囲碁界に対しても将棋界に対しても失礼なことを書きます。
どちらも、長期的には競技人口の減少に歯止めがかかっていません。
その上で、「今の囲碁界の姿は数十年後の将棋界の姿ではないだろうか」と考えて囲碁界に注目しています。
競技人口が少なくなった時にどういう方策が有効で、その結果として何が得られるのか。先行事例として参考になります。
失礼ついでに、鉄道会社の話をします。
阿佐海岸鉄道という会社があるのですが、この会社、設立してから34年間ずっと連続赤字だそうです。年間の収入が1600万円程度なのに年間赤字が8000万円以上出ています。
さらに、2026年5月下旬からずっと全線運休中です。
しかも…個人 blog からの引用になりますが…
高齢者を中心とする地元の方は皆さん路線バスを利用しており、DMVを日常的に利用される方はほとんどないものと思われます。
という推測も多分当たっているでしょう。
こう言っては何ですが、これだけ赤字を出しながら営業を続ける鉄道会社ってのは、他の鉄道会社の参考になっているのではないかと思うのです。阿佐海岸鉄道はこの路線しかないので、「(大阪の御堂筋線のような) 別路線の黒字によって当該路線の赤字を埋める」なんてことも不可能です。
別のところでヨイショ記事っぽいものも見つけました。
DMVの視察を目的に訪れるビジネス客や観光客も増えていることから、「DMV目的の利用者」を別途加算し、年間75,000人の利用客を見込みました。ちなみに、2019年の阿佐海岸鉄道の年間利用者数は52,983人ですから、おおよそ4割増える計画です。
また、収支予測では約5,400万円の赤字と予測。これまでの約6,848万円(2012~2019年の平均)と比べて、1,400万円以上改善すると見込んでいます。
一見すると、DMVを導入しても赤字に変わりありません。しかし、車両自体が観光資源になるDMVなら、観光客などの増加にともなう経済波及効果が期待されます。協議会では、その効果についても予測。おみやげの販売、飲食、宿泊など、地域にもたらされるトータルの波及効果は、約2億1,400万円と推計されました。
ちなみに、DMV導入事業に要した費用は、約16億3,200万円です。イニシャルコストに年間赤字額を含めても、経済波及効果によって約10年で回収できる計算です。
いやいや、経済波及効果ってのは利益じゃなくて収入 (というかお金が動いた金額) だから、「回収」なんて概念には決して結びつかないんですよ。
思い込みが激しくて現実が見えなくなっているのかなあ、と心配になります。
数値自体も現実離れしていて、実際には年間赤字自体が1000万円以上拡大しています。
私は交通機関の専門家ではないので頓珍漢なことを書くかもしれませんが、固定費とか変動費とか輸送効率で考えると、適した交通機関ってのはかなり限定されるはずです。
恐らく、複々線鉄道 > 複線鉄道 > 単線鉄道 (電化) > 単線鉄道 (非電化) > monorail > 路面電車 > 普通の bus > on-demand bus というような関係になっているでしょう。都市圏人口に合わない交通機関を選択すると、ものすごく赤字を垂れ流すことになります。
さらに、DMV という珍しい乗り物によって遠方から観光客を呼び込むことを期待しているようですが…他の交通機関が使っていない乗り物を採用すると、保守費用がバカ高くなるはずです。
地元の人が阿佐海岸鉄道を殆ど利用していないと仮定するなら、阿佐海岸鉄道の株主である徳島県・海陽町・高知県・美波町は観光客のために毎年8000万円以上ものお金を垂れ流している、と言っていい状態な気がします。
鉄道って、かなりの規模の都市圏じゃないと成立しにくいです。大量の貨物輸送需要があるとか、国土防衛のために防衛費で維持するとか、そういう事情があれば旅客が少なくても成立する可能性が高いですが、そうでなければ多額の固定費ばかりかかる存在になります。
この記事を書いた理由は、日本棋院と似たような立場にある気がしたからです。
都市圏人口に合わせて交通機関を選ぶように、日本棋院は囲碁界規模に合わせて棋士数を調整すべきと感じられます。