると、そのしわ寄せが誰かに向かいます。

ちょっと PTA の調べ物をしていたら、全国 PTA 連絡協議会という web page を見つけました。

page 右端の menu を見てもらうと分かるのですが、かなりすごい効率化・電子化の提案が出ていてびっくりしました。

「あれ、PTA の全国組織って、古い体質でとても悪名高いんじゃなかったっけ?」と思ったのですが、よく調べたら別組織でした。悪名高いのは日本 PTA 全国協議会です。

東洋経済の記事に比較表が載っています。


PTA は基盤法令を持たない任意団体ですし (非強制団体という意味です)、組織体質を改善することができずに東京都 PTA 協議会に逃げられているので、我々将棋界から見るとある意味参考になります。

過去の日本 PTA 全国協議会会長はひどい発言をした人が何人もいたと記憶していますが、今の会長はそう悪くはない印象です。間に合うかどうかは抜きにして、時代に合わせて変わっていこうとしているのだろうと推測します。

次回も PTA 組織の話を書きます。

北野高校囲碁将棋部による提起を取り上げます。

最初にお断りしておきますが、高校生にしてはかなりよく論点を整理していると感じておりますし、本音を言うと高校生の主張をこういう形で取り上げることはあまり気が進みません。ただ、将棋界で時々見られる主張と同じに見えますので、取り上げさせてもらいます。


提起 PDF から振り駒に関する部分を引用します。(強調は私。)

現状、各大会個人戦の予選は4人が総当たりでリーグ戦を行う方式で、1つのリーグにおいて上位2人が予選を通過するという形式が採られています。しかし、3人が同率で並んでしまった場合、振り駒で予選通過者を決定されています。選手は将棋を指しに来ているのですから、将棋の勝敗以外の方法で敗退させられては困ります。代替案といたしましては、2勝通過2敗失格方式の予選に変更するなどの将棋の勝敗によって結果が決まる方式に変更して頂きたいと思います。

この主張、時々見かけます。具体的には以下の2種類に分類できるかと思います。

  1. 敗退決定 (敗退者の最終局) だけは将棋の勝敗で決めるべきだが、それ以外 (最終局以外) は将棋の勝敗以外の要素が入っても構わない。
  2. 敗退 (の要素) は将棋の勝敗 100% で決めるべき。

前者の場合、例えば極端なパラマス式を提示されても文句はないはずです。何しろパラマス式は対局で負けなければ敗退することはないのですから。

後者の場合、参加者が奇数の場合の不戦勝 (を決める籤引き) も認めないのですから、(2の冪乗など) ちょうどよい参加者数でない限り総当たり戦にせざるを得ません。


結局、総当たり戦以外の方式の殆どの場合、籤引きなど将棋の勝敗以外の要素を持ち込まざるを得ません。最終結果 (府代表選考など) に対する対局結果の寄与度を限られた resouce (時間、人員) でどうやって最大化するか (と同時にどうやって棋力を反映しやすい対局設定とするか)、という問題なのです。

現行の方式に問題があって新しい方式を提案するのであれば、現行の方式と比較して新しい方式がどう優れているのかを数理的に説明する必要があります。

また、これは私見なのですが、2勝通過2敗失格方式はそこそこ悪い方式であると考えています。2勝通過2敗失格方式自体が問題なのではないですが、私が見てきた範囲では2勝通過2敗失格方式は例外なく籤運による優勝確率の分布の分散が大きめに設定されています (もっと公平な大会にできるはずなのに公平度が低い大会設計をしています)。


数理的な説明を高校生に求めることは酷かも知れませんが、将棋大会というものは限られた resource をどう割り振って目的を達成するかというものですから、「将棋の勝敗以外の方法で敗退させられては困ります」という曖昧で感情的な主張だけでは運営側も困ると思います。

例えば「棋力の高さがなるべく結果に反映される大会」にしてほしいと思うのであれば、まずはそのことを文章で明らかにしなければなりません。これを明らかにすることで、 A 方式の棋力反映率は○%、B 方式の棋力反映率は○%、だから B 方式の方が優れている、のような議論ができます。

府中高選手権の要綱を読むと、「学校教育活動の一環」としての大会であると明記されています。これは必ずしも「棋力の高さがなるべく結果に反映される大会」に一致するとは限らないと思います。全勝すれば府代表になれる、という点くらいは担保されていると思われますが、それ以外の点は「学校教育活動の一環」としてふさわしいかどうかで判断されるのでしょう。


どうしても府中高将棋連盟の大会方針が気に食わなければ、自分達で組織を立ち上げて相応の大会を運営し、主催者 (または全国大会の主管) から府大会を委任されるくらいの実績を積めばよいと思います。

学校が会員となる中高将棋連盟ではなく、生徒が会員となる中高生将棋連盟を立てれば、中高教員の言い分など聞く必要がなくなります。もし自分たちが未成年であることが心配ならば、法人にしてしまえばよいでしょう (未成年者でも法人役員になれます)。


ここまで色々書きましたが、高校生が自分の主張をはっきり表明することは良いことだと考えています。主張の内容には賛同できないことがありますが、主張していること自体には称賛を送りたいと思います。

表題の件、報道1つ目

名古屋市立小学校の部活動で、指導を委託した業者が研修を受けていない指導員を派遣するなど、ずさんな対応をしていたことが明らかになりました。

報道2つ目

関係者への取材で、保護者からは「部活動の指導に毎回、違う指導員が来る」「音楽の器楽で来た補助の指導員が音楽の指導ができない人で、ただ見ているだけだった」などの情報が寄せられているということです。

