INTERNET で調べ物をしていたら、忘年会幹事の話題が目につき、ついそっちに目が行って色々読んでしまいました。
1つ目の呟き。
そしてやってみて初めて理解した。
・人数調整は地獄
・急なキャンセルで店に頭を下げる
・直前で席が埋まる
・料理の好みは全員違う
・誰も手伝ってくれない
なんか、将棋大会・例会の運営と似ている気がしてきました。
特に、人数調整が地獄なのが似ている気がします。
…いえ、ちょっと違いますね。忘年会と異なり、人数が予定より減る分には問題ありません (参加申し込みしていた人が来なくて不戦敗となっても誰も運営に文句を言いません)。一方、人数が増えた場合は調整が極端に難しくなり、それに失敗すると恐らく何年間も (または何十年間も) 非難されるでしょう。
2つ目の呟き。赤字・青字は私。
私は限界まで全員に気を使うのに、一部参加者はそれが当たり前になって幹事を粗末に扱うのが出てくるの。幹事は参加者に尽くして当然、幹事の存在は二の次、些細なミスを「次回に生かして下さいね」と採点される。やってらんない
この「幹事」を「大会運営」に置き換えたらちょっと将棋界と似ているかも知れません。
因みに、「大会運営の存在は二の次」を英語混じりの言葉で表すと「選手ファースト」となります。「選手センタード」(選手になるべく配慮する) とは異なる概念です。
この blog をお読みの皆さんが職場の忘年会 (20人~35人規模) の幹事をするとしたらどういうやり方にしますか?
- 店はどうやって選びますか? 日程はどうやって決めますか?
- 参加者は事前申込にしますか? それとも店だけ確保して当日申込にしますか? 35人で店を予約して20人しか来なかったら、15人分はあなたが負担しますか?
- 「参加する」と言っていたのに当日来なかった人がいたら、その人の分はあなたが負担しますか?
- 忘年会の途中で帰宅する人のお金を確実に徴収することはできますか?
- 参加者が店に集まってから実際に忘年会を開始するまで、何分間くらいが許容範囲だと思いますか?
私はそもそもお酒の場が好きではないのですが、もし忘年会幹事になったら以下のようにやると思います。
- お店はこちらで数店舗だけ候補に挙げ、「私の代わりにあなたが幹事になれば、別の店を選ぶことができます」と言います。
- 日程は候補をいくつか挙げ、参加の可否だけを最初に集計し、日程が確定したら事前申込の受付を開始します。
- 多分、2~4週間前を参加申し込み締め切りにして、「締め切り日を過ぎたら参加費が発生しますが、自分の代わりに参加する人を自分で見つけてきたら参加費は発生しません」とします。
- お金は原則として現金ではなく PayPay などで集めます。tracability が全然違います。(現金過不足が発生したらとても大変です。)
- 現金のやり取りがなければ、参加者が店の前に集まってから座るまで10分間くらいでしょうか。まあ、職場の人はみな大人ですから、子どもと違って少々待たされても大丈夫かと思います。
色々と責任を分散しているのが分かりますでしょうか。
店選びで自分の提案をしたい人は私の代わりに幹事を引き受けなくてはいけません。幹事を引き受けないなら、店について文句を言うことができません。(店選びについて私の責任がなくなります。)
参加申し込みには締め切りを設けているので、参加申し込みをするかどうかは参加者の責任です。また、締め切りを過ぎたら参加費が発生することを明言しているので、参加を取り消しても参加費は負担することとなり、幹事が負担することになる可能性はありません。
お金のやりとりは tracability を重視しているので、基本的に現金過不足が発生しません。
将棋大会の運営も、基本的な考え方は似ているとおもいます。
systematic な運営をすることで責任を分散する、という方針がとても大切です。
その方針の根幹をなすのが、完全事前申込制です。(当日申込制でも運営できる地域はそれでもいいと思いますが、それだけの力がない地域は完全事前申込制しか選べません。) 事前申し込みもせずに当日いきなりやってきた人が参加できなくてもその人の責任です。事前申込した人が当日やってこなくてもその人の責任です (不戦敗になるだけなので、他の参加者は誰も文句を言いません)。いずれにしても運営の責任にはなりません。
当日申込制は、そういったあたりのことについて全て運営側が責任を持つ方法です。20人分しか予約していない忘年会を当日申込制にして、実際には35人やってきた場合、溢れた15人を12月の屋外で (2次会まで) 2時間待たせますか? 当日申込制にするということは、そういうことです。
実際、過去に私の県では、50人程度の部屋しか確保していなかったのに70人くらいの参加者が来たことがあります (その時は私は運営に携わっていませんでした)。たまたま公民館の空き部屋があったのでそこを借りて対応していましたが、もし空き部屋がなかったら幹事のあなたはどうしますか? 溢れた20人に対して「お前たちは将棋大会に参加することができない」と言い放ちますか? 当日申込制にするとは、そういうことです。
忘年会幹事も、将棋大会運営も、いかに責任を分散していくか、人数などの変動要素をいかに事前に確定させていくか、がとても大切です。大会運営員の人数も限られ、みんな平日の勤務で時間に余裕がない中で大会運営準備をしているのです。その上で更に当日申込制を望むことは、(忘年会幹事を粗末に扱うことと同様) 大会運営員を粗末に扱うことと同じです。大会運営員が「やってらんない」と感じるのも必然でしょう。
当日申込制を実施する力がない地域で当日申込制を採用したら、その地域の将棋界が廃れていくことは間違いないと思います。少子化と娯楽多様化が将棋界衰退の2大要因だと思いますが、当日申込制はこれに次ぐくらいの大きな衰退要因だと考えています。
私が当日申込制にとても強く反対する理由は以上です。幸いなことに、今の私の支部の役員には当日申込制を主張する人はいません。