ちわ。
今日は昨年、大学の研究室のみなさんにも協力して頂いて個人的に作ってたへんてこネタについて書きます。
私の住む東京・神奈川は桜も散り、立派に春がやってまいりました。
日中なんぞ、ちょっとした半袖シャツの出番もあるような陽気です。
とは言え、まだまだ寒暖差もあって鼻やら喉やら壊す季節。
着るものもなかなか難しいですね。
この春が終わると次は夏がやってきます。
熱い、暑い季節です。
たぶん。いつもどおりなら。
私、すげー汗っかきなもので、夏になると皮膚呼吸の両生類みたいになってしまいます。
湿ります。どうがんばっても。
特に自転車なんか有酸素運動です。
体中じんわりあたたかく、それが夏場とくりゃあ、良い汗かいちゃうわけです。
すごい量の。
ところで。
通学やらなんやら、移動の手段として自転車に乗ると、当然の如く荷物があります。
私の場合、自転車で荷物を運ぶとき、たいていはバックパック(リュックサック?)と、メッセンジャーバッグを使っています。
要は背負っています。
春夏秋冬それで通して居るわけですが、夏場は当然背中がぐっしょりします。
リュックでもメッセンジャーバッグでも。
立ち漕ぎするとずれるメッセンジャーバッグ、ずれにくくしようとバンドを締めると当然背中と密着しますから、今度は背中がぐっしょりしてしまう。
もとよりズレにくいのはリュックサック。
ですが、私が持ってるのは背中の通気性良くないのでぐっしょりします。
それと、イイカゲンに荷物を突っ込むと背骨の出っ張りに擦れて痛い。
たまたまですが、そのどちらもボロボロになりました。
リュックに至ってはこのブログを始めた中学2年生の頃から背負ってますから、今年で8年めですか。
ノースフェースのバックパックは防水の表皮がボロボロに。
浪人中に買ったからこちらは6年目。
んでこう、新しいのを買おうかとも思って調べたら、使い勝手よく自転車と相性よく、カッコイーバッグは1万円くらい。
ここで、ん??と。
1万円あったらリュックって自分でもつくれんじゃねーか?と。
思っちゃったんでしょうがない。
せっかくならなんか作ってみようと。
ちなみに、自転車側にキャリアつけたりする選択肢はあえて無視します。
自転車にあんまりいろんなもん付けたくないのと、自転車と電車を組みわせて通学してる都合上、リュックが欲しい。
ちなみに自転車にキャリアつけちゃえばいいや派にはオルトリーブから「背負えるパニアバッグ」が出てます。
ORTLIEB オルトリーブ VARIO QL3
輪行旅行なんかするようになったら欲しいなぁ。
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もとい、現状のボロボロバッグの不満点をあげます。
背中あつい
あせぐっちょり
バッグ内のものが背中にあたって不快
ボロボロ
重いもん運ぶと疲れる
内容量小さい
ダンシングしても振られる
荷物が左右にかたよる
ざっと列挙しただけでこれくらい。
要するに、いろいろと不快。
こいつらをどうにかしたい。
あーだこーだ落書きをしながら構造を考えます。
同時に自転車屋や登山用品店で展示されてるバックパックを片っ端から観察しました。
いろんなアプローチがあって面白いものです。
いやもう、そこで買ったほうが早いし、ものは良いし、作る手間考えたら安いのも知ってます。
満足度が高かろうことも知ってます。
ええ。
でも作ると、いろいろ分かると思うんです。
なにか。たぶん。
人間、生きてる間はほとんど何か持って移動するし。
いっぺん「荷物を運ぶ袋」を真剣に考えてみてもいいんじゃないかと。
こんな半分趣味みたいな事も個人プロジェクトとして認めて下さる今の研究室には頭が上がりません。
それから、実際に気になった製品のレビューも拝見。
店頭展示を見つけられませんでしたが、エルゴンのバックパックはすごいなぁ、よく考えて作られてるなぁって思いました。
腰に荷重を受け止めさせる構造を「ウェストポーチの巨大版」って書いてるブログをみつけて、なるほどと。
ERGON エルゴン BX3
他にも、肩ヒモを全面メッシュ張りにしてるドイター。ドイター Compact EXP 12
弓のような構造で肩と腰でしか身体に触れないジクトロ。
ジクストロ WINDPATH
上下に小さくして背中の肩の方に荷物をまとめ、ダンシング時の安定感がありそうなシマノ。
シマノ ACCU3D U-15
ほかにも面白いものがたくさんありました。
それぞれデザイナーさん、設計者さんが考えてる事が、製品に現れています。
面白いなぁって。
で、なんとなく落書きをしつつ、既成品の観察をしてる頃、ちょっとした実験をしてみたのです。
私です。
ガッコのジムにあるエアロバイクに乗っております。
友人に見せたら背中に角が出てて乗ってるフォームが変とのご指摘を頂いたので、はからずして自分の走行フォームを見直すきかっけにもなりました。
それはまぁ置いといて。
ぴっちりしたスポーツウェアのシャツに、一定間隔で丸いシールを貼りました。
それを映像で撮ると、背中のどこが動いてて、どこが動いてないのか、わかるんじゃねーかと。
本当はより実走に近いっぽい3本ローラーでやりたかったんですが、手持ちがありません。
研究室の廊下に3本ローラーを置いていたスポーツ運動解析の先生にお願いしたら、「初心者がイキナリ乗るのは危なすぎて無理」と丁重に断られてしまいました。
3本ローラー、恐ろしい子。
なので、仕方なく誰でも乗れるエアロバイクで実験です。
サドルの高さと、サドル先端からハンドルまでの距離だけ合わせましたが、普段乗ってる自転車といろいろ違うのは否めません。
自転車側ががっちり固定されてるから、実走とは全く違う結果が得られてもおかしくありません。
もしかすると全く無意味な事をしているかもしれません。
また、一見それっぽいですがモーショントラックとかそういうスゲー技術は全く使っておらず、あくまで視覚的に分かればいいやとの判断です。
テキトーであります。
撮影した映像をコマ送りにして何枚か重ねるとこんな合成画像が得られました。
赤丸でくくったあたり、どうやらほとんど動いてなさそう。
のこりの部分はペダルを漕ぐのにあわせ周期的な揺動をしています。
自転車で荷物を運ぶのに不快なことといえば、バッグがズレたり、身体の動きに遅れてついてくること。要するに漕ぐこと以外の筋肉を使わされる状況はつかれます。
仮に、この動かない3箇所に荷重を載せたら、バッグはズレたり揺れたりしにくいんじゃないかと。そうしたらどうなるんだろう?