名古屋市とこの業者とがどういう契約を結んでいたのか、が気になります。

仮に「指導員は研修を受けた者に限る」というような内容の契約であれば業者が契約違反ですが、そうでなければ保護者の過剰要求になります。

「補助の指導員が音楽の指導ができない人」という声が取り上げられていますが、名古屋市の情報を見る限りでは「補助の指導員」じゃなくて「運営補助者」ですから (運営を補助するのですから) これは保護者の要求が過剰である可能性が高そうです。


まあ、基本的には業者側が契約違反をしている可能性が高そうに見えますが、私は契約金額も気になっています。

名古屋市内には小学校が267校ほどあるようで、それらの小学校で週に4日間 (火曜~金曜) 毎回3時間の部活動を任せる契約だとすると、いくらくらいが妥当なんでしょうね。

「この業者、金をもらっておきながら契約違反をしている」と批判するのが妥当なのか、それとも「市はこれっぽっちの予算しか出していないのに、その範囲内で頑張っている業者を保護者が叩いている」状況なのか、契約金額によって私の見解は変わりそうな気がします。


名古屋市の教育予算も潤沢ではないでしょうし、契約金額が少なくても名古屋市を批判するつもりはありません。ただ単に、業者が一方的に叩かれる記事だったので、それに見合う契約金額だったのかどうか気になりました。

以前書いた「将棋大会申し込み忘れ事件」に関連して、条件を勝手に仮定して考察してみようと思います。(現実的な条件じゃない可能性が高いですが、ご容赦下さい。)

  • あなたは県の高校文科系部活連合の将棋担当者です。(実際の高文連と同様の物を想定しています。)
  • あなたの県には260校の高校があり、そのほぼ全てがこの連合に所属しています (連合の会員は高校生ではなく高校です)。
  • あなたは、1年に1度、連合の将棋大会を開催しなくてはなりません。
  • 将棋大会には例年60校程度、240人程度の参加があります。
  • 将棋大会の会場については、連合所属の高校が激安で快く貸してくれるので、選定に困ることはありません。また、充分な広さ、充分な数の机・椅子があります。
  • 連合は充分な数の盤・駒・対局時計を所有しています。
  • あなたは連合の専任職員ではありません。連合には専任職員が存在しません。
  • 将棋大会へは高校が参加を申し込みます。高校生ではありません。
  • 将棋大会の要綱、及び締切日時は全ての会員高校が知ることができる状態になければなりません。
  • 将棋大会へ高校生を引率してくる各校の教員 (60人程度) に依頼すると、将棋大会当日朝早めに会場入りして運営を手伝ってくれるので、当日の運営人員は気にしなくて良いものとします。
  • 大会当日以外の各作業には人件費が発生します。「○月○日○時から○まで」と日時を指定した場合の人件費は1時間1500円 + 交通費 とします。一方、「○月○日までに仕上がればよい」という作業の場合 (依頼から締め切りまでに4週間以上の猶予がある場合)、会員校の教員が引き受けてくれるもの (空き時間に取り組むので無報酬で良い) とします。
  • 将棋大会の参加申し込みの取り消しは2週間前まで受け付けるものとします。
  • 過去に高校による参加申し込み忘れ事件が新聞や TV で取り上げられて強く批判されたため、参加したい高校生は「自分の高校が本当に参加申し込みをしたのかどうか」をほぼ随時確認できるようにする必要があります。

こういう条件だとしたらあなたはどういう運営をしますでしょうか。

さすがに当日の参加受付を考える人はいないと思います。

では、どういう形で参加申し込みを受け付けますでしょうか。

電話で参加申し込みを受け付けるとすると、電話番が必要です。これは時間を指定する拘束になるので、1日8時間として12000円の人件費が発生します。2週間の申込期間なら (平日だけ受け付けるとしても) 受付係だけで人件費12万円です。

往復葉書で受け付けるとなると、電話ほどではないものの、かなりの手間です。

e-mail 受付は上記よりははるかに省力化できます。ただし、e-mail は「送信したのに相手に届かない」という現象を完全に防ぐことができない仕組みであるため、参加申し込みを受け付けたという返信をしないと、高校側は本当に申し込みができたかどうか確認できません。そのため、それなりの手間がかかります。

そして、上記の方法は全て、参加取り消しの処理が結構大変です。

ですので、参加申し込みは web 受付1択が適切だと思います。


それに加えて、前年度参加した高校が今年度申し込みをしていない場合に、わざわざ連合から「今年度の参加申し込みがないのですが、本当に参加しないのですか」と確認する作業を増やすべきかどうか、考えてみていただきたいです。

期限までに申し込まなくても連合が必ず確認してくれるとなると、期限までに申し込む高校の数は激減するでしょう。私の予想ですが、ヘタすると参加したい高校の7割くらいが期限を守らなくなるように思います。学校数で言えば40校程度です。

電話をかけても高校側の担当者がなかなかつかまらないでしょうから、電話をかける回数は約80回。1回3分間の通話だとして4時間の労働、人件費で言えば6000円になります。

また、締切を守らない高校が本当に不参加かどうかを連合側が全て確認しなければならないとなると、連合側担当者の思考の注意容量をそれなりに費やしてしまいます。これは金銭に換算しにくい負担ですが、結構嫌な負担です。


やはり、どう考えても web 申込受付が最善である気がします。web 申込受付であれば、以前も書いた通り参加したい高校生自身が申し込みの有無を確認でき、申し込みがなされていない場合は自校の担当教員に督促することができます。つまり、連合側から参加意思の確認が一切不要になるのです。

そういうやり方に思い至らない古い人が連合事務を取り仕切ったりすると、いつまで経っても非効率な方法から脱却できず、人件費がやたらとかかる方法か、会員校の教員の負担がとても大きい方法か、いずれかしか選べないように思います。