豪雨災害の頻度が年々高くなり、気象庁は特に注意・警戒をよびかける用語として「線状降水帯」を用いている。
線状降水帯が発生した、あるいは30分先までに発生すると予測され、大雨による災害発生の危険度が急激に高まると「顕著な大雨に関する情報」が発表される。
気象に関するニュースでは線状降水帯を「活発な積乱雲が次々と発生し、それらが線状(帯状)に連なって同じ地域で長時間大雨が降る」と説明することが多いが、顕著な大雨に関する情報の定義はもっと厳格で以下の通り(気象庁のウェブサイトより引用)。
3時間の解析雨量が100ミリ以上になっている範囲が500平方キロメートル以上あり、その領域が「線状」、領域の直近の3時間雨量の最大値が150ミリ以上、など。
今日の午前7時以降、九州南部に次々と活発な雨雲の列がかかり続けた。
<9:00における雨雲の動き(気象庁による降水ナウキャスト)>
<9:00における気象衛星ひまわりの画像>
トゥルーカラー再現画像
雲頂強調画像
赤外画像
水蒸気画像
降水ナウキャストや衛星画像には、九州南部に帯状に連なる活発な雨雲(特に雲頂が高い積乱雲の集団)がかかっていることが示されているが、その時刻(9:00)の前にも後にも線状降水帯や顕著な大雨に関する情報の発表はなかった。
つまり、発表基準には達していなかったということ。
基準のうちの「領域の直近の3時間雨量の最大値が150ミリ以上」で確かめてみる。
アメダスによる9:00における3時間降水量
最も多いのは中甑島(鹿児島県)の93ミリ、次いで紫尾山(鹿児島県)の70ミリと基準以下。
鹿児島・宮崎県境にある「えびの高原」のアメダスは、午前0~12時の12時間雨量が200ミリに達した。
たとえ線状降水帯が発生しなくても、長時間の降水により総雨量が数百ミリに達し、災害が発生するおそれがあることは留意しておくべきだ。
他に、局地的に1時間に100ミリ前後の猛烈な雨がアメダスあるいはレーダーで観測された時は「記録的短時間大雨情報」が発表される。
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