九州北部の梅雨明けまであと少し。
福岡県の前回の豪雨と言えば、一昨年の8月。
今回も、今日までの4日間に集中的に降り、前回と同じく4日間の最終日の今日(10日)の降水量が最も多くなり、福岡県では朝から繰り返し線状降水帯が発生し、久留米市がある筑後地区を中心に大雨特別警報が出された。
雨が止んだのは夕方近く。
太宰府市と久留米市の4日間の降水量の推移 (単位: mm)
アメダス地点: 太宰府市大佐野、久留米市津福本町
太宰府市の降水量を前回と比べると、はじめの3日間はいずれも少なかったが、今日だけは前回(262.0 mm)に匹敵し、時間雨量で目立って多かったのは、4~5時の 77.0 mm と5~6時の 50.0 mm。
気象衛星ひまわりによる10日5時の雲頂強調画像(気象庁のウェブサイトより)
同時刻の日本周辺の風の流れと可降水量(リンク)
華中~東シナ海~九州北部~本州を通る大量の水蒸気の流れ(アジアモンスーン)があり、そこへフィリピンの東の海域から太平洋高気圧周辺部を巡る大量の水蒸気の流れの一部が風により合流していた。
太宰府市では住宅の浸水や土砂災害などの被害のニュースはなかったが、冠水のため10日朝から通行止めになっていた国分1丁目のアンダーパス(正尻・川久保線・紺町地下道)で、男性1人の遺体が見つかった。
一方、久留米市の降水量を前回と比べると、4日間いずれも少なく、最も多くなった今日でも前回の6割弱(前回は 294.0 mm)で、合計でも4割(前回は 762.5 mm)だったが、市中心部でも多くの場所で浸水や冠水の被害があった。
久留米市東部の田主丸町竹野で10日9時半頃に起こった大規模な土石流災害は全国のニュースになった。
竹野地区は耳納山地の麓にあり、耳納山に設置されているアメダスのデータは、10日の午前中に激しい雨が降り続いたことを示している(10日の総雨量は 376 mm)。
耳納山のアメダスが測定した10日の時間雨量の推移(単位: mm)
土石流が起こったのは、グラフのピーク(9時における時間雨量)の直後だったことが分かる。
追記(当記事掲載から14日後)
7月24日、久留米市の原口市長の会見から。
久留米市全体の被害状況の把握にはまだ時間がかかるが、約 3700 棟の家屋が浸水し、うち、床上浸水は約 1200 棟にのぼり、特に田主丸地区で被害が多い。
また、土石流の被害を受けた住宅は約 500 棟。
農業や商工業への被害は過去最大規模になる。