備忘録(byエル) -30ページ目

月夜の晩は

先日、7月の満月の夜のこと。


近くの絵本屋さんで、ライブがあった


「セロ弾きのゴーシェ」の朗読と、チェロの生演奏。


木でできた山小屋みたいなお店に淡いオレンジの照明をともし、長嶺知永子さんの朗読に耳を傾ける。


チェロの音色のその表現に悩む若者が、夜来訪する動物たちの魂との掛け合いの中、心に溢れる音を表現として掴んでいくという、有名なお話。


動物は必ずしも、かわいいものではなく、郭公などはガラス戸の身を打ち付けて血まみれになったりもする。


日本の芸能者が、とり憑かれる宿神のような感じなのだろうか?蹴鞠をしていると猿の精霊が降りてきて、一緒に鞠を蹴り、競者を勝利に導く・・・というような話を読んだことがある。


チェロの精霊??なのかもしれない。


芸術には、現実とは違う、もう一つ見える世界があるのかもしれない。


そんな物語を、チェロの生演奏で聴く。

  ベートーベンの田園。バッハのチェロ曲。そしてシューマンのトロイメライ・・・


帰り道は、満月の光の中。


不良の友人と二人。


まっすぐ家路に着くわけもなく・・・


秋に予定している地元の「アラブ音楽のライブ」の打ち合わせと称して、会場となるブティックに立ち寄る。

お店はすでに閉まっていたが、オーナーは帰り支度の最中。その足を止めさせて、少し喋る・・・・



帰り道は、満月がもっと上空に・・・


不良の友人と二人。


それでもまだ、帰れない気がする。


住宅街に、一軒だけある「焼き鳥屋」で飲むことにする。


朱雀・・・ってお店。



いつものように、ウダウダ喋りつつ、ビール飲みつつ・・・更けていく夜に、隣の席にいたおじさん二人から声をかけられる。


お二人は、地元にある、ちょっと先進的な老人介護施設の、理事さんたちで・・・


市会議員でもある不良の友人も含め、話が盛り上がる。


地域に解放された福祉施設のあり方とか・・・朱雀って手作り感の強いそのお店の進路とか・・・焼き鳥屋さんの若い店主も一緒になって、話し込む


合間に、おじさんの吹くハーモニカに合わせて、懐メロ歌ったり・・・・


満月の夜はどんどん更けていく.。


夫にお迎え頼んで、家についたら、すでに日付は変わっていた。



満月。芸術。福祉。食。酔い・・・


ちょっとええ夜でした。

7月の夜

久々、窓から涼風が吹き込む夜。

くちなしの花の香りがリビングに立ち込めて・・・

こんな夜は、テレビを消して、音楽でも・・・

ZAZ 「モンマルトルからのラブレター」  

まだ、大丈夫。ため息がつけるやん~



http://www.youtube.com/watch?v=AQ9zeDd0mpg&feature=youtu.be


映画「阪急電車」

先週、近くのショッピングモールにある映画館で、「阪急電車」を観た。


原作は有川浩という人の同タイトルの小説らしいが、私はその作家ものことも知らず、もちろん小説は読んでいない。


大学時代のなじみの路線だった「阪急電車」が映画になっているのと、岡田恵和さんの脚本だという情報で、なんとなく映画館に足を運んだのだ。


映画は、阪急今津線の沿線で暮らす女性たちの物語。


こども、高校生、大学生、20代前半、30代、中年、そして老年期を迎えた・・・様々な女性達が、様々な「しんどい」思いを抱える日常に、必然的に利用する「電車」という箱の中で、なにげにすれ違っていく。


すれ違っていくのだが、ふとしたきっかけで、すれ違いが、すれ違わず、ぶつかっていくのだ。


その「きっかけ」の設定の仕方が、自然で違和感がない。

原作がそうなのか、岡田恵和マジックなのかは分からないのだけれど・・・・


隣り合わせに座る他人の人生の、ほんの一瞬に見える「せつなさ」に、寄り添い、抱きしめる・・・そんなことができたら、やはり美しいなぁ~と思わせる。


「泣きなさい。あなたは悪くないのだから泣いてもいいのよ」

という宮本信子さんの台詞に、この映画の主題があるのだろう。


泣いてもいいよ。


そう、映画が言ってくれている。


なので、気づくと涙があふれてきた。

泣いてもいいのだ。

私のこの日常の数知れぬ 「すれ違い」 や 「行き止まり」 や 「むなしさや」・・・そんなものを涙にして流しても、許されるのだ。


映画館の暗闇の中、私は私を抱きしめて、オイオイ涙を流していた。



「けれど、自分で涙を止めれる女になりなさい」

とは、また宮本信子さんの台詞。


映画館の暗闇から、日常に戻るその時には、涙はぬぐっていきなさい。


思うに、今を生きる女は「しんどい」のだ。


時代は女に「甘え」を許さない。


女としてではなく、「人間」として生きることを求めている。


同時に、時代は女を「人間」として認めるところまで成熟してはいない。


自分の足で、自分を抱きしめて、スカっと前を向いて生きる決意ができないことも「しんどい」し、でも、凛と前方を捉えて生きる女もまた、「しんどい」のだ。


だから、時々、泣いてもいいよ。


映画「阪急電車」は、究極 「女を泣かせる」 作品です。

しんどかったら、泣くために映画館の暗闇をご利用ください。って、そんな映画です。