話は最初から脱線、「新潮社」関連で。まずは飯田橋からスタートし、神楽坂で食事をして、さらに上り続けると、左側に「LA KAGU」があります。東京メトロ「神楽坂駅」のすぐ前です。これがのんびりとした、穴場的なスペースです。もともと新潮社の倉庫があったところ、倉庫をそのまま使いながら、新しいショップに変更しました。
ミレーナ・アグスの「祖母の手帖」(新潮クレストブックス:2012年11月30日発行)を読みました。直接のきっかけは、映画「愛を綴る女」を観たことによります。つまり、「祖母の手帖」は、映画の原作本だったというわけです。
新潮クレストブックスとは
新潮クレストブックスは、海外の小説、自伝、エッセイなどジャンルを問わず、もっとも優れた豊かな作品を紹介するシリーズです。
僕はざっと、以下のような本を読んでいます。
(リンクは貼りませんが…)
・「階段を降りる女」
・「夏の嘘」
・「週末」
・「小説のように」
・「帰郷者」
・「千年の祈り」
・「イラクサ」
・「その名にちなんで」
・「停電の夜に」
・「朗読者」
等々
僕が最初に新潮クレストブックスを読んだのは、ベルンハルト・シュリンクの「朗読者」(新潮クレストブックス:2000年4月1日発行)でした。そうです、ケイト・ウィンスレットがアカデミー賞主演女優賞を受賞した「愛を読む人」の原作でした。
映画「愛を読む人」を(再び)観た!
「朗読者」再読!
ここでは、ミレーナ・アグスの「祖母の手帖」です。映画の「愛を綴る女」と、どこが同じでどこが違うか、細かく詮索するのはやめましょう。祖父と祖母の「売春宿のプレイ」などヤバイ箇所もありますが、そして赤い縁取りの黒い手帖と「帰還兵」の手紙が出てくるのが小説では最後の最後だったりしますが、おおむねゆったりとした文章で時間が進行します。
本のカバー裏には、以下のようにあります。
イタリア、サルデーニャの美しい娘だった祖母は、戦時中、空襲で家族を喪った寡黙な男が実家に下宿したのが縁で、愛のない結婚をする。そしてあるとき、持病の結石の治療で訪れた本土の温泉でひとりの「帰還兵」を知る。胸がつまるほど痩せた体に力強い腕と優しい手。片方の脚は木の義足だった。ほどなく二人は、つかのまの、激しい愛の日々を過ごすようになる。帰郷して9か月後、待望の男児が生まれる。それが「わたし」の父だ。新婚の家の準備のため、亡き祖母のアパートを改装中のわたしは、壁のすきまから、祖母の手帖とともに「帰還兵」の書いた一通の手紙をみつける――。愛の真髄を優雅に描き出す、器楽曲のような小さな物語。
ミレーナ・アグス:
サルデーニャ出身の両親のもとジェノヴァで生まれる。現在、サルデーニャの州都カリアリ在住。高校でイタリア語と歴史を教えている。2005年、旧石器時代から続くサルデーニャの一族を描いた『Mentre dorme il pescecane(サメが眠っている間に)』でデビュー。2006年『祖母の手帖』刊行。20カ国で翻訳され、フランスでは発売後ひと月で4刷に。イタリアの代表的文学賞ストレーガ賞、カンピエッロ賞の最終候補となる。おもな作品に、『La contessa di ricotta(リコッタチーズの伯爵令嬢)』、『Sottosopra(上下逆さま)』など。
中嶋浩郎:
1951年、松本生まれ。東京大学教育学部卒業。フィレンツェ大学留学。フィレンツェ大学講師を経て現在広島在住。著書に『フィレンツェ、職人通り』『図説メディチ家』、訳書に『ルネサンスの画家ポントルモの日記』、ステファノ・ベンニ『聖女チェレステ団の悪童』、ミレーナ・アグス『祖母の手帖』など。
「愛を綴る女」
英題:
FROM THE LAND OF THE MOON
製作年:2016年
製作国:フランス
日本公開:2017年10月7日
(新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか)
上映時間:
2時間0分
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