ふと考えることがあります。わが県の人口過疎地域で将棋を普及させるにはどうしたらいいか、と。
例えば、全校生徒3人の小学校があったら、そこの小学生が小学校団体戦に参加するには全校生徒を説得しなければなりません。仮に会場まで公共交通機関で4時間かかるなら、前泊が必要になるでしょう。そうすると保護者の説得も容易ではないと思います。
多分、私がいくら考えても、そういう地域の実態に正しく思いいたることはできないと思います。
将棋 communities に関して私が知っている範囲は、500円圏人口が500万人くらいいそうな「大阪」から500円圏人口が数万人の地方都市までです。規模面の上方については「東京」の実態は知りませんし、規模面の下方については500円圏人口数千人の町の実態も知りません。
ですから、私は私が知っている範囲の人口集積度の (都市圏の) ことしか意見が出せません。息子が小学生の頃は大阪府の大会や教室へ何度も連れて行ったのでその辺りの将棋普及状況 (というか、大会を開いたらどれくらいの人が集まるかというような感覚) は少々は分かりますし、県内の将棋状況はそこそこ詳しくなってきました。でもやっぱり、自分が見ていない人口集積度の将棋 communities については分かりません。
勘違いする人がいるかも知れないので、書いておきます。考察すべきは「市区町村の人口」ではなく「都市圏の人口」です。例えば北海道北見市は東京都千代田区の 1.7倍 くらい人口がありますが、じゃあ千代田区で将棋大会を開くよりも北見市で将棋大会を開く方が人が集まるかと言うと全然そんなことはないはずです。
都市圏だとちょっと広すぎるので、500円圏人口で考えています。
更に言うと、自転車行動圏が広い平地型大都市は、小学生を集めやすいです。保護者が「勝手に行っておいで」というだけで自転車で会場まで来ることができるからです。
これも、平地型大都市に住んでいる方に知っておいてほしいです。上り坂を自転車で 1km 移動するのと、平地を自転車で 2km 移動するのとでは、どちらが楽ですか。圧倒的に後者が楽でしょう。
そういう都市は将棋普及に関してものすごく恵まれています。将棋大会だけではなく、日常的に将棋の場を設けることも比較的容易だろうと思われます。
坂道が多い地域は、移動の基本が自家用車か公共交通機関になるので、保護者同伴が基本になりやすいです。
ここをお読みの皆さんのお住まいは、500円圏人口がどれくらいですか? 平地が多いですか? 小学校高学年男子が自転車でできる範囲が仮に 5km だとすると、お住まいから 5km 以内の平地 (自転車での移動があまり苦にならない範囲) にどれくらいの人口がありますか?
日本全国を500円圏人口順に (または 5km 平地人口順に) 並べたら、皆さんのお住まいはどこに位置しますか? 東京・横浜・名古屋・大阪といった最も恵まれている地域から、全校生徒数人の過疎地域まで、ズラッと並べることができます。大切なことは、都道府県や市区町村の人口で考えることではなく、都市圏の人口 (や500円圏の人口) で考えることです。人口が7万人にも届かない千代田区は、都市圏で考えれば国内最大の都市圏の中央に位置しています。
徒歩移動がどれくらい容易か、も地域それぞれです。私が住んでいる場所の小学校区は、自転車に乗っている子どもをあまり見かけません。平地がない坂道地域だからです。校区内に公民館はありませんし、最寄りの公民館も保護者の付き添いなしに行ける場所ではありません。町内会の集会所もありますが、「会計担当者へ申し込みをして代金を払う」「鍵担当者から鍵を受け取る」「鍵担当者へ鍵を返却する」ということを日中にやらないといけません。集会所の鍵が有限個である関係上、鍵の受け渡しが可能な日は制限されており、鍵担当者が不在な場合は何度も訪問しないといけません。勤労世代が簡単に集会所を借りることができない状態になっています。