理科室の怖い奴で有名な人体模型とか眺めた結果、どうやら肩甲骨のすこし下と尾骶骨のあたりが上の写真の動いてないエリアっぽい。
つまりサドルにのっかり、ハンドルに支えられてる部分。
ここにだけ荷重を載せるバッグって、なくない?って。
それちょっと面白くない?
更に、落書きの結果得られたいろんな考察や要求をまとめると、こんなかんじか。
これだけだとイマイチよく分からんので、小学生以来の工作用紙を買ってきて、切った貼ったしてなんとなくの形を考えます。
こんな感じのフレームのある背負子っぽいもの。フレームザック。
普段はそれにバッグ状のものがくっついてれば、いいんじゃないか?
はめるとこんな感じ。
なんとなく形が見えたので、作ってみます。
まずは身体に荷重をかけるパッド的なものをこしらえます。
上の画像で赤線でくくられてるのはなんとなーく描いてみたそのパッドの形状です。
これをふつーの紙に印刷して切り出します。
さらにそれを研究室にあったMDF板に貼り合わせ、同形状に切り出します。
ホムセンで買ってきた発泡ゴムのクッション材を切り出したMDF板の辺に貼っていき…
角をはさみでちぎって丸くして
こんな布とタッカーを買ってまいりまして…
引っ張りながらタッカで留めると、通気性が良いのかよく分からないパッドが完成します。
同じように肩用のも作りました。
で、実験の結果あんまり動かなかったとは言え、人間の身体に当たるし自転車降りても背負うのでこのパッドの固定に自由度をもたせようと
こんなキテレツなものを作って
こうしましたが、このキャスター利用作戦は後に没にしました。
必要なサイズ等を想像したら、試作じゃあ!と割りきってアルミ角パイプをガシガシ切断。
ペーパークラフトの段階ではMDF板あたりをレーザーカットでちょいちょいと作るつもりで居たのですが、思いの外レーザーカッターが遠いところにあったので自宅でできる軽金属加工で作ることにしました。
後述しますが展示に出す予定だったので突貫工事。
アルミパイプをリベット留めです。
部品なんかも作ったりして
弓鋸と電動ドリル、ハンドリベッターにボール盤バイス。
アルミ粉まみれになりながら3日間作り続けた結果…
こんなものが出来ました。
あらやだ、ペーパークラフトで思ってたのとだいぶ違う。
コレじゃない感あるぞ。
背中の丸みに対応する「くの字」になった登山用の背負子に、変なパッドがついた代物です。
もはや肩ヒモは作る元気がなかったので家にあったテキトーなのを拝借。
細くていかにも食い込みそう。
袋が無いのでメッセンジャーバッグをゴムひもでくくります。
で、できたぞ。
この状態でSFCの研究合同展示会であるORF2013に出させて頂きました。
製作が間に合わず最後の1時間半だけ…。
自転車ごと展示させて頂いたら、会場の自転車好きの方に興味を持って頂いていろいろお話伺えました。
多かれ少なかれ同じようなお悩みをお持ちの方は多いようです。
ひでぇ見た目ですがこれ、けっこう目論見通りに作れました。
背中とは前述の3点でしか接せず、触れてないので通気性抜群。
当然背骨にもあたりません。
腰を全く拘束しないので、自転車に乗ると使うらしい腰から背中にかけての筋肉に干渉しない。
登山用の背負子をパクった構造で「括れる限り大きいものを運搬可能」。
私、これでホイール2本背負って帰ってきました。
背中に円盤背負っててて、早期警戒機のE-2Cみたいな感じでしたよ。
肩甲骨下の左右のパッドで、思った以上に左右方向への安定感抜群。
肩ヒモをフレームの左右下端に引っ掛けるとダンシングしても全くブレません。
なるほど、左右への安定感はこうやって取るのか。
もちろん、試作一発目で全てがうまくいくわけもなく、いくつか改善点も見えました。
尾骶骨のパッドがおしりに刺さる。
肩のパッドは想像以上に自由度いらない。動いてない。
10kg背負ったらちょっと腰痛いからパッドの配置再検討した方がいいかも。
体格によって適切なパッド位置が結構違う。
アルミパイプラーメン構造?がゆえ、単体で2..5kgもある
などなど。
ただ、思ったよりいい感じだったので、改良して日頃使えるやつも作りたいなぁと思った次第です。
またそのうち。